開幕前は降格候補のJ1福岡、終わってみれば過去最高8位、神采配の長谷部監督の秘密

西日本スポーツ 松田 達也

 J1アビスパ福岡がクラブ史上でのJ1最高成績となる8位で今季を終えた。5年ごとに昇格と降格を繰り返す「5年周期」に別れを告げた飛躍のシーズンは、長谷部茂利監督(50)の手腕抜きには語れない。自身初のJ1での采配となった長谷部監督のチームづくりを振り返りながら、今季の戦いぶりを分析すると、すでに来季を見据えた動きも見えてきた。

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 「さえる神采配」-。本拠地のベスト電器スタジアムでは、福岡のスタメン選手、監督を紹介する際、このフレーズが添えられる。サポーターが手拍子を打ち鳴らし、長谷部監督が手を挙げて応える。いつもの試合前の光景だ。

 下位4クラブがJ2に降格する今季、福岡がその候補の一角というサッカー関係者が多かった。長谷部監督は11月末の会見で「シーズンが始まる前に『やれる』と踏んでいた」と明かした。選手への信頼とチームづくりに対する自信から生まれたのが、開幕前に掲げた「勝ち点50、10位以内」という目標だった。

 10月16日の神戸戦で6試合を残してJ1残留を決めると、クラブは同月末に長谷部監督の続投を発表した。J1での2年目の指揮を執ることが決まると、長谷部監督は来季に向けた動きを本格化させたように見えた。

 同24日の札幌戦では、従来の4バックから3バックに戦術を変更。今度は11月20日の柏戦で再び4バックに戻した。その狙いについて、長谷部監督は「それぞれの試合の前には準備期間があった」と説明した。日本代表の活動による中断期間が10月と11月に約2週間ずつあったため、その時期を利用してシステム変更とその戦術の落とし込みを図っていた。

 ワールドクラスの選手がいるJ1クラブと限られた戦力で戦い続けるには、対戦相手によってシステム変更など臨機応変な対応が求められる。それを実現させるためには各選手の技術や戦術理解をさらに上げていく必要がある。今季も長谷部監督は「質を高めなければ」と繰り返した。そして8月には昨季途中からリーグ戦30戦無敗だった川崎を破る大金星を挙げた。

 福岡で17年目のシーズンを終えた城後は、長谷部監督について「言葉に重みというか、説得力がある。この人についていけば間違いない、とみんなが思えた」と語った。ピッチでの高い指導力はもちろん、クラブハウスの掃除なども率先してこなす姿に、城後は「チームをいい方向に導いてくれた」とうなずく。

 就任からの2シーズンをコロナ禍で過ごしたこともあり、長谷部監督は「福岡のことをもっと知りたい。まだまだ何も知らないので」と笑った。今季の成績を踏まえ、就任3年目の来季も高い志で挑むだろう。どこまでクラブを高みに押し上げるのか。「神采配」は続いていく。(松田達也)

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