水島新司さんと草野球をプレーした記者の思い出 先生がライバル視したのは…

西日本スポーツ

 西日本スポーツで長年ソフトバンクを担当している石田泰隆記者が、亡くなった漫画家の水島新司さんを悼んだ。石田記者には水島さんとの意外な接点があった。

 

 多くの野球好きがそうであるように、自分もまた、「水島野球」に魅了された一人だった。世に出された多くの野球漫画を読みあさったのはもちろん、実際にプレーでも「水島野球」に触れた一人でもあった。

 大学を卒業し、米国でプレー。帰国後に水島先生率いる草野球チームに入団した。草野球なのに「入団」と書くと仰々しく聞こえるが、水島先生から「うちは勝ちにこだわるチームだぞ。野球に対する思いはプロと変わらん。そんなチームに入団してくれて、ありがとう」と言われたことをはっきり覚えている。

 言葉通り、先生はとにかく負けることを嫌い、野球に情熱的だった。当時既に還暦を過ぎていたが、投手を務め、遊撃を守り、打っては全力疾走と常に必死にプレーしていた。極め付きは野球強豪校出身の20代バッテリー相手に二盗を試み、最後は流れるようなスライディングで成功させるなどとても60代とは思えないプレーの連続で、何度、度肝を抜かれたことか。

 そんな先生に失礼を承知で聞いたことがある。なぜ、そこまで野球に夢中になれるのか。すると即答された。「景浦に負けられん」。自身の代表作の一つ「あぶさん」の主人公で、ホークス一筋、最終的に62歳までプレーした景浦安武を強烈にライバル視していた。トレードマークの口ひげを蓄えた口角を上げ、ニヤリ笑った姿が忘れられない。

 そんな先生のユニホームの背ネームは「あぶ」、背番号は「3(さん)」。数多く生み出した個性的なキャラクターの中でも思い入れが強かったのだろう。そんな「あぶさん」が在籍したチームの番記者を、長年、務めさせていただいている。これも何かの縁だ。「水島野球」にじかに触れた一人として、水島先生の「野球愛」に少しでも近づけるよう、今後も取材活動に鋭意専心したい。合掌。(石田泰隆)

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