卒業…違う世界でいい背中見せたい HKT48上野遥ラストインタビュー㊤
HKT48チームHの2期生、上野遥(22)が31日、福岡市の「西日本シティ銀行 HKT48劇場」で開かれる「RESET」公演を最後にグループを卒業する。劇場のステージを確かな実力で支え、2020年12月21日にHKTメンバーとして初めて出演1000回を達成した。決して順風満帆とは言えなかった約9年間だったが、ひたむきな姿勢でファンやメンバーに愛された「劇場の女神」にラストインタビューを敢行した。(聞き手・古川泰裕)※取材は1月12日
-これが最後のインタビューになると思います。
上野「ありがとうございます。まさかできるとは」
-単独インタビューも久しぶりです。
「そうですね。(公演出演)1000回以来」
-博多座に出た時以来。
「あ、博多座の時もやりましたね。じゃあ3回目ですね」
-昨年12月15日に卒業を発表しました。
「言うことを直前まで決めていなかったんですよ。でも何も言われていなかったので、『本当に言っていいですか?』ってマネジャーさんに言ったら『何か言うことを決めているの?』って言われて『いや決めていないですけど、決めた方がいいですか』ってなって。けっこうぎりぎりに話して。私けっこう、文章が長くなっちゃうので、文章を簡潔にまとめてもらって、それを暗記して臨みました」
-卒業が具体的になったのはいつですか?
「具体的になったのはここ1年くらいだと思うんですけど、考えていたという話になるともう3年前なので。ずっと考えていて…。きっかけって、ないと言えばないという感じなんですけど…活動していて『そろそろなんじゃないか』って肌で感じる瞬間って、いっぱいあって。もちろんまだいたいし、私は一生HKTにいたいんですけど、それじゃいけないときがある場面を、けっこう目の当たりにするというか」
-自分の中でそういう気持ちが出てくる。
「出てきますね。何かイベントをするとき、こういうメンバーでやりますっていうとき、後輩の比率が増えていているなって感じるんですよ。それがどうとかではなくて、自然なことじゃないですか。そういうときに若干、積み重なってきますね」
-世代交代の波を感じたということ?
「感じますね。そんな立場でもないですけど(笑)。まあ感じるかな…」
-「後輩たちの時代」という感覚になっていると。
「うん、ありますね」
-その中に自分がいるより、卒業を選んだ。
「そうですね。メンバーからすると、そういう時代になっても、はるたんさんはいると思っていたって言ってくれるんですけど。それはうれしくて、自分でもそう思っていたんですけど、いざそれが現実になったとき、私はそう思わないんだなって思いました。卒業の方を強く思うんだなってなりました」
-実際にそのときが来て初めて感じた?
「そうですね。違う世界でいい背中を見せたいなって思うようになりました」
-なぜ今というタイミングなんですか。
「けっこう決断したら早く行動するタイプというか。春とかは区切りのいいタイミングかもしれないんですけど、(1月末に卒業して)次に行く準備として時間がほしかったっていうのもあるし…。急いではいないんですけど、ここで決めないと本当にずっと(HKTに)いたいから(笑)。どうにか自分にむち打って、ポンポンってきた感じです」
-周囲からすると、けっこう早いテンポで行ってしまうんだなと。
「びっくりされました。予感とかなかったらしいので」
「マジで飛べそう」人生で経験したことがない高揚感
-2012年9月30日に当時の研究生公演が始まり、10月からチームHの公演に出ています。
「出ていましたね(笑)」
-当時はどんなアイドルを目指していたんですか?
「全く考えていなかったし、自分が何が得意かも分からなかった。ただちょっと、ダンスを習っていたくらいで。人のことより、自分のことって本当に分からなくて。それは今も分からないまま、ここまで来たんですけど、理想だったら『王道』とかを目指していたのかな。歌って踊る『アイドル』って。MCとかキャラクターは特に気にしていなかったんですけど、ただまっすぐにっていう目標は常に…。言葉にはしなくてもというか、言うまでもないというか。当たり前すぎて」
-研究生公演初日は「スカート、ひらり」を歌っていました。
「歌っていましたね。割とエリートというか(笑)。『スカひら』を歌えるって、すごいことですよね」

「一緒でしたね」
-「星の温度」にも。
「(ユニット曲)2曲出ていましたよね。当時は」
-当時から2回転…
「初日から(笑)。面白い」
-あの日のステージは覚えていますか?
「『出べそ』に出る瞬間を、今でもすごく覚えていて。『PARTYが始まるよ』が始まる時、芽瑠と私が位置的に飛び出していくんですけど、なんだこれ?っていうくらい、当たり前ですけど人生で経験したことがないような高揚感。『マジで飛べそう』って思えるくらい、すっごく楽しくて。その瞬間が次の日にテレビで流れて、クラスの男の子に『アイドルになったの?』って聞かれて『なっていない』ってうそをつきましたけど(笑)。そういうの込みで記憶に残っていますね」