ホークス一筋・藤原満さん聞き書き「ぶれない」(20)驚いた野村克也さんマル秘ノート

西日本スポーツ 野口 智弘

 ソフトバンクの前身である南海で一時代を築いたプレーヤーがいた。ガッツあふれるプレーでファンを魅了した藤原満さん(75)=西日本スポーツ評論家=だ。一昨年に亡くなった野村克也監督の下でチームプレーに徹し、低迷するホークスの中でいぶし銀の活躍を見せた。太いグリップが特徴の「ツチノコバット」を短く持って安打を量産したレジェンドの半生を聞き書き「ぶれない」でお届けする。

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 長く野球界で生きてこられたのは、多くの恩人のおかげ。ぶれずに野球に専念することができました。

 恩人の一人はもちろん野村克也さん。野村さんが監督になった時です。「オレの営業日誌」とマル秘ノートを初公開した。選手の特徴や癖だけでなく、家族構成や性格まで書かれていた。こんな大打者がここまで情報を集めて分析しているのかと知って驚きました。

 この「野村メモ」を基に、南海で「シンキング・ベースボール」、ヤクルトで「ID野球」というデータ重視の野球理論を構築された。日本球界の大功労者です。ただ、晩年に私の顔を見るたびに「この裏切り者が…」とぼやくのには困った。野村さんが女性問題で南海を追われた時、私が一緒にチームを出なかったことを人前で冗談交じりに非難するのですよ。かわいげのある人ではありました。

 1975年に広島を監督として初優勝させた古葉竹識(たけし)さんも恩人。広島から南海に移籍後のコーチ時代、守備が苦手の私を鍛えた。人間的にも素晴らしく、74年に広島にコーチとして戻られる時には「私も広島に連れて行ってください」とトレードを直訴しました。野村さんが許しませんでしたけれど。

 漫画家の水島新司さんにもお世話になった。「あぶさん」の中で主人公の景浦安武と私は同じ年齢で親友という設定。大阪の下町を舞台にした庶民的な視点で、当時人気がなかったパ・リーグにスポットライトを当ててくださいました。

 打撃コーチだった高畠導宏さんの存在も大きい。打撃が上向かない私のために「ツチノコバット」を手に入れて、打撃開眼のきっかけをつくってくれた。「ツチノコ」がなかったら、今の私はありませんでした。

 残念ながら皆さん他界された。最近では古葉さんが昨年11月、水島さんは今月に訃報が届きショックでした。野球が大好きな人たち。天国でも野球論議に花を咲かせておられるでしょう。

 さて、今年からホークスを指揮するのは藤本博史監督。私の現役最後の年の82年に南海に入団しました。コーチとして指導しましたが、打撃も守備も器用。何よりもハートが強いのが頼もしい。昨年4位の原因は世代交代の過渡期だったからです。2軍や3軍での監督経験がある藤本監督は若い選手の特徴を知っているのでうってつけです。

 私の半生を語った連載もこれが最終回。球界はキャンプに突入します。楽しみなのがホークスの開幕戦。相手は「ビッグボス」の新庄剛志監督の日本ハムですよ。2人はどんな采配をしてファンを楽しませてくれるのでしょう。今からわくわくします。春が待ち遠しいです。(聞き手・野口智弘)

 =おわり

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