元バレー代表・迫田さおり ストレート負けから一夜でよみがえったNECの強さ

西日本スポーツ

 好きな言葉は「心(こころ)」だという。バレーボール女子元日本代表のアタッカー、迫田さおりさんは華麗なバックアタックを武器に2012年ロンドン五輪で銅メダル獲得に貢献した。現役引退後は解説者などで活躍の場を広げる一方、コロナ禍が続く中、スポーツの魅力を発信しようと自身の思いつづっている。

◇  ◇  ◇

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響でVリーグの試合も中止が相次いでいます。陽性者が出たチームは練習に制限がかかるため、試合勘は鈍り、心肺機能も筋力も低下します。女子のNECは3位で迎えた年明けに、スタッフを含む10人以上が陽性判定を受けました。1月29日の復帰戦では、前週にようやく今季初勝利を挙げたトヨタ車体にストレート負けを喫しました。正直、立て直しに時間がかかりそうな印象も受けました。

 敗れたことで精神的にも落ち込みがちです。それが翌30日の試合ではトヨタ車体の勢いを封じ、ストレート勝ちしました。「この試合を皆で乗り越えたら、私たちはもっと強くなれる」。そんな前向きな気持ちを共有しているような内容でした。前日の敗戦後、NECの選手たちは熱心に話し込んでいました。すぐに課題を修正して、頭と体を切り替えたのでしょう。

 一夜にしてよみがえった「あうんの呼吸」-。そのプレーからは「人任せにしない」意識の高さが垣間見えました。役割は違っても皆で支え合っているのです。リベロの小島満菜美選手はあえて低い体勢でボールを拾って攻撃のための時間を生み出していました。ちょっとした動作でも高い位置でレシーブしないことでコンマ何秒かの「間」がつくれます。この余裕があるからこそ、アタッカーは助走の時間を確保できる。こうした「次の人のために」という姿勢に引かれます。

 ワンプレーにチームの現状が表れたりもします。象徴的だったのが、セッターではない選手が懸命に上げた後方からのトスをエースの古賀紗理那選手が打ち切り、得点にした場面です。十分な体勢で打てるトスではなくても、アタッカーに想(おも)いは伝わります。ボールを拾う選手、トスを上げる選手が責任を果たしつつ、もう“ひと頑張り”することで歯車はかみ合います。今回、私の心に響いたNECがそうでした。試練を乗り越えて、さらに自信を付けた気がします。

 12チームのうち、上位3チームが4月のプレーオフで覇を争います。3連覇を狙う首位JTを昨季2位の東レが追い、NECが続いています。プレーオフ圏内に入ろうと4位以下の追い上げも熾烈(しれつ)な中、やはりNECは優勝候補の一角から外せません。 

 気配りと目配りの大切さはバレーの世界に限ったことではありません。地元鹿児島のテレビ局、MBC(南日本放送)の情報番組「週刊1チャンネル」で「幼稚園の先生に弟子入りする」という企画に出演した際、先生たちの思考や判断の速さ、無駄のない動きに驚きました。予測できない園児の行動に対処し、先生同士で連携している姿に目を見張りました。子どもたちの行く末まで想いをはせているからでしょう。飽きさせないように笑顔で接していました。その愛情の深さに胸を打たれました。 

 周りを支える喜びを自分の喜びに変えられる人は輝いて見えます。立春を過ぎても、世相はなかなか落ち着きません。それでもコート内外で目にした場面がコロナ禍の景色を味わい深いものに変えてくれました。(バレーボール女子元日本代表)

 

 自撮り動画でふるさと「鹿児島」紹介 

鹿児島市出身の迫田さおりさんは、自身のユーチューブチャンネル「迫田さおりのりおちゃんねる」で故郷のPRにも取り組んでいる。東京・有楽町にある鹿児島県のアンテナショップ「かごしま遊楽館」をこのほど訪問。ご当地グルメや買い物を楽しむ様子を自撮り動画で投稿。ほっこりした内容になっている。

◆迫田(さこだ)さおり 1987年12月18日生まれ。鹿児島市出身。小学3年で競技を始め、鹿児島西高(現明桜館高)から2006年に東レアローズ入団。10年日本代表入り。バックアタックを武器に12年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪出場。17年現役引退。身長176センチ。スポーツビズ所属。

 

 

PR

バレー アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング