クールビューティーな司令塔が描く熱い春 3季ぶりVリーグ優勝目指す久光のセッター

西日本スポーツ

 バレーボールVリーグ女子1部で2018~19年シーズン以来の優勝を狙う4位の久光スプリングスが3月5、6日に福岡市であった正念場の福岡大会で2連勝した。5日はトヨタ車体をストレートで退け、6日は今季初対決となった3位のNECにフルセット勝ち。司令塔として多彩な攻撃を引き出したのは、地元福岡県出身のセッター栄絵里香(30)だった。

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 目力の強いクールビューティーな栄は、熱いハートを秘めている。大声で仲間を鼓舞する姿は細身な体のどこにそんなパワーがあるのか不思議なほど。「私、結構ガーッと言ったりするところもあるので…」。照れくさそうに笑った。このギャップも魅力の一つだ。

 結果は2連勝でも順風満帆な福岡大会ではなかった。5日のトヨタ車体戦。最大6点差をつけられた第1セットの途中、焦りを覚えていた栄は一度退いたベンチで、後輩セッターの井上美咲(27)が落ち着いてスパイカー陣にトスを上げる姿にハッとさせられた。

 「どうしても決めたいと思うと、(得点力の高い)サイドに攻撃が偏ってしまう。真ん中(ミドルブロッカー)を使えば、サイドに対する相手のブロックが(複数ではなく)1枚に減る」。再び戻ったコートでは、レフトの石井優希(30)や井上愛里沙(26)がアタックを打ちやすくなるようにトスを組み立てた。スピード感あふれる「真ん中」の平山詩嫣(21)を速攻で多用。これがはまり、勝機を見いだした。

 酒井新悟監督は栄の持ち味について「真ん中の使い方」と言い切る。「それプラス(34歳の米国代表で東京五輪金メダリストの)アキンラデウォとのコンビは、うちの大きな強み」。フルセットとなった6日のNEC戦。頼みのアキンラデウォのアタック決定率が上がらない状況でも、栄は身ぶり手ぶりでコミュニケーションを取りながら心を通わせた。NECの古賀紗理那(25)との激しい打ち合いとなった最終第5セットは2人の“ホットライン”がフルに機能し、最後はアキンラデウォが2時間17分の熱戦にけりをつけた。

 過去2季のリーグ戦は7位、8位。日本代表がユニホームを脱ぐなど世代交代が進む中、栄は石井とともに「常勝時代」を知る貴重な存在だ。「練習もトレーニングもハードワークしてくれる。ネガティブにならないし、後輩も支えながらやってくれる。大きな存在」。酒井監督の信頼は厚く、今季は開幕から全23試合に先発出場している。

 順位が一つ上のNECとの直接対決は、上位3チームによるプレーオフ(4月に開催)に進むためにも負けられない一戦だった。15点制の最終第5セットの途中。平山の速攻で6-6に追いついたところで、栄にサーブ順が回ってきた。このしびれる状況で、ボールを持つと表情が一瞬、ほころんだ。観客席の1418人から注がれる視線を楽しむかのようだった。

 有観客で開催された福岡市での年に一度の大会。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で無観客試合もあるなど「ファンの前で…」が当たり前ではない。福岡県大野城市出身の栄にとっても大きな意味を持つ一戦だった。「家族や友達、知り合いが大勢来てくれて『ホームだなあ』と感じていた。福岡でプレーできたことに感謝し、エネルギーに変えたかった」。自身のサーブ時に連続得点で流れを呼び込むと、両サイドと真ん中を使い分けて勝利への道筋を描いた。

 リーグ戦の残り10試合のうち、5試合が首位JT、2位東レ、3位NECとの対戦。しかも3月25日からの10日間でラスト6試合を戦う過密日程が待つ。「チームに勢いを与える存在でありたい。中心になってオフェンスを回していく」。冷静さと情熱を併せ持つ司令塔にとって、NECとのリーグ最終戦となる4月3日は31歳のバースデー。誰よりも“熱い春”にしてみせる。(西口憲一)

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 ◆栄絵里香(さかえ・えりか)1991年4月3日生まれ。福岡県大野城市出身。博多女子中から進学した大分・東九州龍谷高では同学年の長岡望悠(久光)や芥川愛加(JT)らと全国高校選抜優勝大会(当時春高バレー)や全国高校総体、国体の「高校3冠」を達成。2010年にデンソー入り。15年に久光製薬(現久光)へ移籍。21年10月24日に行われたデンソー戦で「Vリーグ栄誉賞」の表彰基準であるVリーグ通算230試合出場。身長168センチ

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