熊沢世莉奈、今田美奈、水上凜巳花 忘れられないHKT48の三つの個性

西日本新聞 古川 泰裕

Fの推しごと~2022年3月

 上島楓、上野遥、田島芽瑠…。2022年に入ってHKT48の記事で「卒業」という言葉を何回使っただろう。春の訪れとともに新たなステージへと旅立っていくのはアイドルも同じ。3月25日には1期生の熊沢世莉奈(24)、29日には5期生の水上凜巳花(18)、4月4日には1期生の今田美奈(25)の卒業公演が控える。3人はどんなアイドル人生のフィナーレを見せてくれるのだろうか。

「頑張りーぬ!」元気をくれた明るい声

 「そろそろ『その日』が近い人もいそうだけど…」

 昨年秋のインタビューで、熊沢にそう振ったことがある。「さあ、どうでしょうねぇ~」といたずらっぽい笑顔でごまかされたが、実は「答え合わせ」のようなものだった。

 4期生の堺萌香が2月の座談会で触れていたが、代々木アニメーション学院を卒業後、本格的に声優を目指すことはグループ内でも暗黙の了解になっていた。

 関係者によると成績は学年でもトップクラス。アイドルとしての10年にわたる活躍も踏まえれば、卒業後に所属する芸能事務所の心配も必要なさそうだ。

 数々のライブを引き締めた美しく正確なダンスとともに、特筆すべきはこの10年間、少なくとも舞台の上でその明るさを絶やさなかったことだ。

 「今日も一日、頑張りーぬ!」

 自己紹介で必ず発するフレーズは、いつも変わらぬハキハキとした明るいトーンで劇場に響いた。その声に支えられたファンも決して少なくない。今後は声優として、より多くの人を元気づける存在になってくれるだろう。

「悔しさ」胸に、歴史つないだ「厳しさ」

 2月25日、1期生5人が出演した配信番組で卒業を発表した今田。「10周年を終えて、『また新しい年』っていうタイミングが大きいかも」と決断の理由を明かす。

 忘れられないのは、12年9月30日、HKT48として初となる研究生公演の初日の姿だ。当時、今田は初代チームHの選に漏れ、2期生の加わった研究生公演を引っ張る立場にあった。

 ユニット曲「キスはだめよ」に登場した今田の表情は「鬼気迫る」という表現がぴったりだった。チームHに入れなかった悔しさ、1期生としての自負…。さまざまな感情が詰め込まれていた。

 右も左も分からない後輩たちを強く引っ張るリーダーシップも求められていた。時に厳しい姿勢を見せることもあったが、がむしゃらに前に進むことだけを考えられたあの頃だったからこそできたことなのだろう。「今はもう絶対無理ですけど」と笑う今田を画面越しに見ながら、月日の長さを思った。

 「厳しさ」のイメージが先行した今田だが、最近は「優しさ」を熱弁する後輩も多い。ここ1、2年ではMCの笑いの中心にいることも多く、5期生の坂本りのにいじられるシーンは私のお気に入りだった。

 「アイドルでは見られなかった景色を見に行きたい」と将来への思いを語る。1期生から2、3期とグループが歴史を積み重ねる上で重要な役割を果たした功労者。逆境に歯を食いしばり、仲間と歩いた日々はこれからの糧となるはずだ。

5期生の有望株、先輩の懐に飛び込む

 高校を卒業するタイミングで巣立つ水上は、上島と並んで期待を集めた5期生の有望株。3作連続で表題シングルの選抜メンバーに選ばれていただけに本音を言えば「もったいない」。

 松岡菜摘本村碧唯の同居宅を何度も訪れ、坂口理子をごく自然に「ママ」と呼ぶ。ためらいなく先輩の懐に飛び込む「どう考えてもやべえ後輩」(豊永阿紀)だったが、取材では差し入れのスイーツに絶対に先輩より先に手を付けないという礼儀正しさも持ち合わせていた。

 初めての後輩となる6期生と、どんなHKTをつくっていくのか見てみたかったが、本人の決めた道だ。背中を押してあげたい。

          ◆

 巣立つメンバーにもグループにも、次のステージはいや応なくやってくる。「ツアーも始まるし、6期生も入ってくる。外から見る姿が楽しみ」と今田は期待を込める。HKT48の11度目の春が来た。

 (古川泰裕)

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