幻の決勝戦 選抜ラグビー決勝辞退の東福岡、中止発表翌日に対戦

西日本スポーツ 末継 智章

 31日に予定されていた全国高校選抜ラグビー大会の決勝がコロナ禍で中止になったことを受け、対戦予定だった東福岡と報徳学園(兵庫)が同日、埼玉県熊谷市で代替の練習試合を行った。東福岡が1回戦で戦った国学院久我山(東京)から新型コロナウイルスの陽性者が確認され、大会実行委員会からの辞退勧告を東福岡が受諾。ヒガシは思わぬ形で2連覇を逃したが「幻の決勝」では37-10で勝利した。

 決勝中止発表から約12時間後、東福岡と報徳学園の選手は会場に隣接するリーグワン1部、埼玉パナソニックの練習場にいた。急きょ実現した「幻の決勝戦」。前半から優位に立った東福岡は最後まで全力で体をぶつけた。

 勝った東福岡にガッツポーズはない。3トライを奪ったFB石原は「勝利は二の次で、対戦してくれた報徳学園には感謝してもしきれない。勝っても騒ぐのはやめようと話していた」と語った。

 東福岡が1回戦で対戦した国学院久我山から陽性者が出たのは3月29日。大会実行委員会は事前に示した大会規定にのっとり、感染拡大を防ぐため東福岡に辞退を勧告した。30日朝に同校が自主的に抗原検査を受けて全員の陰性を確認しても事態は変わらず、勧告を受諾。中止と報徳学園の初優勝が決まった。

 「規定は受け入れる。でも選手のためを考えたら試合をさせてあげたい」。東福岡の藤田雄一郎監督は報徳学園に練習試合を提案。両校は40年近く定期戦を行うなど交流が深く、報徳学園も喜んで応じた。試合会場やPCR検査キット、審判など埼玉パナソニックも全面的に協力。試合の実現を支えた。

 決勝中止に一度は涙を浮かべた選手たち。主将のフランカー大川は「成長した姿を示す場を与えてくれてうれしかった」と感謝する。石原も「藤田先生が決勝を開くようお願いし、できずに悔しがっている姿を見た。いろんな人の支えで実現した練習試合。感謝の思いをプレーで示したかった」と急転直下の「代替決勝戦」を振り返った。

 「大会関係者の方には迷惑をかけていると思うので、心苦しい。でも、選手たちの顔を見ると、やっぱり僕たち大人がプレーする場を提供することが大事だと思った。やって良かった」と藤田監督。選手たちにとって忘れられない1日となった。(末継智章)

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