―俺には夢がある― 叔父も使った名曲に乗り大きな一歩踏み出した田上奏大

西日本スポーツ 長浜 幸治

 ◆ソフトバンク0-3ロッテ(12日、長崎)

 プロ初登板初先発したソフトバンクの2年目、田上奏大投手(19)が満点デビューを飾った。自己最速を更新する155キロを計測した力強い真っすぐを武器に6回途中2安打無失点。勝ち投手の権利は得られなかったが、7日に支配下に返り咲いたばかりの本格派右腕がチャンスをものにした。一方、打線は9日の西武戦(ベルーナドーム)から30イニング無得点と超深刻。今季初の連敗を喫した。

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 THE BLUE HEARTSの名曲「夢」のサウンドに乗り、背番号70の田上がプロ初のマウンドに上がった。ソフトバンクなどで強打の捕手としてプレーした叔父の秀則さんがかつて使用した登場曲、背番号だ。「いつかおじさんを超える選手になる」。プロ入り時に誓いを立てた19歳が第一歩を踏み出した。

 「初回が一番緊張したし、苦しかった」。先頭の高部に四球を与えるなど、いきなり1死二塁を背負った。思い出したのは登板前に千賀からかけられた言葉だった。「初登板はずっと覚えているもの。とにかく楽しんで、めちゃくちゃいいものにした方がいいよ」。3番中村奨の初球は球場表示で自己最速の155キロを計測。最後はカットボールで三ゴロとすると、続くレアードも152キロ直球で右飛に打ち取り、ベンチで笑みをはじけさせた。

 3回以降はプロ初登板と思えぬ落ち着きぶりだった。3月18日の2軍開幕戦に先発した際に「試合で初めて投げた」という100キロ台のカーブを織り交ぜて打者の目先を外した。「これまでおじいちゃんに(カーブを)投げてみろと言われていたけど、使わなかった。(2軍開幕戦の)先発が決まってキャッチボールで試してみたら『意外といいやん』と思って投げてみた」。器用さとともに、習得したばかりの新球を大胆に投げ込む肝っ玉も「大器」ぶりを示していた。

 両チーム無得点で進んだ6回。2死二塁となってマウンドを津森に譲った。初登板初勝利は逃したが、6回途中2安打無失点の「満点デビュー」を飾った19歳に、球場から大きな拍手が送られた。「すごい先輩たちと野球ができて、お客さんもいっぱいいて。夢見心地というか、ずっと楽しかったです」。田上に19歳らしい無邪気さが戻った。

 試合前には球場に駆け付けた小久保2軍監督から激励も受けた。「『いつも通りいけよ』と。(好投は)その言葉のおかげもあった」。藤本監督も「あんだけ投げてくれるとは思わんかった」と絶賛。初登板による疲労も考慮して登録抹消する方針だが「またどこかで(登板は)あると思う」と口にした。チームは14試合目にして今季初の連敗ながら、将来のエース候補の快投は間違いなく今後の光となる。(長浜幸治)

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