「野球狂の詩」女性主人公と同じ読み 女子ソフト「JDリーグ」トヨタ主将が故郷の福岡に錦

西日本スポーツ 西口 憲一

 女子ソフトボールの新リーグ「ニトリJDリーグ」が16、17日、九州で初めて開催され、会場となった北九州市の桃園球場は熱気に包まれた。強豪のトヨタレッドテリアーズや九州から唯一参戦しているタカギ北九州ウォーターウェーブなどが登場。中でも福岡大若葉高出身で今季からトヨタの主将を務める鎌田優希(26)は地元福岡でのプレーを心待ちにしていた一人だ。持ち前の巧打と堅守で競技の魅力を発信した。

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 皿倉山を望む桃園球場に割れんばかりの拍手が響いた。2日間で約1650人を集客したJDリーグでトヨタの新主将、鎌田が躍動した。13-4で快勝した16日のタカギ北九州戦は3安打2打点。1-2で惜敗した17日のSGホールディングス戦は堅実な二塁守備で観客をうならせた。俊敏に動くリスのようなアクティブさと愛くるしい笑顔で人気も上昇中だ。

 「(入団)5年目で初めての福岡での試合をすごく楽しみにしていました。日頃練習している成果を出し切って、お世話になった方に恩返しできることってすてきだなと」

 野球漫画「野球狂の詩」の女性主人公、水原勇気にちなみ、同じ読みの「優希(ゆうき)」と名付けられた。幼少時から運動神経が万能で福岡県タレント発掘事業の対象選手にも選ばれ、多様なスポーツを経験。中学からはクラブチームでソフトボールに打ち込んだ。女子日本代表のエース、上野由岐子(ビックカメラ高崎)の母校で知られる福岡大若葉高(旧九州女子高)では遊撃手で活躍。恩師の粂本健監督(59)は「イレギュラーバウンドにも対応でき、難しい打球を何事もなかったようにさばいていたのが印象的。学業も優秀で文武両道を地で行く子だった」と振り返る。

 ソフトボールの魅力を鎌田は「スピード感」と言い切る。野球に比べて塁間が短いだけに守りでの一瞬の迷いや隙が勝敗につながる。「個人プレーをチームプレーとして『勝利』につなげるところを見てほしい」。17日の試合では投ゴロに一塁手も反応したため、空いた一塁のベースカバーに二塁手の鎌田が素早く入る好判断を見せた。好フィールディングで打球を処理した左腕、後藤希友(みう)との連係で見事にアウトにした。

 捕手の峰幸代や遊撃手の渥美万奈ら東京五輪の金メダリストがユニホームを脱ぎ、トヨタは世代交代の過渡期にある。21歳の後藤や22歳の強肩捕手、切石結女(ゆめ)の女子日本代表バッテリーをはじめ、個性豊かな若手メンバーを鎌田が主将としてまとめている。

 名前の「優希」には「誰にでも優しく、希望を持った子に」との願いも込められている。「今回の福岡のように全国いろんな会場で試合をさせていただく中、『今日』の試合しか観戦できない方もいる。日本一に向かって毎試合を全力で戦うことが今の私の希望です」。日本リーグ女子時代の2018年を最後に、ビックカメラ高崎に譲っている女王の座。故郷で初心に返った26歳が今秋、JDリーグの“初代優勝キャプテン”になる。(西口憲一)

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◆鎌田優希(かまた・ゆうき)1995年11月22日生まれ。福岡市東区出身。多々良小4年からバレーボールを始め、多々良中央中では女子ソフトボールクラブチーム「福岡レッドドリームズ」でプレー。福岡大若葉高に進学し、3年夏に福岡で開かれた全国高校総体は2回戦で星野高(埼玉)に敗退。環太平洋大4年時に全日本大学女子選手権で初優勝。2018年にトヨタ自動車(現トヨタ)入り。妹の咲希(23)はバレーボールのVリーグ女子1部、埼玉上尾のセッター。162センチ、57キロ。右投げ左打ち。

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