「3割打者が存在しない時代が来る」エース千賀が力説する根拠とは

西日本スポーツ

 ソフトバンクの選手による西スポでの連載コラムです。 今季は藤本ホークスのエース千賀滉大投手(29)に「進化論」と題して、あらゆる角度から独自の視点で野球界を語ってもらいます。記念すべき第1回はロッテ佐々木朗希投手(20)が達成した完全試合についてや、今季パ・リーグで顕著となっている「投高打低」の状況についてなど、ざっくばらんに語ってもらいました。

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■例年以上に一歩引いて自分見てる

 千賀滉大です。今季、月1回ほどのペースでコラムを担当させていただくことになりました。自分の思ったこと、感じたこと、時には読者の方の質問にも答えていける場になればと思っています。よろしくお願いします。

 開幕してもう1カ月がたちました。チームはいいスタートを切れましたが、最近は少し負けが込んできて、ファンの方もストレスがたまる一方かもしれません。申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、選手も必死に勝利を目指してプレーしていますので、今後とも変わらぬ熱い声援を送っていただければと思います。

 個人的なことを言うと、例年以上に、一歩引いた視点で自分を見ながら投げられている感じです。「こんな自分もあるんだ」とかを感じながら、力の入れどころ、抜きどころを発見できたり。今までも客観視できてはいたけど、いまはその視野、幅が広がった感じです。

 個人成績に関しても、投げた試合で自分に勝ちが付けば当然うれしいけど、それ以上に、とにかくチームに勝ちが付くようにと思って投げています。やっぱり自分が投げた試合でチームが負けるのは単純に悔しい。特にここ2試合は投げた試合で続けてサヨナラ負けを見ているわけで、悔しさしか残ってない。次こそはチームに勝ちを持ってこられる投球を目指します。

 さて、球界の話題といえば何といっても(佐々木)朗希でしょう。完全試合ですからね。本当にすごい。すべてが化け物です。僕も野手の方の支えがあってノーヒットノーランをやらせていただきましたけど、完全試合は別物です。僕のノーヒットノーランなんて比較にならない。投手として一度はやってみたい最高のパフォーマンスだけど、達成するにはいろんな条件が重ならないと無理ですからね。それを(2試合)続けて普通にやろうとした朗希はやっぱり怪物です。

 何がすごいって、思い切り投げずにあのパフォーマンスを発揮し続けられるところ。普通にスッと投げながら直球の(球速)アベレージが160キロというのは、今までの野球の歴史ではなかったことなんで、彼にはいろいろなところでもっと発言してほしい。トレーニングのやり方一つにしても、誰もが認めざるを得ない結果を出し続ける彼の言葉というのは重みがありますから。彼の言葉というのは日本球界を変えられる力がある。本当に楽しみな投手です。

■パ「投高打低」 高レベル投手 各球団にいる

 それに付随するかは分かりませんが、今年よく聞かれるのが、なぜ、パ・リーグは「投高打低」になっているんだってことです。僕なりの見解を述べさせてもらうと、朗希とか(山本)由伸、他にも各球団にレベルの高い投手がそろうからじゃないかと。それで各投手、負けられないといった相乗効果が生まれ、全体的なレベルがさらに上がっている印象を受けます。

 だから、これは突然投手のレベルが上がった、打者のレベルが下がったではなく、単純に各投手が抑えないといまのパ・リーグでは勝てないと思っている結果じゃないかなと。ロースコアじゃないといまのパ・リーグでは勝てない。それが色濃く出ている感じです。

 ただ、僕はこの先、3割打者が存在しなくなる時代が来ると思っています。なぜなら、投手はいろいろ勉強し、情報を入れ、トレーニングに生かす環境が整っているからです。各数値を見ても平均球速や変化球のスピード、変化量とあらゆるものが上昇しています。

 一方の打者もトレーニング方法や打撃に関する情報はたくさんあるものの、打つ、走る、守るといった感じでこなす必要のある練習量が単純に多いので、急速に進化を遂げる投手に対応するのは容易ではない。そんな時代なのかなと。

 だから、いまの朗希を攻略するのは簡単でないことは分かっているけど、あの真っすぐを本塁打にしてやるといった考えを持ってテクニカルな部分も向上させないと、一向に打てないままなんじゃないかなって。両者が切磋琢磨(せっさたくま)し合う関係性こそが本当のプロフェッショナル。自分もこれからももっともっとファンの方を魅了できるプレーをお届けできればと思います。(ソフトバンクホークス投手)

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◆今季のパ・リーグは「投高打低」

 昨季は3.48だったリーグ防御率は、2日現在で2.83に良化。球団別では佐々木朗を擁するロッテが12球団唯一の1点台となるチーム防御率1.88をマーク。規定投球回到達者には防御率0点台が4人、1点台が5人いる(セ・リーグは上位2人が1点台)。逆に昨季は2割4分1厘だったリーグ打率は、2日現在で2割2分8厘に悪化。ただ、昨季と今季で5月2日時点での打率3割以上の打者(規定打席到達者)の数を比べると、昨季が6人、今季は1人増の7人となっている。

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