内村航平さん助言で開花 白井健三コーチほれ込む20歳土井、美しい体操で初の世界へ

西日本スポーツ 末継 智章

 男子体操界に新星が現れた。個人総合で争われた15日のNHK杯で20歳の土井陵輔(日体大)=福岡県出身=が3位に入り、世界選手権(10~11月・英リバプール)の日本代表に初めて選ばれた。持ち味は技の完成度。本紙の単独取材に応じた土井は、3月に引退した「キング」こと内村航平さん(ジョイカル)=長崎県諫早市出身=を継ぐ美しい演技で、2年後のパリ五輪に挑む意気込みを明かした。

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 まっすぐに伸びた倒立、きれいなあん馬の旋回…。土井が完成度の高い技で観客を魅了した。全日本選手権(4月)の得点を持ち点にして争われた15日のNHK杯で同選手権に続き、3位に入った。技の出来栄えを評価するEスコアは両大会とも東京五輪個人総合金メダルの橋本大輝(順大)を抑えてトップ。「自分の追い求めていた演技ができた」と初の世界選手権切符に頬が緩んだ。

 「頭でイメージできることは、その通りに体を動かせる」という自負がある。福岡県粕屋町の幼稚園時代に鉄棒で逆上がりを見せ、先生に勧められて体操を始めた。小学1年から約1年間通った「アクシオン体操クラブ」(福岡市)では平均台でバランスを崩す同年代の子を尻目に台上を走っていた。

 さらに小学4年から中学卒業まで通った「おかやまジュニア体操スクール」(岡山市)で正確な演技を培った。練習前に柔軟運動を行うのが日課で「体が硬かったので、あぐらのままうつぶせになると痛くて泣いていた」。体の可動域が広がったことで正しい姿勢が取りやすくなった。

 岡山・関西高3年時に世界ジュニア選手権個人総合で銀メダル。日体大入学後はコロナ禍の影響で練習量が足りない上、筋力不足もあって伸び悩んだが、今年に入って開花した。日体大の大先輩となる内村さんの助言も大きかった。3月の引退後に母校へ指導に訪れる機会が増えた内村さんに、土井は試合への調整法を教わった。午後に試合を想定して6種目を通して行う練習日は、午前練習を軽めに抑えるというもので、「今まで調子が良いと午前中に動きすぎ、午後に疲れて調子を落とした。動きを抑えることで調子の波がなくなった」と感謝する。

 初の世界の大舞台を見据えて、美しさを追求しつつ、難度の高い技にも挑戦中だ。「表現の仕方は違うけど(内村)航平さんの技術を受け継ぐことはできる。全種目を戦って強い日本を引き継ぎたい」と後継者にも名乗りを上げた。(末継智章)

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 2016年リオデジャネイロ五輪男子団体総合金メダルの白井健三コーチは「試合の緊張感を味わい楽しむ余裕があるのが彼の良さ。世界の舞台でも通用する心意気だと思う」とほれ込む。

 自身も現役時代は楽観的だったそうで、試合前は土井に「笑顔が持ち味だよ」と楽しむ心構えを促している。「つらそうな顔をすると演技に出る。笑顔をなくさないようなサポートをしていきたい」と後押しする。

 08年北京五輪男子団体総合銀メダルの中瀬卓也監督も「基本的な部分が全てきれいにでき、6種目で戦ってほしい選手」とさらなる成長を期待する。「課題のつり輪が他の種目に追いつき、得意な床運動とあん馬、平行棒、鉄棒で強みを発揮すれば個人総合でメダルを取れる」と高い評価をしている。

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