迫田さおりさんの「スローライフ」 故郷の鹿児島で町と人に惚れ人生初の米作りに挑戦中

西日本スポーツ

 バレーボール女子元日本代表の迫田さおりさんが、動画投稿サイト「YouTube」の公式チャンネルで「スローライフ」をテーマに、故郷鹿児島の魅力を発信している。「自分の成長記録にもなれば」と、誕生日に合わせて2021年12月18日に「迫田さおりのりおちゃんねる」を開設。4月からは鹿児島県湧水(ゆうすい)町で人生初の米作りに挑戦しており、楽しそうに取り組む様子を投稿している。

 「空気も水も緑もきれいで白米もおいしい。見えないエネルギーに癒やされます」と、すっかり“名水の郷”にほれ込んでいる迫田さんは「何より人が温かいんです」とうなずく。田んぼのそばにある手作りのミニバス停は、米作りのパートナーで、ぬくもりのある木工品を手がけている地元の元JR社員、猪俣武さんが匠(たくみ)の技を生かしてこしらえた。これが「となりのトトロ」のような昭和レトロの雰囲気を演出している。

 湧水町在住の写真家、上原麗香さんも迫田さんと心を通わせる一人。町が昨夏から年明けにかけて「伝えたい残したい風景」の題で募集したフォトコンテスト(90人、156作品)で、朝霧に包まれるJR吉松駅の駅舎(湧水町)を撮影した上原さんの「鉄道の街」がグランプリを受賞。「魚野の雲海」をはじめ、地元ならではの神々しい眺めを切り取った作品にはファンも多い。上原さんは、レンズ越しに見た迫田さんの印象をこう語る。「無意識だと思いますが、指先まで心が配られており、所作の一つ一つがきれい。自然体なのがよく伝わってきます」。素直で飾り気がない人柄が、食事の配膳、テーブルや食器への何げない手の添え方などににじんでいるという。

みそ汁をよそう迫田さおりさん(上原麗香さん提供)

 JRの肥薩線と吉都線が乗り入れる吉松駅は車両基地や運転基地が置かれるなど、かつては鹿児島、熊本、宮崎を結ぶ交通の要衝として栄えた。時代とともに利用客が減り、追い打ちをかけるように2020年7月の熊本豪雨で甚大な被害を受け、肥薩線の八代(熊本県八代市)-吉松間は今も不通のまま。生活の足だけでなく、観光資源の役割も担っていた鉄路は観光列車「はやとの風」が今春に運行を終え、吉松駅も無人駅となるなど寂しいニュースが続いている。それだけに「多くの人に湧水町の良さを知ってもらいたい」との迫田さんの“愛情発信”は町にとっても心強い。

 名物のホタルの幻想的な光景が、近づく夏を感じさせる季節を迎えた。バレーボールが世代を超えて親しまれてきた理由を「ボールだけでなく、想(おも)いをつなぐスポーツだから」と迫田さんは言い切る。自身の競技人生に重ね合わせながら、人口約8800人の小さな町と心をつなぎ、大きな勇気の灯をともそうとしている。(西口憲一)

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