高校バレーの名門に184センチの“新ヒロイン” 東龍の名将「世界に通じる」

西日本スポーツ

 高校バレーボールの女子で「高校3冠」を過去2度達成した東九州龍谷高(大分県中津市)に新ヒロイン候補がいる。主将の飯山エミリ(3年)は184センチの長身を生かした力強いアタックとブロックが持ち味。サイドアタッカーへのポジション変更で周囲の力を引き出すことにも成功した。まずは今夏の全国総体で、入学以来未到の「日本一」を勝ち取る。

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 部員23人の練習着には個々のテーマを記した布が縫い付けられている。1年時に「素直さ」、2年時に「努力」と書いた飯山は最終学年を迎えて「絶対」を選んだ。「絶対に打ち切る、絶対に止める、という思いです」。エースで主将。強い口調に決意がにじんだ。

 「東龍」と呼ばれる同校は2019年度の春高制覇を最後に無冠で、1年から主力の飯山も春高では4強と2回戦敗退。それでも相原昇監督(53)は歴代の優勝チームと比べても「良い水準。伸びしろもある」と評する。チームの飛躍を予感させるのは飯山の存在だ。

 高校3冠(春高、全国総体、国体)大会を通算12度制した名将は言い切る。「世界に通じるブロック。速いトスも打ち切れる」。将来の日本代表入りが期待される逸材の役回りは、昨年まで前衛の真ん中でのブロックや速攻が中心だった。今春からはオポジット(セッター対角)として主にライトからの攻撃を担い、バックアタックも積極的に狙っていく。新たな可能性も開拓した配置転換で相手のマークが分散され、岡部詩音(2年)らのレフトからの攻撃が生きるようになった。

 「今までは困ったら(飯山)エミリに頼っていたけれど、周囲を生かすトス回しを心がけている」とセッターの佐村美怜(3年)は明かす。5月中旬に沖縄であった全九州総合選手権決勝は「九文」こと九州文化学園高(長崎)と対戦し、最終第3セットの途中で飯山が両脚をつって離脱。大黒柱が不在の窮地にもチーム一丸となり25-21でライバルを振り切った。

 試合後、飯山の頰を熱いものが流れた。「みんなへの『ありがとう』でした。大事な場面でコートを離れたのに…。個の力ではなく団結力で勝ち切れた」。女子日本代表のコーチなどで3年間チームを離れていた相原監督が昨秋に復帰したのも大きかった。練習時間は平日だと約3時間。朝練はない。部員の集中力と体調を最優先に考えた指導を徹底。「それでいて熱量がすごい」と飯山はうなずく。以前にも増して全身で声をからして鼓舞する姿に「相原先生の熱さに負けられない」と胸を打たれたという。

 飯山は鹿児島で生まれ育ち、伝統の超高速コンビバレーに憧れて入学した。佐村ら同学年の6人で誓い合った「日本一」へ、ラストイヤーの一年が始まった。「新学年になって間もない5月に涙を流すとは…。あの決勝で泣いたのはエミリだけではない。あの子たちのいちずさを感じた」と相原監督も手応えを感じ取っている。一枚岩の求心力となっている飯山は「日々『最高新記録』の練習を積み重ねていきます」。胸に刻む「絶対」の2文字が力強く浮かび上がった。(西口憲一)

 

 ◆飯山エミリ(いいやま・えみり)2004年9月15日生まれの17歳。鹿児島市出身。吉野東小4年から競技を始め、吉野東中では鹿児島県選抜のメンバーとしてJOC杯全国都道府県中学対抗に出場。20年に東九州龍谷高に進学。184センチ、78キロ。最高到達点は309センチ。好きな食べ物はサーモンのすし。

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