迫田さおりさん「待ち遠しかった」ほれ込んだ町で「スローライフ」

西日本スポーツ

 バレーボール女子元日本代表アタッカーの迫田さおりさんが動画投稿サイト「YouTube」の公式チャンネルで「スローライフ」をテーマに、故郷鹿児島の魅力を発信している。「空気や水がきれいで、人も温かいんです」とほれ込む鹿児島県湧水(ゆうすい)町で、今春から取り組む人生初の米作りは本格化。梅雨の田植えを楽しんだ。
 

 仕事の合間にできたつかの間のオフ。「ひょっとして神様から『田植えをしなさい!』と言われているのかなと」。迫田さんが自ら似顔絵を描いた「田の神様(かんさあ)」の〝お告げ〟に、迷わず東京から鹿児島に戻った。トラクターのハンドルを握って「田起こし」をした5月以来の農作業に「本当に待ち遠しかったんです!」とスマイル全開。地元で農業に従事する猪俣武さんの助言に耳を傾け、田植え機に乗って水を張った田にモチ米の苗を植えた。

 「苗を植えるのも初めて。どうしても『大事に』と慎重になってしまいます」と何度も後ろを振り返りながら運転。次第にコース取りに慣れていく姿に、猪俣さんも「のみ込みが早い。想像力も豊かなんでしょうね」と感心するばかりだ。
 四隅まできれいに植えた迫田さんが「ああ、かわいそう…ごめんなさい」と申し訳なさそうにつぶやいたのは倒れた苗を目にした時だった。猪俣さんが「大丈夫。自然に自力で育ちますから」とフォローすると、迫田さんは「苗って強いんですね」と白い歯を見せた。

エプロン姿も似合う迫田さおりさん(湧水町在住の写真家・上原麗香さん提供)

 迫田さんには田植え以外にも目的があった。町の地域おこし協力隊とのランチタイムだ。鹿児島だけでなく、全国からも集まっている隊員は地域の活性化に尽力。農家支援や町内での就農に向けた活動に取り組んだり、観光PRや広報、芸術作品の制作にあたったりしている。「湧水町のために活動している皆さんとランチをご一緒して、感謝を伝えたかった」
 

 パンと菓子の講師を務めている鹿児島市在住の梅澤さつきさんと一緒にパンとシフォンケーキ作りにも挑戦。イタリアのパン「フォカッチャ」には「THANK Y♡U」とデコレーションした。がっしり歯応えのあるハード系から、チョコや抹茶味のソフト系まで、ランチにぴったりのパンが完成。「もっちもちでかわいいですね。思わず手で触りたくなります!」と気分はすっかり〝パン職人〟だった。

 鹿児島城西高バレーボール部のアタッカーとして九州大会にも出場した梅澤さんは、ロンドン五輪メダリストの迫田さんとの〝初コラボ〟に最初こそ緊張気味ながら、次第に打ち解けた。「現役時代から応援していました。初対面で気さくに接してもらったことが、うれしくて…。何頭身でしょうか、顔もすごく小さいですね」。梅沢さんによると、発酵するときのパンは「人肌(の温度)が好き」だという。ふっくらとした仕上がりは、梅澤さんとのコンビプレーで一生懸命に生地をこねた迫田さんの人柄と決して無縁ではないだろう。
 ランチタイムは迫田さんの手作りパンの話題で持ちきり。笑顔がつながって会話もはずんだ。「皆さんが『おいしい』と言ってくださって…。照れますね」。みんなをもてなすつもりが逆に癒やされた一日。迫田さんの表情は、梅雨晴れの青空のようにまぶしかった。(西口憲一)

 ◆迫田(さこだ)さおり 1987年12月18日生まれ。鹿児島市出身。小学3年で競技を始め、鹿児島西高(現明桜館高)から2006年に東レアローズ入団。10年日本代表入り。バックアタックを武器に12年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪出場。17年現役引退。身長176センチ。スポーツビズ所属。

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