宇津木麗華さん称賛 タカギ北九州の熊本商高出身20歳左腕の「やり返した心意気」

西日本スポーツ

【ソフトボール日本代表・宇津木麗華監督コラム「麗しき夢」】

 東京五輪でソフトボール日本代表を13年ぶりの金メダルに導いた宇津木麗華監督。「夢であり人生」と語る競技への思いをつづった。

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 必要とされることで得られる充実感がある。代表監督、ビックカメラ高崎の部長に加え、日本ソフトボール協会の副会長も兼ねることになった。新しい肩書には競技の課題でもある「普及」への期待が込められている。東京五輪で優勝した日本の力を、復活の可能性がある2028年ロサンゼルス五輪まで維持するには「育成」も欠かせない。

 その点で私は恵まれている。全国の現場に足を運び、いわば「監督」の目線で選手を見ることができる。一方で楽しみな選手も多く、何とかメディアに取り上げてもらう機会がないかと思案している。ビックカメラ高崎の本拠地がある群馬なら、上毛新聞さんや群馬テレビさんが熱心に応援してくれる。地域に根差した地元メディアの報道の力は大きい。選手たちとファンをつなぐ架け橋になる。

 JDリーグの東西2地区による交流戦で、ビックカメラ高崎はタカギ北九州と対戦した。昨季までリーグ2部のタカギ北九州とは試合をやったこともなく、興味深かった。相手の来條(らいじょう)美穂監督は43歳で、現役時代は日立ソフトウェア(現日立)で活躍した。同じ右投げ左打ちの三塁手で親しみを込めて「ライライ」と呼んでいる。

 来條監督は守備からチームづくりに取り組んでいる印象を受けた。成績は4勝17敗で西地区最下位でも、失点の少なさは根気強い指導のたまものだろう。キャッチボールやタッチプレーは丁寧で、選手が腹から声を出していた。日立の良い伝統を取り入れている。

 東地区首位のビックカメラ高崎が4-2で勝利する中、目を引いたのは先発した相手左腕の鹿野愛音投手だ。4失点は工藤環奈と藤田倭に浴びた一発によるものだった。工藤は今年代表に初選出された左打ちの成長株。これは左対左を苦にせずに左中間へ運んだ打者を褒めるべきだ。東京五輪で3本塁打した藤田は好球必打の信条通りに初球を仕留めた。私が鹿野投手に拍手を送りたいのは、その後の対戦で藤田に真っ向勝負を挑み、内角球で空振り三振に切って取ったことだ。

 鹿野投手は熊本商高から入って3年目の20歳。6人の代表が並ぶビックカメラ高崎打線はナショナルチームみたいなものだろう。ベンチには「神様」のような存在の上野由岐子もいた。それでもひるむことなく、やり返した「心意気」を大切にしてほしい。左腕からテンポ良く投げ込む真っすぐはライズ系で105~107キロの球速が出ていたようだ。落ちる球種を覚えれば、投球の幅も広がる。

 タカギ北九州の観客席も心に残った。リーグが配信するネット中継を視聴したプロゴルファーの岡本綾子さんが「面白いよ」と教えてくださった。応援団長を務めるタカギの社員が作詞作曲も担当して、選手やチームのオリジナルの応援歌を披露しているそうだ。こちらにもぜひ注目してほしい。多くの視線が向けられることで得られる充実感もきっとあるだろう。(ソフトボール女子日本代表監督)

 宇津木 麗華(うつぎ・れいか)1963年6月1日生まれ。中国・北京市出身。元中国代表。88年来日、95年日本国籍取得。現役時代は内野手で日本代表の主砲、主将として活躍し、シドニー五輪銀メダル、アテネ五輪銅メダル。2003年に日立&ルネサス高崎(現ビックカメラ高崎)の選手兼任監督就任。04年に現役引退後は11年から15年まで代表監督を務め、12、14年の世界選手権優勝。16年11月、再び代表監督就任。群馬女子短大を聴講生として卒業。右投げ左打ち。

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