【コラム】逆転勝利の裏にあった牧原大成の中身あるアウト

西日本スポーツ

 【コラム:好球筆打】

 チーム内で相次いだ、新型コロナ感染者。その影響で1軍メンバーも大幅に入れ替わり、5日ぶりに再開された試合では野村大、海野といった普段はあまり先発出場することのない若手がスタメンに名を連ねた。

 そんなチーム状況を踏まえ、指揮官は言っていた。「若い選手はミスを恐れず、思い切ってプレーしてくれたらいい」。責任は全てこちらが取ると言わんばかりの口調だったし、実際、同点の7回2死三塁では野村大があと一歩で勝ち越し打となりそうな強烈な打球を右翼線に飛ばしていた。

 その一打が右翼手の好守に阻まれるあたりが1軍と2軍の差なのかもしれないが、あの場面で、今季初先発のプロ4年目が初球からバットを出せるだけでも肝が据わっている。6月27日のロッテ戦(東京ドーム)でも8回に代打出場し、ファーストストライクを左前打としていただけに、今後が楽しみな選手の一人だ。

 そんなわけで、チームは9回に2点を奪って今季13度目の逆転勝ちを収めた。ヒーローは今季防御率が0点台の相手守護神増田から、起死回生の2点逆転打を放った中村晃で間違いないが、その一打を勝利に結び付けたのは時に内野で、時に外野でとチーム事情に合わせて出場し続ける牧原大の走塁だったように思う。

 1点を追う9回に先頭打者として左前打を放つと、柳田の安打、柳町の犠打で三塁まで進塁した。注目すべきは、その後だ。ベンチからの指示は恐らく、ギャンブルスタートだったのだろう。打席の今宮が投球を捉えた瞬間、牧原大は迷いなく本塁へスタートした。

 しかし、打球はこの状況で最も飛ばしてはならない投ゴロとなった。案の定、牧原大は走塁死してしまったが、三本間での挟殺プレーにしっかり持ち込んだ。簡単にアウトを奪われなかったことで、打者走者の今宮を二塁へと進める“アシスト”に成功した。

 この粘りの走塁が生きた。牧原大があっさりアウトになっていれば、2死一、三塁で試合は再開。中村晃の一打だけでは逆転打とはならなかった。「今日の勝ちは大きいよ」。あと1死で敗戦という状況からの逆転勝ちに、指揮官も興奮を隠しきれなかった。その勝利の裏には、牧原大の中身のあるアウトがあった。(石田泰隆)

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