杉山の悔しそうな表情はつかんだものがあったから/池田親興
◆ソフトバンク7-3楽天(5日、ペイペイドーム)
【西日本スポーツ評論家・池田親興の視点】
先発の杉山が5回途中で降板した。勝利投手の権利目前。本人は悔しいだろう。それでも今回は頑張ったと思う。
千賀のアクシデントで急きょ回ってきた先発。しかも、先発投手は前日には現地入りするのに、当日朝に他のナインとともに札幌から移動した。そういう状況で、2回の満塁までいったピンチで粘りを発揮して、無失点で乗り切った。ボールが思った所に行くようになったし、左手の使い方が良くなり、体の開きが遅くなった。悔しそうな表情を見せたのも、つかんだものがあったからだろう。
ポテンシャルの高さは多くの人が認める。ただ、それは発揮してこそで、持ち腐れではもったいない。誰かの代役ではいけない。今回の投球を変化のきっかけにしてほしい。
ソフトバンクにはツキもあった。初回1死一、二塁、楽天島内の右前打の際に二走の小深田が三塁で止まったが、一走の浅村が二塁をオーバーランして刺された。小深田の判断の遅さが招いたことだが、これがなければ試合展開は違った。杉山にとって助けられたプレーでもあった。(西日本スポーツ評論家)