城北、八回に本領発揮 19年ぶり初戦を突破

逆転勝ちを決め、抱き合って喜ぶ城北のアルプス席の応援団 拡大

逆転勝ちを決め、抱き合って喜ぶ城北のアルプス席の応援団

雨の中で演奏する城北、鹿本商工、鹿本の吹奏楽部員たち 野球部員と一緒に応援する大柿拓也さん(中央)

 劇的勝利で19年ぶりの初戦突破-。第96回全国高校野球選手権大会で城北は16日、東海大望洋(千葉)と対戦し5-3で逆転勝ちした。雷雨による18分間の中断もある中、ナインはぬかるむグラウンドで泥だらけになって戦い、八回の逆転劇につなげた。「すごい」「夢のよう」。満員のアルプス席は歓喜に包まれた。

 アルプス席はスクールカラーのオレンジ色のシャツを着た生徒や保護者、卒業生など約4千人で埋め尽くされた。場内アナウンスで守備に就くナイン。大きな拍手がわき起こったが、先発する安武佑希投手(3年)の父則久さん(50)は不安そうな表情。「小学1年から野球一筋。夢の舞台で、緊張せずに抑えてくれるといいが…」。初回、先制を許すと「まだまだこれから」と、息子を見やった。

 二回の攻撃直前、雷が鳴り響き、雨脚が強くなった。試合は一時中断。応援団の三原孝仁団長(2年)は「始まったばかり。気持ちを切り替えて頑張ってほしい」と力を込めた。

 試合再開。一、三塁の好機に与座嵩平(しゅうへい)捕手(2年)の同点打で応援団は総立ちに。母裕美子さん(48)は周囲とハイタッチ。「悪い流れが止まった」とメガホンを握りしめた。

 直後の三回に2点を奪われ、再び追い掛ける展開。五回に1点を返すも六、七回は無得点。「よかよか」。泥で真っ黒の選手たちに声援が飛んだ。

 ドラマは八回に訪れた。3番手で登板の諸冨将士投手(3年)が満塁でスクイズを決めて同点に追い付き、続く打者は辻上明将(あきまさ)二塁手(3年)。父誠治さん(54)は「長男、次男も城北で野球部員だったが、熊本大会で涙をのんだ。甲子園に連れてきてくれた三男を信じます」と胸に手を当てながら見守った。辻上二塁手は期待に応え、2点適時二塁打。スタンドの興奮は最高潮に達した。

 最終回、諸冨投手が抑えて試合終了。誰もがびしょぬれのまま抱き合う歓喜の渦は、雨雲を吹き飛ばした。諸冨投手の母珠美さん(47)は「こんな感動的な試合は初めて」とうれし涙を流しながら、グラウンドに大きく手を振った。

    ◇    ◇

 ■3校が合同で演奏

 アルプス席には、城北と同じ山鹿市から鹿本商工、鹿本の吹奏楽部員も駆け付けた。3校で総勢40人超の吹奏楽団が、テレビドラマ「あまちゃん」のテーマ曲など、雨の中、息の合った演奏を披露。鹿本商工2年の山本ゆりさん(17)は「めったにない機会に恵まれました」。城北吹奏楽部の川上英一顧問(42)は「みんな前日夕にバスで出発して、ほとんど寝てないのに…。とてもありがたい」と感謝していた。

 ■後輩の快挙に声弾む

 城北の野球部寮の寮監大柿拓也さん(23)も雨のアルプス席で声援を送った。大柿さんは6年前の出場時の主将で、2年前から寮で選手の生活面を、グラウンドではコーチとして技術面を指導する。この日はユニホーム姿で登場。6年前には初戦で敗れており、「悲願の1勝をかなえてくれた」と、後輩の快挙に声を弾ませた。

=2014/08/17付 西日本新聞朝刊=

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