小林優香 無敗の新女王 ガールズケイリンデビューから20連勝

快進撃を続ける小林優香 拡大

快進撃を続ける小林優香

小林優香=東京中日スポーツ提供 9日に行われたガールズケイリンフェスティバルを鮮やかなまくりで制した小林優香(左手前)=デイリースポーツ社提供 2006年の日本選手権(立川)で優勝した吉岡稔真。最後のビッグレース制覇になった デビュー12連勝の記録を持つオートの青山周平

 ガールズケイリンに九州から無敵の女王が誕生した。5月にデビューした小林優香(20)=福岡支部=が9日、女子のビッグレース「ガールズケイリンフェスティバル」(松戸競輪)を、デビューから無敗のまま制覇。さらに次戦もオール1着で優勝し、連勝は「20」に到達。文字通り、向かうところ敵なしの走りを続けている。A級男子並みのタイムを出すなど強さは圧倒的で、2年後のリオデジャネイロ五輪、さらには2020年の東京五輪のメダル有力候補へと一躍浮上した。 (野島成浩)

リオ、東京五輪メダル候補

 「ガールズケイリンの歴史を変える選手になるかもしれない」。小林優香のデビュー前、関係者が語った言葉が今、現実になった。

 5月のデビューから無敗で突っ走り、7月にそれまでのガールズ記録の15連勝に並んだ。新記録を懸けて臨んだ一戦は、自身初のビッグレース出場だった8月の「ガールズケイリンフェスティバル」。その予選の1着で記録を更新して新たな歴史をつくると、翌日の決勝も制して17連勝。「自分を信じて、自分のレースをしようと思っていた」。決勝では、15連勝の記録を持っていた2期先輩の加瀬加奈子(34)や、デビューから12連勝した1期先輩の石井寛子(28)、同期のライバル石井貴子(24)らをまとめて撃破。紛れもない“新女王”の誕生だった。

 その次戦の21~23日の小倉もオール1着でV。連勝は区切りの「20」となり、連続Vは「7」に。無敵の快進撃は今も止まらない。

 ガールズは、他選手と連係プレーを講じながらゴールを目指す男子の「競輪」とは違い、他選手との連係は禁止の「ケイリン」。一個人として、脚力はもちろん、知力や精神力も総動員して競う。ダッシュ力、トップスピード、スタミナに、戦略、闘争心…。その全てに優れた小林はとにかく強く、だから負けない。

 スピードを一気に上げるダッシュ力と、その状態を維持する持続力は、幼少から打ち込んだバレーボールで培われたもの。

ビデオで研究と反省

 そして、無駄や力みのないレース運びは、豊かな発想力と、周囲の声に耳を傾ける素直な姿勢のたまものだ。「競輪学校の滝沢正光校長からは『勝って反省、負ければ感謝』との言葉を、師匠や先輩からは体調やメンタルの整え方を教わった。レース前はビデオで相手を研究して対策を練る。自分のレースも見て反省し、それを踏まえた練習もする」。だから20連勝後も「決勝の反省点を次に生かしたい」と浮かれることはなく、「注目されているので、今後も中途半端な走りはできない」。選手として何が期待されているのかも、はっきりと自覚する。

 国内で最後に負けたのは、3月の競輪学校の卒業記念レース。ともにリオ五輪を目指す石井貴子に敗れての3着だった。「石井さんにはダッシュで、同じく同期の奥井迪さんには地脚(持久力)で及ばない。海外にかなわない人も多いし、自分には課題が多い」。キュートな笑顔の元気娘は、ひとたびサドルにまたがれば、悔し涙の記憶を胸に戦うシビアな勝負師。小林の走りはそのまま、ガールズの歴史になる。

◆小林優香(こばやし・ゆうか)1994年1月18日生まれ。佐賀県出身。熊本市立必由館高時代にバレーボールでインターハイに出場。佐賀女子短大在学中に、ロンドン五輪の自転車競技の映像に触発され、競輪学校106回生を受験し合格。競輪学校の競走訓練では50勝を挙げ、“首席”で卒業した。今年5月16日のデビュー後は負け知らずの20連勝で、ガールズケイリンの連勝記録を更新中。獲得賞金額はデビューからわずか4カ月で600万円を超えた。競輪学校に在校中からナショナルチーム(日本代表)にも属し、今年2月の世界選手権に出場。164センチ、67キロ。

小林優香の全成績

   月/日  競輪場 着順
 1 5/16 岸和田 予選(1)
 2 5/17 岸和田 予選(1)
 3 5/18 岸和田 決勝(1)
 4 5/23 京王閣 予選(1)
 5 5/24 京王閣 予選(1)
 6 5/25 京王閣 決勝(1)
 7 6/6  松 山 予選(1)
 8 6/7  松 山 予選(1)
 9 6/8  松 山 決勝(1)
10 7/7  名古屋 予選(1)
11 7/8  名古屋 予選(1)
12 7/9  名古屋 決勝(1)
13 7/18 青 森 予選(1)
14 7/19 青 森 予選(1)
15 7/20 青 森 決勝(1)
16 8/8  松 戸 予選(1)
17 8/9  松 戸 決勝(1)
18 8/21 小 倉 予選(1)
19 8/22 小 倉 予選(1)
20 8/23 小 倉 決勝(1)
※次走は8/30~の西武園

■ガールズケイリンフェスティバル

 ナイターのG2「サマーナイトフェスティバル」内で争われる、今年新設の女子のビッグレース。出場者は、選考期間(2~5月)内に開催されたガールズケイリンの優勝者などガールズ界トップ級ばかりの21人で、いわば“夏の女王決定戦”。今年は2日制レースで、初日に予選、2日目に決勝を争った。今年の優勝賞金は230万円。

【ガールズ戦線の一年】

 ガールズケイリンも男子と同様、年末の大一番へ向かって一年を争う。

 ガールズの年末の大一番は「ガールズグランプリ」。ガールズ最高額の優勝賞金が設定され、昨年は700万円。1~9月の賞金上位ら7人が出場して争う。今年は岸和田(大阪府)で開催する。

 グランプリや今年新設の「フェスティバル」のほかにも女子の特別レースがある。年3回の「ガールズケイリンコレクション」だ。

 コレクションは3、6、9月に開催。3月は平均競走得点上位7人、6月は3連対率上位7人、9月はファン投票上位7人が出場と、それぞれに違った選考基準が設けられている。優勝賞金はおおむね200万円(副賞等で増額)。

 全国で開催している通常のガールズケイリンは、優勝賞金が29万~39万円。各選手ともここでの頑張りにより、コレクションやフェスティバルの出場を目指し、さらに全選手の目標である年末のグランプリ出場へとつなげていく。

■男子競輪S級は吉岡氏が18連勝

 競輪界で最高位にランクされるS級の連勝記録は、吉岡稔真氏(引退)が1994年1~3月に達成した18連勝。引退までグランプリとG1で計13冠の吉岡氏の絶頂期で、ファンの絶大な支持(つまり多大なカネ)を一身に集めて走る毎日だった。「あのときはすごく緊張しました。『勝たなければ』というよりも、『負けられない』というプレッシャー。オッズなんか怖くて見られなかった」。当時のオッズは、吉岡氏が負けようものならとんでもない高配当という“吉岡オッズ”。吉岡氏は、その信頼に応えねばならない強い使命感と責任感を、勝利への原動力にしていた。

■ボートは川北がデビュー3連勝

 ボートレースはデビュー以来の連勝記録がはっきり残っていない。そもそもボートレースは全ての新人は当分、最も不利な6コース(大外)から走るため、デビューしたてで白星を挙げること自体非常に難しく、2連勝でもかなりまれだという事情が大きい。

 22年前に川北浩貴(42)=滋賀支部=が、デビュー1走目から3連勝で優勝戦(決勝)に進出(1992年11月びわこ。優勝戦は6着)しているが、これなどは相当な快記録といえそうだ。

 ボートレース界の連勝記録は、1970年3~4月に彦坂郁雄氏(引退)が記録した37連勝。継続中の記録としては、森永淳(33)=佐賀支部=が現在19連勝中。森永は次回、26~31日の下関に出走予定。

■オートは青山がデビュー12連勝

 オートレースでは青山周平(29)=船橋=が、2011年7月のデビューから12連勝(デビュー直後の新人は勝ち上がり権利がないため、その間の優勝はなし)。13戦目で初めて進んだ優勝戦(決勝)は、1回目のスタートでフライングを犯したため公式連勝記録としてはここでストップとなったが、2回目は正常にスタートし1着ゴール。無敗のまま初優勝(フライング後でも優勝は記録として認定)というオート界初の快挙を達成した。青山は14戦目も1着。15戦目で初めて敗れた(8着)。

 オート界の連勝記録は、高橋貢(43)=伊勢崎=が2001年1月に達成した14連勝。

■地方競馬ではチアズファンシー19連勝

 地方競馬のデビューからの連勝記録は、チアズファンシー(荒尾、佐賀)が1994年に達成した19連勝が最高。

 デビューからに限らない地方競馬の連勝記録は、ドージマファイター(栃木)が2000年に達成した29連勝が最高。同馬はJRA未勝利から転籍しての活躍で、リストラの星と呼ばれた。


=2014/08/26付 西日本スポーツ=

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