摂津10勝 4年連続、和巳に並んだ!

4年連続の2桁勝利を挙げた摂津 拡大

4年連続の2桁勝利を挙げた摂津

 ■4差キープ
 
 エース摂津正投手(32)が4年連続2桁勝利を達成し、ホークスを再びVロードに乗せた。4四球を与えながらも粘って6回を1失点。摂津の踏ん張りに応えるように打線は同点の7回に4番李大浩が決勝二塁打。チームの連敗も「2」でストップ。この日、2位オリックスも勝利し、ゲーム差は4のままだが、最短で13日にも優勝マジック「10」が点灯する。

 ■9月は2戦2勝

 節目の数字に到達しても、エースは申し訳なさそうだった。「全部勝つつもりでやってますからね。遅いでしょ」。摂津にとって今季登板20試合目。チーム残り16試合となってのシーズン2桁勝利達成は、納得できる状況でないだろう。それでも勝負の9月は2戦2勝。3年ぶりの覇権奪回に、この男の存在が欠かせないことを実証した。

 初回は課題とされる立ち上がりの悪さから、たった10球で先制点を献上した。安打、盗塁、犠打と自由に野球をやらせ、3番陽岱鋼に甘く入ったカーブを中前へ運ばれた。「トータル的にはあそこだけだった」。1試合を通じて試合のプランニングを立てる男らしく、その後は粘りの投球で追加点を許さなかった。

 2回1死一塁の場面では、8番大野、9番飯山を連続三振。4回には大谷に二塁打を許し、1死二塁のピンチを背負ったが、ここも後続を断った。この日最後のイニングとなった6回には四球と盗塁で無死二塁とされたが、4番中田からの中軸3人をきっちり料理。決め球はすべて、自分がエースに上り詰める上で最大の武器としてきたシンカーだった。

 これでチームの右腕では、2003~06年の斉藤和巳(本紙評論家)以来となる4年連続2桁勝利を達成。かつて「絶対エース」と呼ばれた男に肩を並べたが、摂津は「チームが勝ったことが一番」とまったく気にも留めなかった。胸に秘めるのは優勝の二文字だけ。秋山ホークスの新エースとして、チームを思う気持ちは誰にも負けない。

 ただ、感慨にふける瞬間はある。プロ入り前はJR東日本東北に所属し、8年間も社会人野球で腕を磨いた。シーズンオフには自動改札機が普及する前の東北各地のJRの駅に立ち、駅員として検札していた。そんな時代を乗り越え、プロでは新人王、最優秀中継ぎ投手、最多勝などの投手タイトルを奪取。12年には沢村賞にも輝き、球界を代表する投手として君臨した。

 「7、8年目はもうほとんど、プロ入りはあきらめていた。その頃から考えると、いまの自分はまったく想像もできない」。人生は何が起こるか分からない。社会人で野球人生を終えていたかもしれない男が、自力で球団史に名を刻んだ。

 エースの粘投でチームの連敗も2でストップ。「摂津で止めて、オリックスも金子で(連敗を)止めてね。こういう試合が続く」。優勝マジックの最短点灯が13日に伸びても、秋山監督の表情はどこかすがすがしかった。 (石田泰隆)

=2014/09/11付 西日本スポーツ=

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