武田、復活勝利。昨年9月11日以来。MAX151キロ

 21歳の「夏男」が帰ってきた。右肩痛でファーム調整を続けてきた3年目の武田翔太投手(21)が今季初登板を初勝利で飾った。西武打線に対して5回1安打無失点。この日の最速151キロの直球と緩いカーブを柱に8奪三振をマークした。ルーキーイヤーの七夕デビューから8勝を挙げたエース候補が打線の援護を受けながら演じた真夏の夜の復活劇。4連勝のチームは貯金を今季最多の22とするとともに、球宴明けから今季最長となる5カード連続勝ち越しを決めた。

 真夏の夜に、爽やかな「翔太スマイル」が戻った。329日ぶりの白星を手にしてのヒーローインタビュー。「いろんな方々に支えられて、やっと戻ってくることができました」。5回に右ふくらはぎをつりかけたこともあり、わずか78球での降板となったが、1安打無失点でチームを4連勝に導き自然と笑顔がはじけた。

 試合後の愛くるしさとは裏腹に、マウンド上では、独特のふてぶてしさも戻った。4点リードの5回。2死一塁から永江を追い込むと、最後は外角へ117キロのカーブを投げ込み見逃し三振に切った。5イニングで8奪三振のうち、半数の4個がカーブでの見逃し。「細川さんのリードのおかげ」と謙遜したが、相手の裏をかく「技術」と「頭脳」で、21歳とは思えない“老練”な投球で獅子打線を手玉に取った。

 力強さも戻った。2回には先頭のメヒアをこの日最速となる151キロの直球で空振り三振。苦しんだ分、10キロ近く増えた体重だけでなく、一回り大きくなって戻ってきた証しだ。高卒1年目に、七夕デビューからいきなり8勝をマーク。さらなる飛躍が期待された2年目の昨季は、開幕ローテ入りしながら17試合の登板で4勝(4敗)止まり。リーグワーストだった68与四球の制球難も含めて、右肩痛が原因の一つだった。

 昨オフに一度は回復したが、今春キャンプですぐに同じ状態となり、別メニュー調整へ。キャンプ中に宮崎を離れて福岡県内の病院で検査も受けた。手術こそ回避してリハビリ生活が始まったが、その時間を無駄にはしなかった。

 「ケガをしたらダメだということが分かった。どうすれば、自分の肩がいい状態になるか徹底的に考えた」。現在の日本球界では先発投手は登板2日前にブルペン調整を行うことが主流だが、投球練習を再開した5月からさまざまな投球練習の間隔を試した。自ら先発前の「中2日ブルペン」を導き出し、この日も登板3日前に120球を投げ込み臨んでいた。

 今季初登板での好投でチームに4連勝をもたらした右腕を、秋山監督は「前とは違うんだよ」とその成長を認め、たたえた。ローテーションの戦略上、きょう7日に1度登録を抹消されるが、近いうちに2度目の先発を託されるのは間違いない。「次はもっと長いイニングを投げられるようにしたい」。貯金は今季最多の22。勝負の夏場に、首位独走を後押しする21歳の「夏男」が、帰ってきた。 (倉成孝史)

=2014/08/07付 西日本スポーツ=

PR

PR

注目のテーマ