松中、決勝打で男泣き 2年ぶりお立ち台

涙のV打-。大歓声に包まれて、松中信彦内野手(40)がヒーローになった。5回に代打で決勝の適時二塁打。ひと振りに生きるプロ18年目の男が、20歳年下の大谷を打ち砕いた。チームを3年ぶりの8連勝に導いた後、元三冠王は2年ぶりとなったお立ち台で男泣き。試合のなかった2位オリックスとのゲーム差を「4・5」に広げ、真夏の独走態勢に入った。

 大歓声に勝負師の涙腺が緩む。こらえようとするたび、松中の目は熱いものであふれた。最後に本塁打を放った2012年7月16日以来、召された本拠地のお立ち台。「久しぶりなんで…。やばいです。どんなときもたくさんの…」。そう言うと感極まった。「ファンが声援を送ってくれたのがありがたかった」。同点で迎えた5回2死一、二塁。今季初長打となる勝ち越し二塁打を放った。汗にまみれた2軍からはい上がり、ひと振りに生きる40歳。全盛期を知るファンは、そんな姿に心を揺さぶられている。

 同点に追い付かれた直後の5回裏だった。明石が敬遠気味の四球で歩かされて好機が拡大。前の打席でチャンスに凡退していた細川に代わって登場した。「(速球を)見てみたいという思いもあったが、まずはランナーをかえすことに必死だった」。20歳年下の“二刀流右腕”は160キロ超の快速球が代名詞。「真っすぐは引っ張っても変化球はそうはいかない。どちらにも対応できるよう、試合前の打撃練習から準備してきた」。スライダー、フォークボールと続いた3球目。真ん中高めのカーブを仕留め、三塁線を抜いた。全力疾走で二塁ベースに達すると、何度も拳を握った。

 「一発も魅力だけど、ああいう(走者をかえす)打撃をしてくれるとな」。うなずいたのは秋山監督だ。通算352本塁打。もう2年以上、一発はない。今季は24打席すべて代打での出場だ。それでも「代打松中」がコールされると本拠地は一番の歓声が湧き起こる。「この大観衆の前で、打てたら引退してもいいな」と口にしたことがある。12月で41歳。現役生活が晩年に来ていることは自覚している。「この年になってファンに支えてもらっていたことをあらためて強く実感する。だからこそ、チームに、そしてファンに恩返しがしたい」。前日(9日)には執念のヘッドスライディングを見せた。1打席に全身全霊を懸ける思いで、新たな境地を切り開いている。

 無限の才能をいかんなく発揮している大谷に、2週連続で黒星をつけた。11年9~10月以来、3年ぶりの8連勝で2位オリックスとのゲーム差は4・5まで開いた。いよいよ独走態勢に入って、12日の楽天戦は故郷熊本での一戦となる。「出られるかは分からないけど、僕の原点でもあるし、しっかりファンにいい姿を見せたい」。過去の栄光と決別し、今を闘う背番号3が真夏のVロードを加速させる。 (永松幸治)

=2014/08/11付 西日本スポーツ=

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