ホークス両リーグ最速70勝 吉村がV打

 両リーグ最速の70勝は最強右腕を粉砕して、もぎ取った。本拠地を熱くした6回の逆転劇。主役は「必殺仕事人」の吉村裕基外野手(30)だ。金子から代打で勝ち越しの2点二塁打を放つと、8回は3号2ランでダメを押した。両チームの意地や執念が激しくぶつかり合った首位攻防第2ラウンドを秋山ホークスが総力戦で制し、ゲーム差を「2・5」に広げた。

 ヒーローは誇らしげに右拳を突き上げた。一塁側へ視線を移すと、ベンチを飛び出して喜ぶ仲間の姿が目に入る。その光景を見ながら、吉村は二塁ベース上で身震いしていた。「すごい声援を頂きましたから。いい仕事ができてよかったから」。紅潮した顔が、興奮の度合いを表していた。

 柳田の押し出し四球で追い付いた6回。なおも2死満塁の好機でコールされた。「金子はいい投手。勝負をかけるなら、ここしかないと思った」。秋山監督は代打の切り札を、中盤の6回で投入。球界を代表する最強右腕を打って勝つためには、当然の策だった。

 初球。真ん中高めの145キロストレートにバットは空を切った。続く2球目。外寄りの高めの143キロに両腕を伸ばしながらバットの先端で捉えた。左中間に落ちた執念の打球。三走の長谷川に続き、二走の松田も本塁へ迎え入れた。規定投球回に達する投手ではただ一人、防御率1点台を誇る金子が顔をゆがめた。

 「代打だったので、相手投手が誰とかではなく、とにかく『オレが行くぞ』と気持ちを入れて打席に立ちました。いい安打になったし、いい得点になったと思います」

 吉村だからこそ打てた一打だ。試合で多用するバットの長さは34・5インチ(約87・6センチ)。主流は33・5~34インチ(約85~86・4センチ)とされており、他の打者より1~2センチ長い。「横浜時代は35インチ(約88・9センチ)を使っていたこともある」。この“長尺バット”を自在に操れるだけの技術と怪力を持つからこそ、多彩な変化球を交えながらミリ単位で出し入れしてくる金子の外角ぎりぎりの球を捉えることができた。

 完全に流れを引き寄せると、明石の右前適時打で一挙4得点でマウンドから引きずり下ろした。金子の1試合6失点は今季自己ワーストだった。「2死からつながって一気に行けたのが大きかった。集中力がよかった」。9回にサファテで追い付かれ、延長12回ドローに終わった前夜は「詰めが甘かった」と嘆いていた秋山監督も一夜明けての快勝にほくそ笑んだ。

 代打で打率4割6分7厘の10打点。無類の勝負強さを発揮する吉村は、8回にもダメ押しの3号2ランを左中間にたたき込んだ。「届くとは思わなかった。ドラえもんの誕生日にホームランを打ててうれしい」。3連戦前に鑑賞した映画でリラックスし、大事な一戦で大仕事をやってのけた。この勢いで、西も粉砕してみせる。 (石田泰隆)

=2014/09/04付 西日本スポーツ=

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