北津留が2種目連覇に挑戦/九州地区プロ自転車競技大会

地元開催に力が入る福岡Aチーム。後列左から松尾信太郎、名川豊、松永真太、勝部貴博。前列左から中村賢監督、市橋司優人 拡大

地元開催に力が入る福岡Aチーム。後列左から松尾信太郎、名川豊、松永真太、勝部貴博。前列左から中村賢監督、市橋司優人

北津留翼 団体追い抜きでの巧者ぶりは全国トップ級の鈴木栄吉 井上昌己 小野俊之 佐々木翔一 体調管理にも自信を見せる大竹慎吾

 九州の競輪選手たちが、車券とは関係なく自転車競技の各種目で競い合う「第41回九州地区プロ自転車競技大会(地区プロ)」が11月5日、北九州市小倉北区の北九州メディアドーム(小倉競輪場)で開催される。入場無料。九州を代表する自転車競技の第一人者・北津留翼(29)が、4キロ個人追い抜きとチームスプリントという異種2種目の連覇を地元バンクで狙うほか、アテネ五輪銀メダリストの井上昌己(35)=長崎=など、アスリートの資質に優れた“豪脚”が一堂に集結。来年5月に別府競輪場(大分県)で開かれる全国大会出場を目指して、覇を競う。 (野島成浩)

■福岡A“有終”だ

 「28秒5!」「ラスト1周!」。観客のいない夕方の北九州メディアドームに、福岡Aチーム監督の中村賢(40)の声が響いた。バンクでは団体追い抜きのメンバーが練習中。中村監督はストップウオッチを手にタイムを読み上げながら、各人の動きに目を光らせた。

 北九州が本拠地の選手による福岡Aの面々が、地元開催に並々ならぬ意欲を見せている。なぜなら、地元で「福岡A」として戦えるのは最後かもしれないから。これまで、久留米勢による福岡Bとは別チームだったが、選手数の減少に伴い、合併の可能性があるのだ。

 それだけに今回、各種目に福岡Aの名を残そうと、中村監督は奔走。ドームの空き状況を調べて練習時間を確保することから始まり、練習後は、データを分析して団体追い抜きの走者順を決定。スプリントに初挑戦の野球部出身の新鋭・市橋司優人(22)には綿密な助言を送った。

 そんな中村監督が全幅の信頼を持って送り出すのが、随一の猛者・北津留翼だ。北津留は昨年、チームスプリントで福岡AのV奪還に貢献。さらに、4キロ個人追い抜きに初めて出場し、大会新記録でVの離れ業。「翼は何をやっても強い」と周囲の度肝を抜いた。

 スピードとスタミナ。趣の全く異なる異種2種目の連覇が懸かる今回だが、本人は至って自然体。なんと「地区プロの前にマウンテンバイクの大会に出るので、山の中で練習中」と言うのだ。マウンテンバイクにまで取り組んで、トラックでもまた好記録を生んでしまうのか? 天性の自転車好きの才能に、今年も仰天させられそうだ。

■鈴木で大分V8だ!!/4キロ団体追い抜き

 4キロ団体追い抜きは、名門・大分チームが7連覇中。そのうち6回に名前を連ねる“レギュラー”が、鈴木栄吉(30)だ。本業の競輪では最高ランクのS級の経験はなし。それでも団抜きとなれば、大分チームに欠かせない屋台骨だ。

 大分の強さの秘密は呼吸の良さ。中でも鈴木と安東宏高、小岩大介の3人は、10年以上に及ぶチームメート。「安東さんが1年上で、小岩君は1年下。高校(日出暘谷)からずっと一緒に練習している」(鈴木)。昨年のもう1人のチームメート加藤大輔は負傷中で出場が微妙でも、結束力の維持に不安はない。

 大分チームには何よりも、ぜひとも頑張りたい理由がある。「来年の全プロは別府ですからね。しっかり準備して地区プロに臨みたい」。地元開催への出場は最低ノルマ。抜かりなく、危なげなく、王座防衛を果たす。

■アテネ五輪銀の井上新たな挑戦/1キロTT

 2004年アテネ五輪のチームスプリントでの銀メダル獲得から10年。井上昌己(35)=長崎、右写真=が、新たなチャレンジだ。ダッシュ、スピード、持久力…。チームスプリントにも増してバランスが必要な1キロタイムトライアルにエントリーした。

 「衰えを感じるから原点回帰。あえて、体力的にも精神的にも苦しい1キロに挑戦して、自分自身に刺激を入れたい」。昨年優勝の下沖功児(鹿児島)や、大学自転車界でも名を残した野口大誠(熊本)など、自分より若い後輩たちがライバルになるが、五輪戦士の底力で全てをはね返す。

■4年ぶり優勝へ 小野の強気不変/ケイリン

 「別府の全プロに出るためにも、相手が誰とかは関係ない」。来年、地元で開催される晴れ舞台もにらむ小野俊之(38)=大分、右写真=が、4年ぶりのケイリンVに燃える。9月に右半身を負傷し、最近は練習量を増やせぬもどかしい日々。それでも「普通に走れる状態に近づけば、あとは勝つだけ」と強気な姿勢は不変だ。本業の「競輪」ではGP制覇の実績もある実力者。今回の地区プロを一つの試金石に、上昇気流をつかむ。

■打倒大分で金星 佐々木が燃える/エリミネーション

 「団抜きが強い大分は、エリミネーションでも連係がうまい」。佐々木翔一(27)=佐賀、右写真=が、自身の悔しさを思い出しながらライバル打倒へ語気を強めた。佐々木は5年前と3年前には団体追い抜きで、佐賀準Vの一翼を担ったが、大分は破れず。そして昨年、エリミネーションに転向しても大分勢に屈した。「去年は大分3人にうまくレースを進められて、最後は大塚健一郎さんが優勝。自分は簡単に内に包まれて前をふさがれ脱落。同じ思いはしたくない」。今年こそは大分を撃破しての金星を目指す。

■「記録男」大竹が頂点奪還を期す/4キロ個人追い抜き

 ベテラン大竹慎吾(49)=大分=の闘志は一切の衰えなしだ。本業の競輪では9月に3場所連続完全Vを達成し、S級に「特別昇級」。従来の記録を10歳も更新する史上最年長のS級特昇だった。今回の4キロ個人追い抜きでも、頂点返り咲きへの気概にあふれる。

 昨年は北津留翼に敗れたが、それまでは3連覇。「北津留君は強いが、自分は自分で体調を整える。自転車も、風がないドームバンクという点を考えて調整するよ」。2位だった昨年も含め、自己記録は毎年更新中。まだ伸びしろを持つベテランが万全の準備で臨む。

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 ▼九州地区プロ自転車競技大会 オール競輪選手の大会で、主催も出場選手も監督も現役競輪選手。選手は、福岡A(北九州)、福岡B(久留米)、佐賀、長崎、熊本、大分、鹿児島(宮崎、沖縄を含む)の7チームに分かれ、スプリント、4キロ個人追い抜き、1キロタイムトライアル(TT)、4キロ団体追い抜き、ケイリン、エリミネーション、チームスプリントの7種目に挑む。成績上位者は、来年5月18日に別府競輪場(大分県)で開かれる「全日本プロ選手権自転車競技大会(全プロ)」の九州地区代表となり、全プロで好成績を収めると、G1寛仁親王牌に出場できる。

 【スプリント】1対1で戦う。大幅な後退や極端な進路妨害、残り200メートル以降の斜行は禁止だが、あとはどんな走行でも先にゴールすれば勝ち。

 【ケイリン】公営競技の競輪から生まれた種目。蛇行や押し上げなどの横に動く行為が、競輪以上に厳しく裁かれる。

 【1キロタイムトライアル】1キロを独走してタイムを競う。1996年アトランタ五輪で十文字貴信(茨城)が銅メダル。

 【4キロ個人追い抜き】通称・個抜き。400メートルの小倉バンクを10周してタイムを競う。

 【4キロ団体追い抜き】通称・団抜き。1チーム4人が縦列で走る。風圧の負担を分担するために先頭を交代しながらバンクを10周し、最後は3人目がフィニッシュした時点でゴール。

 【エリミネーション】各チーム3人ずつの計21人でスタート。周回ごとに最下位の選手がエリミネート(除外)され、最後に残った1人が優勝。個人戦だが、暗黙の了解でチーム戦が展開される。

 【チームスプリント】1チーム3人が縦列で走り、1周回ごとに先頭選手が退避。最後に残る3人目のタイムを争う。


 ◆アクセス 北九州モノレールの香春口三萩野駅から徒歩7分。車では北九州都市高速・足立ランプから約1分。


=2014/10/28付 西日本スポーツ=

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