ボート表彰/福岡支部勢が4部門受賞

3度目の最高勝率の瓜生正義 拡大

3度目の最高勝率の瓜生正義

着実な成長を誓う最優秀新人の江崎一雄 常に1着だけを目指して全力を注ぐ田頭実 史上最多4度目の優秀女子を受賞した日高逸子 MVPなど3冠に輝いた菊地孝平

■2月4日表彰式 福岡で初開催 
ボートレースの2014年の年間表彰者がこのほど決まり、瓜生正義(38)=福岡=が2年連続3度目の最高勝率のタイトルを獲得するなど、福岡支部勢が4部門を占める活躍を見せた。2月4日にある表彰式は福岡市での開催。表彰式の会場はこれまでは東京が多く、九州での開催は今回が初めて。記念すべき“初開催”に、地元福岡勢が見事に花を添えた。

■瓜生正義(福岡)=最高勝率 
 「光栄です」。2年連続で年間最高勝率の瓜生正義(38)=福岡=が、タイトル防衛を素直に喜んだ。2010年から5年連続で勝率8点台という高率をキープし、そのうち3度がタイトル。“高打率”を稼ぎ出すボートレース界随一の操縦技術は、名人芸の域に差し掛かりつつある。

 なぜ高い数字を残せるのか。ありきたりだが、全ては一戦一戦の積み重ねでしかない。「若い頃は勝率や賞金を意識して戦ったこともあった。でも、気にしようとしまいと、やるべきことは一緒だと気付いたんです」

 目の前のレースに向けて、より良いプロペラの調整を探り、人より早いスタートを切るための作戦を練る。要領よく、どこか肝心な局面だけ頑張れば済む話ではなく、全ての仕事でベストを尽くした先にしか、最高の結果はない-。そのことを誰よりも認識する。

 ただ、それだけの男でもやはり人間。一年を振り返れば「なぜこんな失敗をしたのかというレースがある」と頭をかく。調整やハンドルワークで迷ったり逆の判断をしたりして、大敗を喫した。

 大事なのはその先。「同じ失敗を繰り返さないこと」だという。「未熟だから迷いも出るわけで、もっと向上したい。そんな失敗がなくなれば、まだ勝率は上がるのではないかと思う」。失敗の経験こそが上達への材料。瓜生はむしろ負けるたび、さらに進化する。

■江崎一雄(福岡)=最優秀新人

 期待の大器がスターへとまた一歩、接近だ。江崎一雄(27)=福岡=が、ホープの宝庫・九州から3年ぶりの最優秀新人に輝いた。4年前、デビュー初戦でいきなり優勝戦(決勝)に進出。ボート界では異例のデビューを飾った大型新人だけに、周囲も本人も待ちわびた栄冠。「素直にうれしいです」と喜ぶ一方、そうそうたる歴代受賞者の中に名を連ねて「自分も結果を残せるように」と口元をキリリ。表情からは、今後への覚悟や決意が強くうかがえた。

 力量からして、年頭から受賞の最有力候補だった。ただ、優勝ゼロでは受賞対象にならないのが通例。その中で昨年、10月末という押し迫った時期に初Vを達成。受賞の決め手になった。

 ただ“1軍エース”を見据える男にとっては、これは出発点。「自分はまだ力不足。でも賞を頂けたことで、トップ選手の中で戦うチャンスを与えてもらえた。今までの先輩たちの教えを生かせるかどうか。全ては今後の自分次第」と、いっそうのレベルアップへの自覚を新たにする。

 と言って、浮足立つことはない。「気持ちが空回りして事故を起こすようでは、今までの失敗と同じ。地に足を着けて頑張りたい」。事故の罰則で休みを強いられ、何度も足踏みをしてきたのがこれまで。この先は、回り道なしの一直線のスター街道を歩んでいく。

■田頭実(福岡)=最多勝利

 「3着でも舟券には貢献できるが、1着を取ることを最も大事にしている」と話す男にとって最高の栄誉だ。田頭実(47)=福岡=が、127勝で最多勝利。122勝の白石健(37)=兵庫=との競り合いは年末まで続いただけに「終盤はプレッシャーも大きかったので、うれしいのと同時にホッとしました」と、大きく息をついた。

 公営競技選手の本分である「常に勝利を目指して全力を尽くす」という責務を、最も全うしていると言える。レースの大小にかかわらず、フライング(F)覚悟のスタート攻勢で期待に応える。

 「師匠には『もっと技を身に付けろ』と言われてきたのに、勝ち方としては安易なスタート一撃が自分のパターンになってしまった」。教えを守れなかったことに申し訳なさはあるが、「でもお客さんも、自分の舟券はアタマ(1着)で買いやすいかなと思って…」。

 Fを犯せば1カ月単位の休みが罰則として科せられる。それでも、ファンに期待された役割を果たすことに全力を傾ける。実際、年に数本のFを犯して人より長く休み、1着数が伸びない年も多かったが、昨年は1カ月の休みにとどめ、1着を量産した。

 表彰式会場は地元の福岡とあって「一生の思い出になりそうです。菊地君以外の賞を福岡勢で占められたのもうれしいこと」。支部の仲間と喜び合える舞台は、昨年の重圧で陥った胃の痛みも吹き飛ばしてくれそうだ。

■日高逸子(福岡)=優秀女子

 女子の第一人者に新たな勲章が加わった。日高逸子(53)=福岡=が、史上最多の4度目の優秀女子を受賞。「選手になって30年。この年齢で賞をもらえることはなかなかないだろうし、頑張ってきてよかった。ありがたいの一言です」と、ひたすら感謝した。

 昨年末に住之江ボート(大阪市)で開かれた女子最大のG1レース「クイーンズクライマックス」を初制覇し、年間賞金額で女子トップ(4096万円)に立った。「一年の中でもあの優勝の価値は大きかった。ものすごいエンジンパワーで、それを生かすレースができた」。これで優秀女子をたぐり寄せただけでなく、女子選手の優勝の最年長記録も更新。絶好のVチャンスを逃さずものにした活躍は、新たな歴史も生んだ。

 通算1961勝で新年を迎えた。「今年はまず2000勝を達成したい」。昨年、90勝を挙げている実力者にとってはもはや時間の問題。そして、今年末の「クイーンズクライマックス」の舞台は、地元中の地元の福岡ボートだ。「連覇を、とは考えない。とにかく出場することが第一。そのために一走一走を大切に走っていきたい」。今年末は地元ファンに見守られながら、次の伝説を紡ぎ出す。

■菊地孝平(静岡)=MVPなど3冠

 最優秀選手(MVP)をはじめとする3部門は、菊地孝平(36)=静岡=がまとめて獲得した。

 菊地は「年間で最も活躍できた」と初のMVPを喜び、最多賞金獲得(1億6954万円)についても「プロ選手として大切な“稼ぐ”という点でも一番が取れた」と、それぞれに価値を実感。

 さらに、全国の取材記者の投票で決まる記者大賞にも「人から評価されるということは難しいだけに、うれしく思う」と笑顔を見せた。

 始まったばかりの2015年については、数字などの具体的な目標は掲げない。心掛けるのは「同じことを毎日繰り返すこと」だという。それは「ずっと自分なりにベストを尽くしている」という自負があるからこそ。新年も、勝利の女神の気まぐれにも惑わされることなく、ぶれない心で自らの仕事に専念する。


=2015/01/27付 西日本スポーツ=

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