九州初ガールズ競輪開催 発祥の地・小倉で!16、17日「ミッドナイト」 福岡出身「地元の意地見せる」

2人一緒の決勝進出を誓う矢野光世(左)と大和久保美 拡大

2人一緒の決勝進出を誓う矢野光世(左)と大和久保美

北九州市出身の森美紀=東京中日スポーツ提供 熊本出身の中川諒子=中日スポーツ提供

 1948年、競輪発祥の地・小倉(北九州市)で男子とともに始まり、その後廃止された女子競輪が、再び発祥の地で熱戦-。昨年、ガールズケイリンとして48年ぶりに復活した女子競輪が、16~17日の小倉競輪の深夜開催「ミッドナイト競輪」の中で争われる。九州でのガールズ開催が初めてなら、ミッドナイトを女子が走るのも初めて。そんな歴史的な一戦に人一倍の闘志を燃やすのが、地元福岡支部の大和久保美(21)と矢野光世(22)だ。「地元の意地を見せたい」と意気込む2人にスポットを当てた。 (森田祐樹)

■大和 成績充実 体重増でパワーUP

 弾ける笑顔がまぶしい。ガールズ1期生の大和久保美は、いつでも愛嬌(あいきょう)満点。選手になって体重が増えたことから付いたニックネーム“くりーむパン”の通り、柔らかで丸っこい表情が魅力的だ。

 若い女性にとっては気になるばかりのその体重も、今の大和にとっては日々の努力の証し。「体重は気にしません。ギアを踏みこなせるようになるためにも、パワーが必要ですから」。そのために大好物の卵焼きを食べまくって、トレーニングに励む。午前中は長距離を乗る「街道練習」をみっちり。午後は久留米競輪場に場所を移し、ひたすら全力でペダルを回してバンクを走る「モガキ」などの練習メニューをほぼ毎日、日没までこなしている。

 昨年7月のデビュー直後は振るわなかった。デビュー初戦は3日間全部ビリのオール7着。初1着には4カ月近くを要した。「流れに置いていかれて、レースに参加できていなかった」

 しかし、小学生時代から陸上の中長距離で鍛えた能力は、着実に花を開きつつある。デビュー後の半年間は初勝利の1勝だけだったのに、今年は既に4勝。「今はもう慣れてきて、みんなと一緒にレースができている」との実感がある。4月には初めて決勝にも勝ち進み、6月に2度目の決勝進出。「プロとしての責任感をはじめ、今までの人生とは全く違う充実感を味わっています」という満ち足りた精神面に、成績の充実もついてきた。

 今回は九州初のガールズ開催。「地元代表として負けられません」。笑顔の中に、レースで見せる勝負師の厳しい瞳が輝いた。

 ◆大和久保美(やまと・くぼみ)1991年8月12日生まれ。身長159センチ、体重57キロ。福岡県久留米市出身。久留米工業高専中退(高卒認定)。2012年7月、平塚競輪場でデビュー((7)(7)(7))した102期生(ガールズ1期生)。陸上で培った抜群の持久力が持ち味。

■矢野 初V狙う 「夜遅くても大丈夫」

 「夜はどんなに遅くても大丈夫です」。5月にデビューしたばかりのガールズ2期生・矢野光世は、ミッドナイトにうってつけの“夜行性”だ。「だいたい午後10時くらいから目がさえて、元気になってくるんです」。さすがに真夜中の練習まではしなくても、深夜は普段から熱心に読書にふける時間帯。練習スケジュールも、早寝早起きで朝型の選手が多い競輪界にあって、午後からが基本だという異色のスタイル。「ミッドナイト競輪はみんなは眠たい時間帯かもしれないけど、自分は絶対に大丈夫です」と笑う。

 たどってきた経歴も異色だ。高校は工業高校だったが、次の進学先は調理師の専門学校。「得意料理はギョーザ。皮から作るんですよ」。しかし卒業後に握ったのは包丁ではなく、今度はハンドル。バイク便の自転車版、メッセンジャーのアルバイトを始めたのだ。自転車は、メッセンジャーを題材にした映画を見た小学生時代からの憧れ。「アルバイトの間に自転車の面白さにはまって、自転車でもっと稼ぎたいと思った」。そこで目にしたガールズケイリンの募集。自転車に抱いた夢を、競輪選手という形で実現させた。

 競輪学校では女子18人中6位と上位の成績を残して卒業し、デビュー後は4場所で3度の決勝進出と安定した走りを見せている。最高成績は2場所前の決勝3着。ただ、今回はお任せの深夜の開催とあって「同県で1期先輩の大和さんと一緒に決勝に勝ち進んで、ワンツーを決めます」と、これまで以上の成績を力強く約束。狙うのはもちろん、初優勝だ。

 ◆矢野光世(やの・てるよ)1991年3月3日生まれ。身長162センチ、体重58キロ。博多工高-中村調理製菓専門学校。5月、京王閣競輪場でデビュー((3)(2)(4))の104期生(ガールズ2期生)。デビュー戦後も3場所目まで連続で決勝に進出した。剣道で鍛えた忍耐力と瞬発力が武器。

■北九州市出身の森 がい旋レースに期待

 小倉開催に燃えているのは福岡支部勢だけではない。実家は北九州市門司区、出身校は北九州高専の森美紀(29)も、支部は岡山でも心は“地元戦”だ。結婚した今は既に北九州を離れており、岡山で選手になったが「まさか自分が競輪選手になるとは思ってもいなかったし、自分が育った街で出走できるなんて…」と人一倍の思い入れでレースに臨む。

 現在4歳の息子を持つママさん選手として、ガールズ1期生の中でもデビュー前から注目を集めた。「普段は子どもと一緒に午後10時ぐらいには寝ている」そうで、ミッドナイト開催の今回は時間帯が少し気掛かりだが、1月には初優勝を飾るなど実力は確か。早めに北九州入りしており、備えも万全だ。

■熊本県出身の中川 “準地元”で再浮上へ

 「熊本出身なので、九州で走れるだけでもうれしい」。V候補の一角の中川諒子(29)=新潟=が、九州初出走に気持ちを高めている。

 重量挙げで活躍した早稲田大時代は九州を離れたが、高校まで熊本で育ち、大学卒業後の就職先はJR九州。生活の舞台は常に九州だった。

 ロンドン五輪出場の競輪選手の兄・誠一郎(34)は憧れの存在。だから、女子競輪復活の報道にはすぐに反応した。新潟の自転車クラブで練習を積み、ガールズ1期生に合格。昨年7月のデビュー後は第一線で活躍し、年末には女子上位7人による「ガールズグランプリ」にも出場した。

 「昨年の方が成績が良かった」と近況は平凡。だが地元九州での一戦は、再浮上へのいいきっかけになるはずだ。

=2013/06/13付 西日本スポーツ=

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