【SB和田コラム・1】 野球人口増加、で提案です

 5年ぶりに福岡ソフトバンクホークスに戻りました、和田毅です。さっそくですが西スポのコラムを担当することになりました。題して「月曜から野球ばなし」。このコーナーでは、ざっくばらんにですが、野球の将来を考えながら、僕個人が思ったことをつづっていきます。1年間、どうぞよろしくお付き合いください。


 本題に入る前に、この場を借りて申し上げます。今回の熊本地震による被害の報道に接するにつけ、心が痛むばかりです。先日内川が言っていたように、あってほしくないことが起きてしまった。僕も妻と娘がいる身ですが、被災された方の心中は察するに余りあります。球団、選手会、また個人としても何らかの形で支援し、継続していくことが大事だと思っています。


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 このコーナー第1回は、いかに野球人口を再拡大するか、を考えます。5年ぶりに過ごすヤフオクドーム。お客さんの数が減っているとは感じませんが、野球人口は引き続き、減少傾向と言われます。では、なぜそうなってしまうのか。


 小1で少年野球チームに入りました。細かい経緯は覚えていません。親がチームに連れていってくれたのでしょうが、確かなのは、野球がやりたかったということ。野球を始めるきっかけって、球を遠くへ投げたい、速い球を投げたい、遠くへ打ちたい、速く走って盗塁をしたい…とか、そういう純粋な動機のはずで、実際、僕もそうでした。


 でも野球って、チームに入ってみると、やりたいことができなかったりする。球拾い、グラウンド整備、声出し、ひたすらランニング。それをやって一人前で、はい上がって、ようやくボールを持てる。それが日本人の美徳というか、昔ながらの「やらせる」指導だと個人的には思います。


 それが、僕らの時代は当たり前だった。子どもの数が多くて、ただ待っていてもチームに入ってきて、どうかすると削らなきゃいけない。でも少子化が進んで、スポーツや趣味が多様化した今は、競技が「選ばれる」時代になった。では、昔ながらの野球の指導のあり方は、今の子どもたちに合っているでしょうか。


 球に触れない、上下関係が厳しい…そういうイメージで、野球から遠ざかってしまうことがあるかもしれない。親御さんも、そういうところに入れるよりは、子どもがやりたい、楽しくやってくれるところに入れたい。9歳の娘を持つ親としては、そういう想像もします。いかに子どものときから、質の高い競技環境があるか。例えばサッカー。僕の見方ですが、初めからボールが蹴られる。上下関係はあっても不必要には厳しくない。年少世代からのトッププロまでの育成システムも整備されています。


 僕が運が良かったのは、最初に入ったチームの仕組みが良かった。学年で分かれていて「1、2年はC」「3、4年はB」「5、6年はA」。Cは1年生だけでボールを投げたり、打ったりして、球拾いだけじゃなくて楽しかった。ちゃんと野球していたんです。


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 僕は体が小さくて、線も細かった。そのチームの中では、小3からAチームに入れてもらいましたけど、単に足が速くて、肩がちょっと強かったから。背が低かったんで、しゃがんで四球を取って、二盗、三盗…みたいな選手でした。


 中、高では最初から球に触れはしなかったけど、中学もシニアじゃなくて軟式野球だし、高校も、いわゆるしごきがあって、上下関係がめちゃくちゃ厳しいところではなかった。恵まれていたと感じます。その代わり、めちゃくちゃ強いチームではなかったですが。


 35歳になりましたが、今、少年野球を指導する年代って、僕と同じぐらいか、前後ぐらいでしょうか。「俺はそうやって育ってきた」と思うなら、それは仕方ない部分もある。僕も自分の環境を全て美化するつもりはなくて、技術や栄養面など、当時からもっとちゃんとしたことを学べれば、もっと上にいけたのでは…という思いもあります。


 野球をする目的もいろいろ。みんなプロになりたいわけじゃない、体力づくりや、社会で生きる上での人間形成のために、親御さんが勧める場合もあるでしょう。単純な話じゃないですが、大前提として、野球って楽しいな、こんなに魅力があるんだと、子どもたちに伝えたい。それを野球に関わる者みんなで、役割分担こそ違っても、一緒にやれたらいいな…というのが、僕の勝手な思いです。


 僕らプロ野球選手の役割は、野球の競技者のトップグループであり、それを自覚すること。ウチの選手なら柳田みたいに遠くへ飛ばしたい、千賀みたいに速い球を投げたい、武田みたいなカーブを投げたい…そういう憧れを持って、子どもたちは見ている。僕の場合は、一生懸命やっている姿を見せたい、と思ってやってきたつもりです。オフからこの春にかけ、球界ではいろんな問題が出てしまいましたが、見られている…常にそういう意識で、グラウンド内外で過ごさないといけないのは当然です。


 どれだけ子どもたちのモチベーションを上げられるか。それは、どんなプロ野球選手であるか、そしてどんな少年野球チームをつくるか、にかかっていると思うんですよね。 (福岡ソフトバンクホークス投手)

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