梅ケ谷 これぞ大将 福岡大大濠 2年ぶりV 無心の面 30分の死闘制す

【男子決勝・高輪‐福岡大大濠】佐々木(高輪・手前)から面を奪う梅ケ谷(福岡大大濠) 拡大

【男子決勝・高輪‐福岡大大濠】佐々木(高輪・手前)から面を奪う梅ケ谷(福岡大大濠)

 わずかに残る力を振り絞った。梅ケ谷と高輪・佐々木との大将同士の一戦は5回目の延長に突入。「勝負を決めるのは自分。恐れず、捨て身でいかないと」。無心で面に飛び込み、合計約30分に及んだ決勝の死闘にけりをつけた。

 先に副将まで抜かれ、黒木貞光監督は「伝説をつくってこい」と言って梅ケ谷を送り出した。男子決勝で大将が4人を抜いて優勝したのは、1976年の福岡商(現福翔)の白水清道以来、37年ぶりの快挙。激闘を物語るように試合後、手足がつった。「疲れました」。ピンチにも動じない大将が、本当に伝説をつくった。

 先鋒同士が引き分けた後、相手次鋒に3人を抜かれた。「このまま抜かれては福岡大大濠の大将として恥だ」。梅ケ谷は次鋒に引き小手と引き胴で2本勝ち。中堅には延長で引き面を決めた。副将にも1本勝ちした。6回戦から全試合で引っ張り出され、7回戦以降は全て逆転勝ち。計11人を抜いた大将を、黒木監督も「これほどの経験は今までない。梅ケ谷のおかげ」とたたえた。

 2年生大将として臨んだ昨年、決勝で敗れて3連覇を逃した。その後、主将として引っ張ったチームは全国の舞台に立てなかった。福岡県総体では、初戦で福岡第一に屈した。梅ケ谷が勝てば代表戦に持ち込めた大将戦で、逆に出小手を打たれて敗れ、全国総体への道を絶たれた。

 黒木監督が「真面目で剣道に取り組む姿勢が素晴らしい」と評する優等生。県総体後は「この先、どう頑張ればいいか分からなかった」とふさぎ込み、自宅で夜中まで泣いた。そんな主将を両親が支えた。「これからまた頑張れば大丈夫」という言葉に心が軽くなった。

 「玉竜旗に全てをかけた。どんな逆境でも自分が勝利に導く」。得意の引き技を生かすため、飛び込み面の練習を繰り返した。最後はその飛び込み面で勝負を決めた。屈辱を乗り越えて奪回した大旗。「一番いい形で終わることができました」。母の万里子さんと握手を交わす梅ケ谷の瞳は、涙で濡れていた。

=2013/07/30付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ