けがで強くなれた 有田工、熊本工、樟南の3選手、仲間の支えで復帰

けがを克服し、甲子園でプレーする有田工の草野捕手(右)=8日午後、兵庫県西宮市の甲子園球場 拡大

けがを克服し、甲子園でプレーする有田工の草野捕手(右)=8日午後、兵庫県西宮市の甲子園球場

 8日開幕した夏の甲子園。九州勢の中には、重いけがを克服して夢舞台にたどり着いた選手がいる。苦難を乗り越える力になったのは、仲間の励ましと絆だった。

 8日の開幕戦、九回裏2死。有田工(佐賀)の草野善彦捕手(3年)は古川侑利投手(同)の決め球のストレートをがっちり捕球した。見逃し三振。仲間と勝利を喜びつつも、骨折が完治していない右すねを気遣い、「痛みが出なくてよかった」とほっとしていた。

 骨折したのは佐賀大会開幕の3日前。全治1カ月と診断され、「自分の夏は終わった」と涙を流した。だが、1年からバッテリーを組む古川投手は「甲子園に行くころには絶対治る」と信じていた。その気持ちにこたえたくて、痛みを押して3回戦からマスクをかぶった。今は「走ったら少し痛む程度」。次の試合も懸命にボールを受ける。

 熊本工の山下滉太投手(同)は昨年4月、試合中に左足の靱帯(じんたい)を断裂した。約1カ月入院し、その年の熊本大会は力を発揮できなかった。「来年の夏には絶対的エースを目指せ」。そう叱咤(しった)してくれたのが本田将大捕手(同)だ。奮起して1日300球を投げ込み制球力を磨いた。今年の熊本大会では全6試合を完投し、名実ともにエースになった。9日が初戦。「マウンドで、自分の投球を貫くだけだ」

 樟南(鹿児島)の福山龍仁選手(同)は3月に左足を骨折した。激痛が続き「夏の大会でもプレーできないのでは…」と弱気になった。だが、メンバーから漏れた今井国羽(かんう)君(同)と交わした約束が支えになった。「ベンチ外の仲間の分も頑張る」。あの約束を力にして初戦に挑む。

 ただ、選手には将来があるため、指導者は葛藤する。有田工の植松幸嗣監督は「甲子園に出たい気持ちは尊重したいが今後の生活に影響が出るなら出場は無理だと言い渡す。難しい判断だ」と打ち明けた。

=2013/08/09付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ