奈須、「魂」の力投 「幻の併殺」にも動じず

11回1死一、二塁、延岡学園・薄田の二ゴロで、併殺狙いの一塁転送が悪送球。二走・浜田(左端)がサヨナラの生還を果たし喜ぶ延岡学園ナイン 拡大

11回1死一、二塁、延岡学園・薄田の二ゴロで、併殺狙いの一塁転送が悪送球。二走・浜田(左端)がサヨナラの生還を果たし喜ぶ延岡学園ナイン

9回1死一、三塁から登板、二ゴロ併殺打の仕切り直しの後、2者連続三振を奪い、雄たけびを上げる延岡学園・奈須

 全球ストライクの「魂の6球」だった。同点の九回1死一、三塁。延岡学園の3番手奈須怜斗(3年)は、プレー再開後のマウンドで冷静に右腕を振った。48年ぶりの宮崎勢4強を導く2者連続三振。「最高の投球ができた」。最後はマウンドで雄たけびを上げた。

 1点も許せない場面での救援登板。2ボール後の二ゴロ併殺で危機を脱したかに見えたが、プレー直前に延岡学園の投球練習のボールがフェアゾーンに進入。投球前に左翼線審がタイムをかけていたため、プレーは無効。まさかの「幻の併殺」となってしまった。

 大舞台での想定外の仕切り直し。動揺してもおかしくない場面だが、奈須は「気持ちを切らすことなくできた」と胸を張った。2ボールの苦しい状況から6連続ストライクを奪う快投に、重本浩司監督も「これほどの投球をやってくるとは」と驚きを隠せなかった。

 奈須は九回以降もスコアボードに「0」を貼り付けた。背番号10の力投は勝利の女神も振り向かせた。延長十一回に富山第一の失策でサヨナラ勝ち。奈須だけでなく、八回に同点二塁打を放った4番岩重章仁(3年)たちの桜色のユニホームが、カクテル光線の下で夜桜のように映えた。

 準決勝は、県勢初の決勝進出を懸けて花巻東と対戦する。「もっと上に行きたい」。奈須は力を込めた。野球の盛んな九州で春夏通じて唯一甲子園での優勝がないのが宮崎県。新しい歴史をつくるためにも、チーム一丸で前進を続ける。

=2013/08/20付 西日本新聞朝刊=

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