ボートレース 九州・山口勢新人紹介(113期)

第113期卒業記念競走で優勝し、ガッツポーズする中田達也 拡大

第113期卒業記念競走で優勝し、ガッツポーズする中田達也

五十嵐一聡/やまと学校113期 堤啓輔/やまと学校113期 津田詳子/やまと学校113期 飯田庄吾/やまと学校113期 小城千奈/やまと学校113期 古賀智之/やまと学校113期

 福岡県柳川市にあるモーターボート選手養成のやまと学校で20日、第113期選手養成訓練員の卒業記念競走、卒業式が行われ、九州・山口から7人の新人がプロとしてデビューする。その中で、リーグ戦全8戦中5勝をマークして最高勝率に輝いた中田達也(福岡)が、卒業記念競争優勝戦でもV。抜群の成績を自信に、“植木2世”を目指す。

卒業記念V 植木2世だ
▼中田 達也(なかた・たつや、福岡・20歳)
 中田が尊敬するやまと学校の植木通彦校長は、言わずと知れた元SGレーサー。しかも北九州市の小倉商業高校を中退しており、中田は後輩。2人とも野球部に所属していたことまで同じだ。中田は高校在学中、大学進学を考えていたそうだが「母校に植木校長が来てくれたことがあって、それがボートレーサー、いや植木2世を目指すきっかけになりました」と振り返る。

 やまと学校の成績は抜群。リーグ戦では8戦のうち、4戦から8戦まで5回優勝。勝率も7・69でトップだし、事故率はゼロ。このままプロデビューしていきなり大活躍も期待できるが、中田自身は「あまり外からレースをしていないのがちょっと心配です」と口にする。プロの世界では新人は外枠というのが常識。そこをどう克服してくるか。

 実務教官の荘林幸輝氏は「勝率上位の3人はみんな良いものを持っていますよ。中田君は勝率トップだし、何事も器用にこなす。操縦面でも冷静な対処もできる。あえて言うなら小さくまとまってしまわないように頑張ってほしい」と、プロレーサーの先輩としてのアドバイスを送る。

 勝率上位でB1級でのデビュー。中田の次の目標は「3年以内にA1に上がること」。それを実現するためには中田自身が好きな言葉という「努力に勝る天才なし」。その気持ちを持ち続けたら外枠の克服はもちろん、将来は明るい。

 中田を身近で見てきた父・信之さんは「自宅に帰るたびに顔ツキがしっかりしてきました。やまと学校に感謝しています」と口にするが、それは中田自身が努力を続けた成果ともいえそうだ。

 植木校長は現役時代に数々の実績を残したが、初優勝まで時間を要したり、ペラで苦労した時期もあった。植木校長も「努力の人」。中田は植木2世になる資格を十分に持っている。

同期最年長 経験が武器
▼五十嵐 一聡(いがらし・かずあき、山口・29歳)
 「初めてボートレースを観戦した時、この道で生きたいと直感した」。五十嵐一聡は、長崎大を卒業して生命保険会社に入社。しかし安定したレールにあきたらず、1年4カ月でサラリーマン生活を捨てて、身の置き場を探していたところに転機が訪れた。やまと学校の試験を受けて2回目で合格。勝負の道を選んだ。

 小、中、高、大学と全く同じ道に歩んだ現役選手で先輩の新名文博とNPOのボランティア活動で知り合ったのもこの道を志すきっかけ。「新名さんは人間的に尊敬できる大先輩で、新名さんのように人望の厚い選手になりたい」と言う。

 113期では最年長の29歳でのデビュー。「若い人と比べたらハンディはあると思うが、経験も武器になるはず。動体視力では負けない自信があります」。動体視力の良さで日本一のS巧者になった瀬尾達也の例もある。「必ず日本一の有名なレーサーになる」ことを誓ってデビューを待つ。

努力重ねて 笹川賞獲る
▼堤 啓輔(つつみ・けいすけ、佐賀・27歳)
 堤啓輔は4回目の試験で合格。初めてペアボートに乗ったときのスピードと、迫力に魅せられてサラリーマン生活に見切りをつけ、挑み続ける努力が実った。社会人時代にはよくからつやボートピア三日月で舟券も買っていたという。「だから夢はボートレースからつにお客さんがいっぱいきてくれて、盛り上がること。そして笹川賞で優勝することですね。ファンをたくさん呼べる選手になりたい」と夢はでっかい。

 3月から荘林幸輝教官に師事して、その真面目さ、人間性にひかれた。自身も真面目でコツコツやるタイプとの評価を受けている。やまと勝率は5・38と平均的なランクだが「あとはいかに自分から動けるか次第。積極的になれば、成長もできる」とは荘林教官の言葉。

 デビューは遅いが「その分、努力します」と自分を鼓舞して奮い立たせる。ファンに夢を与える選手へまず一歩踏み出す。

姉妹で彩る 水上夢舞台
▼津田 詳子(つだ・しょうこ、山口・25歳)
 1歳上の姉(裕絵)を追って、この世界の門をたたいた津田詳子は、3回試験に落ちて、4回目でやまと学校の合格キップを手にいれた。高校を卒業して社会人の経験もあり、女子としては25歳と遅いデビューだが「姉の走る姿を見て、かっこいいと思って」と思い切って転身。1年間の訓練を乗り切って、プロとしてのスタートラインに立った。

 やまと勝率は2・98だが、卒業記念のやまとクイーン決定戦では、インから先に回り2着に残る走りを見せて、笑顔がはじけた。

 短所はネガティブなこと。「悩み過ぎて、結果が出なかったことが多かった」というのが担当教官のコメントだが、本人は「落ちるところまで落ちたら、開き直って強気になれます」と強気な一面ものぞかせる。「将来の夢は賞金女王になること」という目標を見失わずに努力すれば、女子ボート界に津田姉妹ありといわれることも夢ではない。

柔道で錬磨 秘めた闘志
▼飯田 庄吾(いいだ・しょうご、福岡・19歳)
 小、中学時代は柔道(初段)で鍛え、高校では硬式テニスに青春を費やした飯田庄吾が、進路に選んだのは、音と迫力に胸を高鳴らせたボートレースだった。出身は福岡県糸島市の福吉。「福岡よりもからつの方が近かったので、からつで見る方が多かったですね」。小さな頃から父に連れられて通って、あこがれたレーサーになる夢を実現させた。福吉出身の選手には、松尾基成がいる。「まだ会ったことはないけど、明るくて元気いっぱいの人だと聞いています」。会うのを楽しみにしている様子。

 性格的にはおとなしく表情が顔に出ないということだが「気持ちでは負けません。気合で走ります」と内に秘めた闘志は人一倍。やまと勝率は5・42だが担当教官の言葉を借りれば「操縦センスがあり、伸びしろが感じられる」と将来が楽しみ。アピールポイントの若さでボート界に新風を吹き込みそうだ。

銀盤滑走は アジア5位
▼小城 千奈(おぎ・ちな、福岡・20歳)
 小城千奈は、中学でスピードスケート(ST)に打ち込み、アジア大会500メートル5位の実績を持ち、祐誠高校では自転車競技で西日本大会の500メートル1位、スプリント1位と栄光も手にした。しかし「自転車競技を続けるうちに、筋力で男子には勝てない」と男女差を痛感したという。ガールズ競輪という選択肢もあったが「小柄な女性でも男子と対等に戦っている」ボートに出合って、目標をボートに絞ったという。

 「気合です。持ち前の明るさと気合があればどんな困難も打ち破れる」と自己性格を分析。やまと勝率は3・83だが、荘林教官によれば「レースはうまい。実戦でどんどん経験していけば大化けする可能性も秘めています」と期待を寄せる。ファンの期待に応えられる選手を目標に、ガッツと日々の精進でまい進する。

根性の球児 転覆も糧に
▼古賀 智之(こが・ともゆき、福岡・24歳)
 「事故率が高かったんですよ。リーグ戦の優勝戦でフライングもしたし、転覆もした」と古賀智之はリーグ戦を振り返って苦笑。事故率は1・32で卒業生28人中、ワースト。結果、やまと勝率は4・85と数字を残してはいない。しかし、艇界のスーパースター今村豊も本栖教習所時代は転覆王と異名を取りながら、ずっと頂点で輝いている選手。

 不器用さがあだになって悔しい思いもいっぱいしたが、九州産業高校の野球部で培った根性はだれにも負けないと自負している。野球の強豪校で部員100人の中で、3年の夏は18番目でベンチ入りも果たした。

 「かっこよさに憧れて、挑戦してみたいと思った」この世界に3度目の挑戦で念願かなってやまと学校に入学。憧れの瓜生正義を目標に「自分を見に来てくれるお客さんでレース場をいっぱいにしたい」という夢に向かって努力と根性で一歩ずつ前進する。

 ◆やまと学校 ボートレーサーの養成施設として2001(平成13)年3月、福岡県柳川市大和町に日本モーターボート競走会が設立した。総敷地面積は40万平方メートルで、生活施設や訓練施設があり、実際に実戦練習をする競走水面は、ボート場と同程度のものが二つある。全寮制で研修期間は1年間。校長は元選手で、現役時代は艇王と呼ばれた植木通彦氏。

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