菜七子が重賞初V 東京盃 【大井】

友好紙

 菜七子がデビュー4年目でついに快挙を成し遂げた。伝統のダートスプリント重賞「第53回東京盃」(Jpn2、ダート1200メートル)が2日、大井競馬場で行われ、断然1番人気に支持された藤田菜七子騎手(22)=美浦・根本=が騎乗したコパノキッキング(〓4歳、栗東・村山)が、見事な逃走劇を披露して優勝。同馬とのコンビ4戦目、24度目の重賞挑戦で自身初の重賞タイトルを手にした。日本人女性騎手がダートグレード競走を制覇するのは史上初。勝ち時計は1分10秒7で、コパノキッキングは重賞3勝目を飾った。

■4馬身差圧逃劇

 勝ち馬の入る枠馬で鞍から下りて、検量室に入るまで、菜七子は涙ぐんでいた。パトロールフィルムを見返すのもそこそこに、奥のシンクで顔を洗う。頭を上げると、ようやく平生な表情に戻ったが、出てくる時には込み上げるものがあったのだろう。右手で口を押さえた。口取りに向かうコパノキッキングに、自ら鞍つけして再び馬場に向かう。

 まず迎えたのは村山師。両手で握手すると、その右奥からはDr.コパこと小林祥晃オーナーが両手を広げていた。再び両手でしっかり握手して、ほっとした表情を見せた。激戦の相棒に再びまたがる直前、ようやく笑みがこぼれた。

 「すごくほっとした気持ちが大きいです。そしてとてもうれしいです。続けて乗せていただいた、オーナー、調教師の先生、厩務員の方、たくさんの方々に感謝したい」。観衆を前にマイクの前に立つと、屈託のない笑顔を振りまいた。

 それまで重賞2勝のこの馬とコンビが決まったのは2月のフェブラリーS。「菜七子に重賞を」とのオーナーの粋な取り計らいだった。初戦は距離もベストとは言い難いマイル戦のG1では5着も納得だったが、そこから2戦はベストの6Fで惜しい敗戦。期待に応えられずにじくじたるものも抱えていたことだろう。

 でも、この馬と、しっかり向き合ったからこそ、この日の勝利を引き寄せた。発想の自由さと思い切り。五分の発馬からこの日は逃げた。「どう乗ろうか、ほんとに最後まで悩んだ。未勝利や500万では逃げているし、いろんな競馬ができる馬。追い込みとは決め込まないようにしていました。返し馬に乗って、馬の状態もすごく良かった。これならゲートも出る。出たら行こうと、そのとき、決めました。大井の直線がこんなに長く感じたのは初めてです」。終わってみれば直線、一方的に後続を突き放して4馬身差。圧勝だった。

 村山師は「権利を取ったので、オーナーが何というか分からないがG1を前向きに調整していく」と、JBCスプリント(Jpn1、11月4日、浦和・ダート1400メートル)への参戦に前向きだ。もう「女性」という前置きはいらない。いまや普通に信頼できるジョッキーの1人になりつつある藤田が、おそらく次はG1格のタイトルに挑む。

※〓は「馬へん」に「扇の旧字体」

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