DeNAの主砲がメジャーリーグ挑戦

共同通信

 プロ野球DeNAの主砲、筒香嘉智がポスティング制度によるメジャーリーグ挑戦を表明した。

 プロ生活10年目、11月26日には28歳を迎える。全盛期と言っていい時期での挑戦は、もちろん球団の理解があってのものだが、筒香のチームへの貢献度は高い。

 セ・リーグのクライマックスシリーズで阪神に敗れると、すぐさま渡米した。

 表向きはメジャーのポストシーズンの試合観戦だったが、すでに代理人業務を委託する「ワッサーマン」社と今後に向けた打ち合わせも行っている。

 ここ数年、横浜スタジアムにはメジャーのスカウトや球団関係者が視察にやって来ていた。

 お目当ては筒香。2017年にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の4番打者として活躍して実績は文句なし。渡米への機も熟したとあれば熱い視線を送るのも当然だ。

 今オフ、日本球界では筒香以外にも秋山翔吾(西武)と菊池涼介(広島)がメジャーへの挑戦を表明した。

 秋山はシーズン最多安打記録を打ちたてるほどの「ヒットマシーン」で、西武では不動の1番打者である。

 菊池は米国関係者が「忍者」と舌を巻く守備の名手、7年連続のゴールデングラブ受賞の堅守と日本人特有の「スモールベースボール」を実践できる職人だ。

 筒香の魅力は、何といっても豪快な打撃であり、最大のセールスポイントだ。

 過去に外野手としてメジャーの門を叩いた選手にはイチロー(マリナーズなど)、松井秀喜(ヤンキースなど)、田口壮(カージナルスなど)青木宣親(ロイヤルズなど)らがいるが、秋山がイチロータイプなら、筒香は松井に似たタイプと言える。

 果たして名門ヤンキースで4番を打ち、ワールドシリーズでは日本人初のMVPにも輝いた偉大な先達にどれくらい迫れるのだろうか。

 筒香と松井。ともに日本でのプロ生活は10年なので打撃成績を比較してみる。

 ▽筒香

・打率2割8分5厘 205本塁打 613打点

 ▽松井

・打率3割4厘 332本塁打 889打点

 打率、本塁打、打点のいずれも松井の数字は筒香を大きく上回っている。

 ちなみにシーズンの最多本塁打も松井の50本(2002年)に対して筒香は44本(2016年)。

 数字を見る限りは「スモール・ゴジラ」の感もある筒香だが、近年、日本人メジャーリーガーへの評価は「投高打低」。つまり投手は通用するが、打者は迫力不足という見方が大多数だ。

 特に巧打よりパワフルな一発を好むのが米国の国民性だから、筒香には松井以来の本塁打の打てる主軸打者への期待がかかる。

 筒香にはメジャーでの飛躍と活躍を予感させる材料もある。14年、まだ22歳の若さで日本代表に選出されると、翌15年のオフには自ら志願してドミニカで行われていたウインターリーグに参加して、メジャーリーガーの卵たちの激しい生存競争とパワフルな打撃に刺激を受けた。

 この時に身につけたのが下半身を極端に動かさない「すり足打法」である。

 外国人投手のボールは速い上に手元で変化するカットボール系が主流で、どれだけ手元まで引きつけて弾き返すかがポイントになる。

 その成果は、翌年のシーズンで前年まで0本だった左方向への本塁打が11本に増えたことで実証されている。

 松井もまた渡米後に同じような試行錯誤を繰り返したが、筒香はこの時点から米国に渡った時の準備を始めていたのだ。

 もう一つ、長距離砲を目指す筒香への追い風もある。

 今季のメジャーの総本塁打数は6776本で、2年前の6105本を上回るリーグ新記録となった。

 明らかに異常な要因は、本塁打を放つ打球角度を分析した「フライボール革命」と飛ぶボールの採用だと言われる。

 これまで20本塁打の打者が30本以上のアーチをかけ40、50本塁打も当たり前の時代。今季29本塁打に終わった筒香が米国生活1年目から40本近いホームランを記録しても驚かないのがメジャーの現状だ。

 既に現地報道によれば、筒香に関心を寄せる球団は打てる外野手を求めるホワイトソックス、インディアンズ、ブルージェイズ、ロッキーズ、マリナーズなどとなっている。

 中には名門・ヤンキースも指名打者候補として調査しているとの報もある。

 米球界は今月に入り、GM会議が開かれ、さらにウインターミーティングと各チームの補強は本格化する。

 「ゴジラ松井」がワールドシリーズでMVPのトロフィーを高々と掲げてから10年。さて、筒香はどこの球団のユニホームに袖を通すのか。そして、どれだけのアーチを量産して本場の度肝を抜くことができるのか。楽しみである。

荒川 和夫(あらかわ・かずお)プロフィル

スポーツニッポン新聞社入社以来、巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)などの担当を歴任。編集局長、執行役員などを経て、現在はスポーツジャーナリストとして活躍中。

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