来季は日本人ドライバーが本格参戦するWRCに注目

共同通信

 元号が改まり令和となった今年も残りわずかとなった。スポーツの世界でも大きなニュースが続いた1年となったが、真っ先に思い浮かぶのは日本開催となったラグビーのワールドカップ(W杯)だろう。史上初となる決勝トーナメント進出を果たすなど大活躍した日本代表に熱狂しただけでなく、観戦のために来日した外国人観光客による「インバウンド効果」なども話題となった。

 また、7月に開催されたテニスのウィンブルドン・ジュニア選手権男子シングルスで、16歳の望月慎太郎が四大大会ジュニアの同種目で日本人初となる優勝を飾った。四大大会ジュニアでは1969年の全仏オープンとウィンブルドンの女子シングルスで沢松和子が優勝して以来、日本勢では50年ぶり2人目のタイトル獲得となった。

 ゴルフでも実質プロ1年目の渋野日向子が8月に行われた女子ゴルフのメジャー最終戦、AIG全英女子オープンを20歳=当時=で制覇した。日本勢のメジャー勝利は1977年の全米女子プロ選手権を制した樋口久子以来で42年ぶり2人目となる快挙を成し遂げた。

 モータースポーツの世界に目を向けると、4月には米・インディカー・シリーズ第3戦アラバマ・グランプリで佐藤琢磨(ホンダ)がポールトゥウィンで勝利。同シリーズ通算4勝目を上げた。また、6月15~16日に開かれた伝統の耐久レース、ルマン24時間でトヨタの中嶋一貴、フェルナンド・アロンソ、セバスチャン・ブエミ組が2連覇を果たした。中嶋は世界耐久選手権(WEC)でも日本人初の総合王者にも輝いた。

 来る2020年はいよいよ、東京五輪・パラ五輪が実施される。それだけに、世界各地で日本人アスリートのさらなる活躍を期待したいところだ。そんな中、モータースポーツの世界では世界ラリー選手権(WRC)に日本人ドライバーが本格参戦することが決まった。今季第10戦「ラリー・ドイチェランド」で初参戦したトヨタの勝田貴元が11月開催のラリー・ジャパンを含む年間8戦に出場することが発表された。来季のWRCは全14戦なので、半分以上でその走りを見られることになるが、どのような結果を出してくれるだろう。今から楽しみだ。

 今シーズン、トヨタに25年ぶりのWRC年間総合王者のタイトルをもたらしたオット・タナクは勝田について次のように語る。

 「貴元はポテンシャルがある。彼の良い点はスピードを恐れないこと。彼はサーキットドライバー出身という点が生かされていると思う。一方で、サーキット出身なので、まだまだラリーの経験を積む必要がある。『いきなり勝てるレベルで活躍できるか』と聞かれれば、まだだろう。それよりも最高峰クラスでの経験を積むことが重要だ。彼はまだまだ成長過程だ。なので、しっかり成長を待ってあげてほしい。僕は来年トヨタチームには居ないが、たとえ別チームであっても、貴元にアドバイスを求められたら喜んでアドバイスをするよ」

 さすがに、いきなり最高峰クラスで活躍できるほど世界は甘くないようだが、確実に日本人ドライバーとして成長できることは現世界チャンピオンも太鼓判を押した。そして、これは社交辞令ではないだろうと感じた。というのも、タナクと勝田はプライベートでも仲が良く、一緒に食事などに行く機会があるそうだ。タナクが一番好きな日本食は最高ランクとなる「A5和牛のステーキ」だが、和牛にA5を始めとするランクがあることも、勝田に教えてもらったのだという。

 さて、日本人によるWRC初優勝を期待するのはいきなりは難しいようだが、現世界チャンピオンから直接アドバイスが受けられるドライバーであれば、その成長は間違いないだろう。勝田選手には令和2年の日本モータースポーツ界をリードする存在として頑張ってもらいたい。同時に来シーズンはWRCに注目だ。(モータースポーツジャーナリスト・田口浩次)

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