三島由紀夫ドキュメンタリーで会見 平野啓一郎氏「今の保守層が『日本はスゴい』と言うのとは違う」

オリコン

 豊島圭介監督、作家の平野啓一郎氏が17日、東京・外国特派員協会で行なわれた映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』(20日公開)の会見に出席した。

【写真】映画化の経緯を語った豊島圭介監督

 同作は1969年5月13日に東京大学駒場キャンパス900番教室で行われた作家の三島由紀夫と、東大全共闘との伝説の討論会の様子を軸に、三島の生き様を映したドキュメンタリー。高精細映像にリストアし、当時の関係者や現代の文学者、ジャーナリストなどの識者ほか、三島についての「生きた」証言を集め、1969年と約半世紀後の現代を結ぶ作品となっている。

 豊島監督は「普段、ホラー映画やコメディー映画といったジャンル映画を作っている身。この話が来たときに1番、驚いたのが僕自身」と苦笑いで振り返る。TBSが2019年に討論の映像を発見したことから映画化の話になり、東大時代の同級生が同局にいたことからオファーを受けた。「三島由紀夫に我々が持っているイメージは、市ヶ谷の自衛隊の駐屯地で楯の会の制服を着て割腹自殺をした小説家。1番の驚きは、この映画に写っている三島由紀夫はまったく、そのイメージからかけ離れた生き生きとした姿。自決したちょっと奇妙な小説家ではない。もともと持っていた三島イメージが180度覆されました」と驚きを語っていた。

 同作にも出演する平野氏は「僕は驚きませんでした。僕は14歳のときに初めて三島由紀夫の小説を読んでから、かなり三島作品を読んできた。三島の肉声がCD化されたり、今回の対談自体も文字化されて、ずいぶん早く読んでいた」と真逆の感想を抱く。そして「三島と生前、親しかった人たち、例えば横尾忠則さん、瀬戸内寂聴さん、美輪明宏さんから直接、人となりを聞く機会が何度もあった。親しかった人は口をそろえて『非常に魅力的な人だった』と。魅力的なエピソードをたくさん聞かせてくれた。そういうイメージと齟齬のない三島由紀夫だったと思います」とパブリックイメージとの乖離を口にした。

 ともすると過激に思われがちな三島。情熱を持って日本を変えようとしたことについて平野氏は「三島っていうのは基本的に日本の戦後社会を全否定していました。非常に厳しく批判しています。その点が、今の保守層が『日本はスゴい』と言うのとはまったく違う。自由民主党のことも否定的に語っている。日本を否定するときに、彼の中にあった理想的な日本は戦前に彼が教育を受けた天皇を中心とした日本があるべき日本として存在していた」と説明。メディアなどに露出し、適用しようとしたが「どうしても戦後社会に違和感を感じた。だんだん嫌気がさした。耐えられなくなった。あるべき日本のイメージとして彼の中には第2次世界大戦の前の日本、天皇の名において文化的に非常に長い歴史を持つ日本に立ち返るべきなんじゃないかと主張したんだと僕は理解しています」と三島についての持論を展開していた。

関連リンク

PR

オリコン アクセスランキング

PR

注目のテーマ

福岡ソフトバンクホークス アクセスランキング