レース界に俺たちが風起こす/2013年注目選手紹介

◆篠崎仁志(しのざき・ひとし)1987年12月3日生まれ。福岡県出身。101期のやまと学校時代は在校勝率1位(8.08)で卒業チャンプ。兄・元志と将来の福岡支部を背負って立つ逸材。通算成績は29優出7優勝で、獲得賞金は1億1103万円。 拡大

◆篠崎仁志(しのざき・ひとし)1987年12月3日生まれ。福岡県出身。101期のやまと学校時代は在校勝率1位(8.08)で卒業チャンプ。兄・元志と将来の福岡支部を背負って立つ逸材。通算成績は29優出7優勝で、獲得賞金は1億1103万円。

◆吉本卓仁(よしもと・たくじ)1983年12月12日生まれ、福岡県出身。2004年7月デビュー、初優勝A級は04年9月の武雄、S級は07年9月の久留米。S級1班。89期。ホームバンクは久留米競輪場。練習仲間は坂本亮馬、白水洵、田中孝法。 ◆松井大和(まつい・やまと)1979年12月7日生まれ、福岡県出身。山陽オート所属の30期生で、2009年1月デビュー。12年後期ランクで初のA級(A150)入り。初優勝は同年10月の山陽一般戦。 ◆山下裕貴(やました・ひろき)1984年9月24日生まれ。佐賀県出身。初勝利の騎乗馬はタイセイコロネットで「逃げてゴールまで遠く感じた」。昨夏のG3サマーチャンピオンでは5着。休日に愛車の足回り整備で息抜き。

 公営ギャンブルに追い風が吹いてきた。昨年末には政権交代に合わせるかのように、株高、円安が日本経済に明かりをともしてきた。ボートの賞金女王決定戦(12月・大村)でも目標を約20億円上回る約90億円を売り上げるなど、レース界でも売り上げ不振脱却への動きが出てきた。新年を迎えて、経済とともにレース界も上昇気流に乗れるか。それにはファンを魅了するレーサーたちの頑張りも欠かせない。今年のボート、競輪、オート、地方競馬を担う強者たちを紹介する。

ボート 篠崎仁志 SGへ準備は万端

 今期適用勝率は7・10と、篠崎仁志(25)=福岡=は自身初の7点勝率をマーク。超一流への扉を開きつつある。
 艇界最高峰レースの賞金王決定戦にも出場経験がある兄・元志とデビュー当初から比較され、「最初は嫌で仕方なかったけど、今は自分にも自信が付いてきたし、逆に注目されてうれしい。自分の中で消化できるようになったし、大人になりましたね(笑)」。艇界のトップ戦線を肌で感じられる兄の存在は大きい。「先輩後輩の関係とは違うし、兄弟というのは本当に関係が近い。自分は恵まれています」。だからこそ目的意識も変わってきた。「今は兄弟で賞金王決定戦に行くのが最大の目標。それでボート界が盛り上がってくれたらいいなと思っています」
 その最大目標を達成するには、2013年をどう過ごすかがカギを握る。「昨年は一般戦を走りながらも、常にSGを意識してレースしていました。Sには自信を持っているしターンも理想が見えてきて、今年のための準備はしたつもり。今の自分の力を“上”で試したくて仕方がないです」。まずはSGに出場しなければならない。「今の自分が自力で勝ち取れるのは総理大臣杯、オーシャンカップ、全日本選手権(ダービー)の三つ。一番近いところでは1月の地区選で優勝して総理杯というのが理想。年末には最低でも賞金王シリーズには出ていたいですね」。スターダムを駆け上がるための技術、そして何よりも意志が備わった今、残るラストピースは結果だけだ。 (森 大輔)

競輪 吉本卓仁 決意のタテ脚勝負

 20代最後の年を迎えた吉本卓仁(29)=久留米=が、タテ脚(自力)勝負の決意を語った。「将来的には戦法の幅を広げていきたいけど、そのためにも今年はタテ脚でどこまでやれるか、挑戦したい」
 昨年は競輪の四大G1といわれる日本選手権(ダービー)、オールスター、競輪祭、高松宮記念杯に初めてフル参戦。そのうち三つの大会で初戦をクリアすると、オールスターでは自身初のG1準決入りを達成した。「目標にしたG3は取れなかったけど、ほとんどのG1で1次予選を突破できたし、着実に成長できたといえます」
 2013年は、反省からスタート。昨年の後半はビッグレースが集中したことで、「まとまった練習ができず、その影響が年末にかけて一気に出ましたね」。みなぎる気迫とは裏腹にたまっていく疲労。オーバーワークを覚悟して練習をするのか、それとも調整にとどめるか。「トップの人はメリハリがうまい。休むときは休んで、やるときはやる。そのバランスがしっかりしていると思います。自分は練習をやらないと不安が先立つんですけど…」。その加減のコツを、タイトルホルダーの加倉正義の助言を仰ぎながら、サバイバルレースにも勝ち抜く術を会得中だ。
 「何をやるにしても、まず自力があってこそ。そのためにはもっと強くならなきゃいけないけど、やることが多過ぎて1日が24時間じゃ足りませんよね(苦笑)」。円熟期の30代へ向けて、忙しくも着々と準備を進めていく。 (森川和也)

オート松井大和 激走エンジニア魂

 走るエンジニア松井大和(33)=山陽=が、目を見張る急成長ぶりだ。昨年9月にデビュー初優出を果たすと、翌10月末には地元で悲願の初V。新年は、強豪選手のステータス「最高ハンディ」まで上り詰める勢いだ。
 実は「劣等生」だった。受験年齢制限の撤廃を機に「憧れもあった」オートレーサーの道へ28歳で転身。熊本大学大学院を卒業後、自動車メーカーで車両開発に携わった経歴の持ち主だが、選手養成所時代は「一番遅いグループ」。デビュー後も成績は振るわず、同期が次々とVを飾る姿を見ながら「正直焦った」と振り返る。
 結果が出始めたのは約1年前。「車が上向いて気持ちに余裕が生まれたことで、考えながら意味のある練習ができだした」。これが成長への大きな契機となり、現在は最高ハンディの10メートル前にまで躍進。目標のS級に手の届くところまできた。
 その、あと少しの前進のためには「攻め幅の広さが必要」と自己分析。イン主体の攻撃スタイルに、「まくりでの展開作り」をプラスしようと、一段のスピードアップに意欲的に取り組む。「最終的には、『気がついたら同期の中でも松井、結構速い方じゃん』と言われたい」。エンジニア魂にあふれる、その研究心と努力で目標を一つずつ実現していけば、かつてその走りに魅了された、飯塚の元エースで、理想とするレーサー故中村政信さんにも近づけるはずだ。 (三島隆助)

競馬 山下裕貴 遅咲き新星成長中

 騎手生活4年目を迎える佐賀競馬の山下裕貴(28)=九日俊光厩舎=が今年、さらなるパワーアップを目指す。「まだまだ未熟です。勝ち鞍、騎乗技術などすべてにおいてレベルアップしたいですね」と2013年の抱負を話した。
 デビュー年が11勝、2年目が34勝、3年目は65勝(12月29日現在)と、勝利数は上昇カーブを描く。佐賀競馬には約20人の騎手が所属するが、1年目に15位だった佐賀での勝ち鞍順位が、3年目はベストテンを突破して5位まで浮上した。いま、注目のジョッキーなのだ。
 デビューまでは苦労もあった。地方競馬教養センター(栃木県)の騎手養成課程を経て、デビューするのが一般的だが、山下の場合は厩務員(きゅうむいん)をしながら一般試験に挑戦。3回目の試験で合格。25歳という騎手としては遅いスタートだった。
 10年4月に初騎乗。同5月30日、難産の末に初勝利を挙げた。「同期の2人はすでに勝っていて焦りもありましたが、外から見て簡単なことも実際やってみると難しい。実戦のレースは調教とも全然違いました」。いまでも初勝利は一番思い出に残るレースだという。
 レースでは発馬に多くの神経を注ぐ。佐賀コースは先行有利。まず好位置をキープするのが結果につながる。好きな戦法は「逃げ、先行ですね」。その一方で「後ろから直線で差す競馬が決まると気持ちがいいんですよね」と会心の勝利を振り返りながら笑顔をみせた。 (吉浦 徹)

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