球界にも「秋田の時代」はやって来るのか?

共同通信

 菅義偉内閣総理大臣が誕生した。

 安倍晋三首相の下で7年半近く「大番頭」である官房長官を務めた実務派らしく、就任早々に規制改革やデジタル庁の新設に意欲を示すなど、精力的な動きを見せている。

 マスコミ各社による世論調査でも65%近い支持率を得て、まずは順調な滑り出しと言える。

 秋田県出身では初の総理とあって、地元は大変な盛り上がりを見せているという。出身地の湯沢市では万歳三唱で盛り上がり花火も打ち上げられた。

 首相になると湯☆(蚕の虫が口)みのような定番のグッズから「スガちゃん瓦割りせんべい」といったお菓子まで秋田だけでなく、国会議事堂や議員会館の売店でも発売され即完売とか。

 そんなところに最近、新たな朗報も舞い込んだ。こちらは世界3大ミスコンテストの一つ「ミスワールド2020」日本代表に、秋田県出身の金谷鞠杏(まりあ)さんが選出されたのだ。あっちもこっちも今や時代は秋田、なのである。

 大注目の「秋田銘柄」ということで、プロ野球界の秋田人脈はどうなのか、調べてみた。今季開幕時点で支配下登録された秋田県勢は6選手。

 ヤクルトの石川雅規、石山泰稚、日本ハムの吉田輝星、ロッテの成田翔、DeNAの進藤拓也に今季から阪神に遠藤成が加わった。

 石川はプロ通算171勝の左腕エース。40歳になった今季は苦しんでいる。身長167センチと小柄で、球速も他の投手に比べて見劣りするが、それをカバーする技術を持っている。

 まさに秋田県人らしい粘りの投球でチームの信頼を得ている。チームメートの石山は今や抑えの切り札。金足農高出身は吉田の先輩にあたる。

 プロ5年目の成田、同4年目の進藤は1軍の壁に挑戦中。ルーキーの遠藤は東海大相模高で鍛えられ、高校日本代表にも選ばれた逸材である。

 さて、これからの球界を背負っていく存在として期待されるのが吉田だろう。

 2年前の夏、甲子園を沸かせた金足農高の大エース。私立強豪校が幅を利かす甲子園大会にあって、県立校として孤軍奮闘。「金農旋風」を巻き起こし、秋田県勢103年ぶりの準優勝は記憶に新しい。

 ドラフト1位で入団した日本ハムでも、昨年6月の広島戦(交流戦)でプロ初登板初勝利を挙げるなど素材の良さは証明できたが、その後は制球難もあって2軍暮らしが続いた。

 より一層の飛躍が期待された今季も、1軍の登板は9月に入ってから。(11日の楽天戦)。高校時代は球威だけで打者を打ち取れたが、プロの世界は甘くない。

 2度目の先発を任された27日のオリックス戦でも2回と持たずにKO降板。首脳陣の信頼を勝ち取るにはまだまだ鍛錬が必要なようだ。

 秋田勢のプロといえば落合博満(秋田工高)山田久志(能代高)らの大物や、代議士に転身した石井浩郎(秋田高)や中嶋聡オリックス監督代行(鷹巣農林高=現秋田北鷹高)らがいる。

 吉田にも球史に残る選手に育ってほしいというのが県民の願いだろう。

 ちなみに都道府県出身別のプロ野球選手を調べていくと(現役選手、育成は含まず)最も多くのプロを輩出しているのは大阪で70人。以下、兵庫(43人)福岡(42人)と続き、逆に少ないのは山梨、鳥取の各1人と長野の2人。

 東北地区だけを見ると宮城の12人が最も多いが秋田の6人は青森、岩手、福島と同数。山形は9人と、決して少ないわけではない。

 かつて秋田は東北のスポーツ強豪県でもあった。野球では全国高校野球選手権大会(当時は中等大会)の第1回に秋田中学が出場して準優勝。その後も秋田高と秋田商高の伝統の一戦は「秋田の早慶戦」として人気を博してきた。

 ラグビーの秋田工高、バスケットの能代工高は全国大会優勝の常連校だった。しかし、野球で言えば県立校が全国レベルで戦うのは厳しい。

 同じ東北の青森、岩手、福島には私立の強豪校がひしめき、他県へ野球留学するケースも増えている。

 古くから東北のスポーツをリードしてきた秋田だが、この分野に限っては曲がり角の時期に差し掛かっている。だからこそ「菅ブーム」に乗って天下を取る選手の出現を期待したい。

荒川 和夫(あらかわ・かずお)プロフィル

スポーツニッポン新聞社入社以来、巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)などの担当を歴任。編集局長、執行役員などを経て、現在はスポーツジャーナリストとして活躍中。

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