加速度増すシニア芸能人のSNS参入 自身の言葉を残す新しい“終活”スタイル

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 堺正章、美川憲一、仲本工事、井上順…錚々たる“オーバー70”シニア芸能人が、近年TwitterやYouTube、ブログ等のSNSアカウントを開設し、話題を集めている。ただ、振り返れば芸能界シニア層のSNS参入は今に始まったことではなく、黒柳徹子や和田アキ子といった超大物も5年ほど前から始めており、堺らの“新規参入組”の投稿を見ていても、今や「高齢者はハイテクについていけない」的な決めつけは通用しなくなったようだ。番組企画で1ヵ月限定でTwitterアカウントを開設した堺も「#まちゃあき #世界一受けたい授業 #ぺこぱ」などハッシュタグを使いこなしながら「ツウィッター」の言い間違いも貫き通している(実はネタ?)。「自身の言葉で投稿をする」スタイルが目立つシニア芸能人。単なる投稿にも何気ないメッセージ性を感じてしまう“ある活動”とは?

【写真】言葉と裏腹に笑顔は優しい…長州力&孫の2ショット

■何事もなく日々思ったことをつぶやくシンプルさ 144字が心に響く

 シニア世代のSNSを見てみると、特に何かを仕掛けたり凝ったりすることなく、淡々と日常を綴っていくものが多い。例えば、シルバーTwitterで話題になった故・内海桂子さんにしても、2010年(当時87歳)からTwitterを始めており、今年の4月までほぼ毎日更新、49万を超えるフォロワーがついていた。そして突然の訃報に、Twitter上でも「毎日のツイート、楽しみであり、励みにさせて頂いてました。謹んでお悔やみ申し上げます」「もっともっと為になるお話しを聞かせて頂きたかったです」と惜しむ声が相次いだのである。

 堺正章の盟友・井上順も今年4月よりTwitterを始めた一人だ。きっかけは1月に渋谷区名誉区民の称号をもらったことで、そのお返しとのこと。ほぼ1日に一度、朝の「グッモー」のつぶやきから始まり、自身がずっと暮らしている渋谷の街の良さを発信している。現在、外出もなかなかままならない状況ではあるが、「サンキュー便利マッチ」「カラスだけに“クロウ”した」といった井上らしいユーモア(オヤジギャグ)を交えつつ、毎日更新しているようだ。内海さんと同様、年齢を感じさせない絵文字の駆使や誤字のないことに驚く。Twitterの文字数制限144字いっぱいに書かれ、ご本人の年齢を忘れさせるほど闊達だ。

■バズり方は“チャーミングさ”!? ネット作法は二の次「投稿行為」にこそ意義

 そして、ここ最近のシニアSNS界の話題を独占しているのが、元プロレスラーの長州力(68歳)のTwitter。「#」(ハッシュタグ)が「井」(ハッシュドタグ)になってたり、かつては革命戦士として何にでも噛みついていた長州にあるまじき、かわいらしい間違いが拡散されて一気にバズった。

 フォロワー53.5万人(10月6日時点)、本人がフォロー(長州的には「セーブ」であり、綴りは「FLOWER」)しているのはトランプ大統領のみ。基本的に自分の日常を綴る中、いきなり「慎太郎いますか? 連絡ください」的な知人への私信をぶち込んだり、Twitterは難しいといった愚痴をこぼすなど、試行錯誤しながらも自由につぶやいている。そのあまりの面白さに、ネットでは(本人がつぶやいているんじゃないんじゃないか…)といった疑惑も持ち上がったが、もはや「長州力だったら何をやっても許される?」状態になっている感がある。

 ちなみに先述の堺正章も、芸能人でフォローしているのはフワちゃんのみ。中高生を中心に、動画SNSアプリ『TikTok』内で流行しているポーズ「キュンです」も、キメキメのスーツ姿で「(相変わらずの)ツウィッターの皆様、出来はいかがでしょうか?」とかわいく投稿するなど、しっかり時流に乗っている。

 また、9月にアメブロを始めた美川憲一も、「美川憲一よ、お元気?」「何見てるのよ~」と美川節全開で、「美川憲一のあの声で聞こえてくる」など、さっそく視聴者数を増やしている。堺にしろ美川にしろ、若者だったら(狙いすぎ)(あざとい)などと微妙に炎上しそうなところ、つい「チャーミングさ」や「味」が先立つのもまた“熟練の技”なのかもしれない。

■人生100年時代 “生きた証”を自身の言葉でSNSに残す健全さ

 実際、かつては人気者芸能人・有名人が一線を退いた場合、つまりTVで見かけなくなったとき、自己発信する手段はほぼなく、せいぜい「あの人は今」的な企画に登場するくらいだった。しかし今はSNSの普及によって、ダイレクトにファンからの反応を得られる楽しみもあるし、発信するモチベーションにもなっている。

 一般的にも、仕事をリタイヤしたシニア層が、人と接する機会が減ったことからSNSを始めるケースが多いらしく、中には「戦争を知っている自分たちの経験を伝えたい」との思いが投稿の内容から感じられるものもある。美川憲一のブログにしても、記事のほとんどが「しぶとく生きるのよー!」で締められており、先日終了したドラマ『半沢直樹』(TBS系)の半沢の妻役・上戸彩の「生きていれば何とかなる」ではないが、コロナ禍において“何とか生きる”力をシニア世代からもらっているともいえるのだ。

 こうして見ると、シニア芸能人のSNSに隠された“活動”とは、「生きた証を自身の言葉で残す」、つまり“終活”に近いノリであることに気づく。といっても切羽詰まったようなものではまったくなく、前向きにまだまだ人生を楽しむぞ!というシニア芸能人のたくましさの発露だ。彼らはシンプルに自身の人生を謳歌する姿を披露しているだけであり、何かの利益や刹那的な「いいね!」を求めているわけでもない。人の目やプレッシャーなどを意に介さず、単に自分の考えを発信することだけを自分の活力にしているようなのだ。

 最近では、SNS・ネットなどの誹謗中傷に挫けてしまう若者も多いが、メディアのフィルターやユーザーコメントのリスクも、“年齢と経験の幅”を武器にあっけらかんとはねのけてしまうシニアSNS(芸能人・一般層含め)は、閉塞した社会に対する希望の光を与えてくれるかもしれない。

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