伊藤万理華、あくなき挑戦心で前へ「自分からも提案して作りたい」

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 俳優業だけでなく個展を開催するなど、多方面で才能を発揮している俳優の伊藤万理華。11月4日からは劇作家・の根本宗子が主催する劇団「月刊『根本宗子』」の今年初の新作舞台『もっとも大いなる愛へ』に出演する。今回の公演は無観客・生配信で行われるが、稽古もリモートなら俳優の対面は初日前夜、そして終演後の演出家と俳優のフィードバックの模様も生配信するなど、前代未聞の試みを実施。そんな新たな挑戦に挑む伊藤さんに、稽古の様子や公演への意気込み、今後の活動について語ってもらった。

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■こんなご時世だから生まれた作品に全力投球

――今回の公演は「稽古が完全リモート」「俳優が対面するのは初日の前夜」など、今までにない形式で行われますが、リモートでの稽古はどのように行われどう感じられましたか。

 毎日スケジュールが決まっていて、その時間になったらZoomにログインして始まります。あまりZoomを使ったことがなく、最初は画面上での対話に慣れず、稽古として成立するのかなと少し不安はありましたが、何回かやっているうちに慣れてきました。
作品の内容的にも会話劇が中心なので、対面して稽古する方がもちろんいいのかもしれませんが、リモートでもできることはあるので、不自由なく稽古できています。

――なるほど。リモートでの稽古に手応えを感じられているとのことですが、共演する俳優の方と直接顔を合わせるのが本番の前日。こちらは想像するだけで難しそうな印象ですが…。

 出演の中で唯一、小日向星一さんは今回で3度目の共演になるので、そういう意味では小日向さんは会ったときも安心して普通にいられると思いますが、藤松祥子さんと安川まりさんは「初めまして」で、Zoomで初めてお話ししました。

――やはり直接会っていないというのは影響しそうですか?

稽古の段階ではやりにくいというのはありません。ただ、対面したことによって緊張でセリフが飛びそうだなと(笑)。直接会って会話する熱量が大事な作品ですし、それが一番伝わるようにしないといけないと思っています。みんな「心配ない」という感じで稽古しています、会う時間がなかったので私はちょっと心配です。

――そうですよね。そもそも鑑賞する側も想像がつかないくらいですから、出演される側だとなおのこと。でも、もっとすごいのが上演後の演出家と俳優のフィードバックの配信で、とても驚きましたが聞いたときはいかがでしたか?

 「そんなこと考えるか!?」と思いました(笑)。そもそもZoomでの稽古や無観客での生配信など、今は普通になってきている流れではありますが、こういう状況にならないと思いつかなかったことではないでしょうか。

 根本さんは新しいものを取り入れる方なので、さらに何をするのだろうと思ったら最後のダメ出しのところまで見せる、と。何を言われるか怖いけれど、終わってからの状態をリアルタイムで見ていただくことは普通ないですし、もし自分が観る側だったらすごく楽しみだなと思います。

――伊藤さんは、何か言われると気にしたり引きずったりするタイプですか?

 気にしちゃいますね。例えば「○○だったよ」と言われると、その場ですごく悔しくなります。Zoomで稽古をしていても根本さんは見ているところがやっぱり違うので、「こういうふうにお芝居をやらなきゃいけない」というのを毎回学んでいます。

――舞台は初日から千秋楽まで何度か観劇するのも楽しみ方の一つですが、今回は製作の“裏側”まで観られるので、今まで以上に複数回の観劇に味わいが出そうですね。

 そうなんです! 今回の配信でのポイントといいます、例えば初日と次の日、初日と最終日もなど、2回ぐらい観ていただくのが理想的です。そうすると内容の見え方が変わったり、ダメ出しを踏まえて自分たちの成長だったりも含めて楽しんでいただけると思いますので、2回観るのをおすすめしたいです。

■反省があっても俳優業の楽しさは変わらず

――これまで映画やドラマ、舞台などに出演し、俳優としてもステップを重ねてきていますが、その中で演じることに対する意識の変化や成長を感じる部分はありますか。

 お仕事の中でも、お芝居は終わってから反省点はありますが、楽しい気持ちは変わりません。

――公演は同じ“生”でも、目の前に観客がいるのではなく配信で行われます。演技する上で意識するポイントは違いますか?

 配信はカメラを回しながら演じるので、舞台としてだけでなく、映像の作品としても成立させなければいけない。そこでいつものような舞台の形で見せるのは多分見え方が違ってしまうと思いますし、それが伝えたいことでもない。「カメラの奥で観ている人に問いかけるようにしゃべる」というのを、稽古のときに根本さんからアドバイスをいただきました。

――舞台と映像の融合というか中間点のようなイメージなのですね。ただ目の前に観客がいないと気持ちの作り方や盛り上げ方も難しそうですが…。

 そうですね。あまり意識しすぎてしまうと緊張しいなので、あまり気にしないでおくのがいいのかなとも思います。

 やってみないとわからないですが、舞台でお客さんがいらっしゃる状態も緊張しますし、何回やっても慣れないというのもあります。生配信ではカメラが寄ってくることもあり、さらに相手役もいるので、カメラを意識しすぎると良くないと思いますが、やっぱり気になってしまいそう(笑)。そこは自分の頑張り次第かなと思います。

――今回の経験は今後の俳優業に生かせそうですか?

 カメラマンさんとスタッフさん、そしてキャストと全員との息が合わないと成立しないものなので、そういった空気の作り方や集中力が身につきそうだなと思います。

■コロナ禍では「エンタメに助けられた」

――今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、エンターテインメントにもいろいろと影響が出ています。伊藤さん自身、このような事態を通じてエンタメへの向き合い方に変化はありましたか?

 ステイホーム期間中は芸能人の方がみんなを元気づけようといろいろとされていたし、落ち着いてきてからはこういうリモートの舞台も作られるようになりましたが、私は気持ち的に、そんなに簡単には前向きになれなかったです。

――わかります。ポジティブになろうとしても、なかなか自分の気持ちが追いついてこない状況はありますよね。それでも何か変わるきっかけはあったのでしょうか?

 最初の頃は一人でNetflixをずっと観ていて、リモートで作られた作品を観ようという気にはなかなかなれなかったのですが、だんだん気持ちが落ち着いてきて「いろいろ観てみよう」「歌を聴いてみよう」と思ったとき、根本さんに『超、リモートねもしゅー』の観劇をすすめていただいたんです。それを観たらめちゃめちゃ元気が出て、自分が思っていた以上にエンタメに助けられた気がしました。

 以前からある映画やドラマ、配信作品などもたくさん観たけれど、こういった状況になって作ったという流れやお話もそうなのですが、楽しいことをどんな状況でも作るバイタリティーがすごく刺さりました。自分が観て助けられたのと同じように、自分も今回の公演で誰かを助けられるのでは、助けたいなという気持ちになれました。自分が今できることはそれしかない。そういった想いを、ちゃんと届けられるといいなと思っています。

■さまざまなジャンルで提案”を持っての活動を熱望

――やっぱりエンタメの力って素晴らしいですね。そういう意味で伊藤さんは女優だけでなく、今年の1~2月には「伊藤万理華EXHIBITION “HOMESICK”」という個展も開かれていて、いろいろな角度から勇気やパワーを拡散してくれています。

 今は目の前のお仕事を頑張っていこうという気持ちでいますが、もっといろいろ挑戦したい気持ちはあります。どうしても肩書き一つにとらわれがちというか、例えば個展を開催していた時期は「アーティスト」や「クリエーター」と呼んでいただいて、うれしいのですがそれだけではないという気持ちも。一つのイメージにとらわれないように、お芝居でも幅を広げられるようにしたいと思っています。

――幅を広げたいということで、今チャレンジしてみたいことを教えてください。

 演劇や映像が好きなので、自分からも提案して作りたいという気持ちはあります。

――いろいろなジャンルで活躍する伊藤さんが楽しみですし、ぜひとも観てみたいです。では最後に改めて舞台の見どころを聞かせてください。

 もともとの題材から、根本さん自身のいろいろな想いからギリギリになって脚本を変更したとおっしゃっていて、こういった状況になったからこそ生まれた作品だと思います。

 自分の中で暗い気持ちになったり感情の起伏が激しくなったりする時期でしたし、人との対話もオンラインになり気持ちが伝わりづらかったり、どこかでコミュニケーションがずれてしまったりもしたかもしれません。

 今作ではそういうことをはっきり描いているというか、「どうやったら伝わるんだろう」や「どうやったらうれしいんだろう」と、結局人とのつながりが大事というのが作品に表れています。それが根本さんの一番の想いでもあるので、私は真摯に受け止めて表現できたらと思っています。誰というより全員に観てほしい。きっと元気をもらえることもあると思います。

撮影:田中達晃/Pash 取材・文:遠藤政樹
衣装協力:KOTONA スタイリスト:和田ミリ ヘアメイク:高橋稚奈

2017年、乃木坂46を卒業し女優として活動する一方、雑誌『装苑』での連載、PARCO展を2度開催するなど、クリエイターとしての才能も発揮。2020年10月にはパルコ劇場初の配信演劇『仮面夫婦の鑑』朗読編に出演。同月開催の東京国際映画祭で主演映画『サマーフィルムにのって』が特別招待作品にエントリーされるなど多岐に渡り活動中。

■月刊『根本宗子』第18号「もっとも大いなる愛へ」

【配信日時】
2020年11月4日(水)19:00~
2020年11月5日(木)19:00~
2020年11月6日(金)19:00~
2020年11月7日(土)19:00~
2020年11月8日(日)13:00~
チケットURL:https://eplus.jp/gekkannemoto-nov2020/

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