【麒麟がくる】第31回・演出担当が語る舞台裏 光秀と絆を深めた三英傑

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 NHKで放送中の大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)。8日放送の第31回「逃げよ信長」では、明智光秀が、織田信長の窮地を救って名を上げることとなった金ヶ崎の撤退戦が描かれた。光秀の半生を描く本作において、ターニングポイントの一つとなる重要な回でもあり、光秀役の長谷川博己もだいぶ気合が入っていた様子。演出を担当した一色隆司氏が舞台裏を明かした。

【写真】第31回より。浅井長政に嫁いだ信長の妹・お市(井本彩花) など

■信長が光秀を「蹴り飛ばす」 長谷川博己が提案

 近江の浅井長政が信長を裏切り、挙兵したという知らせを受けた光秀が、信長に命をかけて撤退を求めるシーン。「逃げることなどできぬ」と部屋を出ていこうとする信長を、光秀が止めようとして足蹴にされながらもすぐに立ち上がり、「織田信長は死んではならんのです」と言って土下座をする。

 台本には、信長が光秀を足蹴にするといったことは書いてなく、リハーサルの中で長谷川が染谷に「蹴り飛ばすのはどうでしょう」というひと言から生まれたという。

 「光秀の決意と思いを表現するために、僕は光秀に土下座をしてほしいと言いました。そして長谷川博己さんは、土下座の前に信長が自身の燃えたぎるような怒りを光秀にぶつけたほうが、光秀の『命を賭してでも』という思いが伝わるのではないか、と蹴り飛ばすアイデアを出してくれました。信長の性格を考えると、蹴り飛ばすというのはしっくりくると染谷さんも言ってくれたので、リハーサルで試してみたら、すごくよかったので採用することにしました。また、2人のにらみ合いの間をつくることで、光秀の『命を賭してでも』という思いをさらに高め、土下座へとつなげていきました」(一色氏)

 リハーサルは軽装で行うが、本番では2人とも10キロ以上ある甲冑を身につけるため、蹴り飛ばす方も、蹴り飛ばされる方も大変。長谷川は甲冑の重さで吹っ飛びそうになるのを必死でこらえてすぐに立ち上がり、光秀の命がけの思いを表現し、エモーショナルなシーンになった。

■「号泣」の2文字から信長の感情を具現化した染谷将太

 その後、一人になった信長が泣き叫ぶシーンへと続くが、台本上には「号泣」としか書いてなかったそう。「脚本家からの挑戦状」と一色氏。

 「そのときの信長の思いはいかなるものであったのか? 染谷さんと時間をかけて話をしました。裏切った浅井に対する怒りからはじまり、自分自身の不甲斐なさに対する怒り、失望として返ってきて、やがて思い通りにいかないことに対する呪いのような思いも湧き出してくる。幾重もの感情の波が押し寄せることを意識することによって、単に泣き叫ぶという行為ではなく、感情の渦が駆け巡って絶叫と共に涙があふれ出る感じを染谷さんが見事に具現化してくださりました」(一色氏)

■三英傑それぞれと絆を深める『麒麟がくる』の光秀

 第31回は、光秀が、三英傑――織田信長、木下藤吉郎/豊臣秀吉(佐々木蔵之介)、徳川家康(風間俊介)、それぞれとの関係性、絆を深めるエピソードが、“本当はこういうことだったのでは…”と思えるくらい立体的に描かれた“神回”だった。

 金ヶ崎からの撤退戦を通して、光秀と信長の絆はより強固なものとなった。無事、京に戻った信長と光秀が対面するラストシーン。これからどうしようかと悩んでいる信長に、光秀は麒麟の話をする。

 「これまで現実の世の中と自分が求めている理想の世の中とのはざまで概念的に生きてきた光秀が、初めて死と隣合わせの過酷な戦を経験して、何をするべきなのかを悟り、『信長には次がある』と彼を導いていきます。2人の関係が、次のステージに移行した瞬間を感じていただけるシーンとなったのではないでしょうか」と一色氏。

 秀吉とも一緒に殿を務め、お互い生き延びたことで、絆を深めていった。秀吉が「自分も殿を」と土下座するシーンでは、佐々木も熱演を見せた。「本番で佐々木さんの演技プラン通りにシーンが進んでいくなか、感極まり鼻水が垂れてしまいました。秀吉のキャラクターを考えると、これはとても秀吉らしいと思い、途中で止めることはしませんでした。佐々木さんも演じ続けてくれました。秀吉の思いの強さが表現できたと思います」(一色氏)。

 「争いごとのない、戦のない世を作る。そのために戦うのだ」と、本音を吐露する家康に共感を覚える光秀。その後、金ケ崎での戦いの中で、「戦のない世を作るために、いまは戦をせねばならぬ時。いまは戦を重ねるしかない」と光秀も悟る。

 「1話の中で三英傑がそろったことについては、いよいよだな…という思いを少なからずとも持っていました。光秀を通して、三英傑がまるでひとつのキャラクターに集約していくのではないかと錯覚してしまいます。麒麟が誰に、そして、いつ舞い降りるのか、という期待感を生み出すことができているように思います」(一色氏)。

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