「疲れてしまった…」高齢夫婦の元から“出戻った”老猫、問われる飼い主の責任

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 殺処分ゼロを目指して、猫の保護活動を行うNPO法人『ねこけん』。ブログでは保護した際のリアルな状況から、その後の様子まで詳細に伝えており、多くの読者に動物愛護を訴えかけている。『ねこけん』で保護した猫は人に慣れさせ、新たな家族のもとへ譲渡されていく。だが、中には『ねこけん』に戻ってくる猫もいる。今回は戻ってきた老猫『鈴』について、代表理事の溝上奈緒子氏に話を聞いた。

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■精神的な疲弊は飼い主の怠慢なのか? 老猫を迎えた高齢夫婦からのSOS

 現在、『ねこけん』で保護している中で最高齢と思われる『鈴』。以前、高齢の夫婦から「自分たちで看取れる年齢の猫を家族に」との相談を受け、鈴はその家族に迎えられた。トライアルを経て、すでに夫婦が飼っていた猫とも微妙な距離を保ちながら、平和に暮らしていた鈴。だが、猫も年をとる。年をとれば人間と同様に足腰が弱ってきたり、排尿に問題が出たり、徘徊する猫もいる。鈴もまた高齢となり、トイレではない場所におしっこをしてしまう回数が増えてきた。そんな鈴でも幸せに過ごせるようにと、『ねこけん』からは可能な限り夫婦にアドバイスを送ったり、フォローをしたりしていたそうだ。

 しかし、鈴の面倒を見ていた夫婦は精神的に疲れてしまった。「ケージに入れるのは、かわいそうだから無理」「私も疲れてしまって」という相談から、しばらくしてついに発せられたのは、「引き取ってください」という言葉だった。高齢の夫婦にとって、猫の介助は想像以上の労力だったようだ。

 「猫は高齢になると病気にかかりやすくなるため、頻繁に病院へ連れていかなければなりません。もちろん、費用もかかります。迎えたときは幼い、若い猫ちゃんであっても、やがて年をとっていくのは必然です。基本的に、猫は腎臓が弱く、高齢になると多飲多尿になっていないか?など、気を付けるべきことはたくさんあります。なにかあっても早期発見につながるように、動物病院で健康診断も受けさせてほしいです」

 現在、コロナの影響で対面の譲渡会は開かれていないが、譲渡をして欲しいという人は後を絶たない。ただし、猫もまたいずれ年をとっていくことを、理解しなければならない。老化すれば、今までできていたことができなくなることも多い。粗相をしたらどうするのか? 夜鳴きをしたら? 徘徊したら? 介護の面倒だって、お金が必要な場合だって多々ある。そんな猫に愛情を持ち、最後まで家族の一員として暮らせるのか。溝上氏は、理想だけでは猫の命を守ることはできないと語る。

 「しっかりと現実を踏まえ、未来を見据え、最後まで家族として暮らせるよう、譲渡の際も厳しすぎると言われるほどの条件を設けています。例えば、『ねこけん』の規定では60歳より高齢の方には子猫を譲渡していません。猫と一緒に人間も高齢になっていくので、そういうことも考えてルールを設けさせていただいています」

 鈴は再び『ねこけん』で保護され、生きていくことになった。腎臓が悪くなっているので、この先、点滴や投薬が増えていくかもしれない。それでも、可愛い『ねこけん』の家族として、メンバーが鈴の世話を続けていく。

 猫を家族に迎えるということは、命を迎えるということだ。その子がどんな状態になっても、家族として変わらぬ愛情で世話をすることは当たり前だし、飼い主にはその責任がある。『ねこけん』で保護猫を受け入れるときは、「必ずみんなを幸せへと送り出す」と、猫たちと約束をしている。その幸せが続くことを、メンバーたちは願っている。

(文:今 泉)

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