「いじめられっ子同士付き合えよ」イジメを逆手に恋愛を育む2人に込めた作者の想い

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 「いじめ」をテーマにした漫画『イジメてる2人を付き合わせてみた。』が、LINEマンガで公開され話題となっている。クラスでいじめを受けている中学2年生の男女、モップくんとだいふくちゃん。やがていじめの内容は、2人を無理やり付き合わせてみようというものになっていく。だが2人は、「私達が本当に付き合えば、それはもういじめじゃなくなる」と考え、クラスのみんなの前で「付き合っている」と堂々と宣言をして、いじめている生徒たちを大きく動揺させるといったストーリー内容である。この作品に込めた思いや読者に伝えたいことなど、作者の秋本貴廣さんに話を聞いた。

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■“いじめる側”が感じることにも重きを置きたい ストーリーに込められたもう一つの思い

 もともとは“日陰者同士”の恋愛を描きたかったという秋本さん。その上で、一度はしっかりと描きたい題材の一つに「いじめ」があったため、恋愛と絡めて話を作り始めたことが、このストーリーの着想のきっかけになっている。

 「いじめ」というテーマを扱うことに対しては、「不安は今でも大いにあります。ですが、どこかでは昇華したいテーマだったので、こうした場をいただけてありがたいです」と決意や覚悟の思いも覗かせる。

 本作はタイトルにもあるように、「いじめている側」の視点が大きく描かれているが、そこには「メインはあくまでも『いじめられている側の2人』の恋愛模様だが、それと同じくらい、『いじめる側』が感じることや、その結果にもテーマや重きを置きたかった」という秋本さんの思いが込められている。

 腐らせた牛乳を浴びせる、体育館倉庫に2人を閉じ込めるなど、2人に対するいじめはどんどんエスカレートしていき、ついには「2人を無理やり付き合わせてみよう」という流れになっていく。しかし2人は、「いっそのこと、本当に付き合ってみようか」と考え始める。この設定にもある考えが秘められている。

 「真っ向からやり返すことのできない『いじめられっ子』の2人が、『いじめっ子』たちにひと泡吹かせる“暴力以外の反撃方法”として、この手段を取らせました」

■「読んだときに何かを考えたり思い出したりしてほしい」 いじめを描いた作品で伝えたい真意

 実はこの作品は、最初はLINEマンガのインディーズコーナーに投稿、その後同サービスのデビュープログラム「トライアル連載」に挑戦していた。無事本連載が決まってから書き直しをして内容を変更させた部分がいくつかある。

 「インディーズのときは、すでに『2人がいじめられている』ところから物語を始めました。でも、本連載で掘り下げる機会をいただけたので、主人公の一人である“モップくん”は、『逆らったら自分もいじめられるかもしれない』という葛藤を抱えつつも、同じ痛みを持つヒロインの“だいふくちゃん”を助けるところから描きたくて、変えさせていただきました」

 ちなみに秋本さんの好きなシーンを聞いたところ、「体育倉庫で苦痛を誤魔化すべく笑うモップくんに、だいふくちゃんが『無理して笑わなくていい』と言うシーンが好きです。その次の話で、どんなにいじめられても我慢すると突っぱねるだいふくちゃんに、今度はモップくんが『僕の前では無理しなくていい』と言うシーンも合わせて好きです。“いじめられている”という同じ境遇だからこそ通じ合えてしまった2人がいいと思います」との答えが返ってきた。

 “いじめの陰湿さ”を際立たせるためや、“恋愛の微妙なときめき”をうまく表現するために、描く上でさまざまな工夫も凝らしているという。

 「いじめている側は、どんなに非道なことをしても、常に軽いノリであるようにしています。恋愛に関しては、中学生同士の不器用で純粋なやり取りを自分自身も楽しんで描いています。題材がただでさえ暗くなるものなので、モップくんとだいふくちゃんの2人には、隙あらばこっ恥ずかしいやり取りをしてもらっています」

 最後に、秋本さんに「この作品を通じて伝えたいこと」を聞いたところ、熱い思いを語ってくれた。

 「いじめという点に限っていうと、誰かと一緒に読んで盛り上がってほしいというよりは、一人で読んだときに胸くそ悪くなったり、何か考えたり思い出したりしていただけたらいいのかなと思います。ただ、一番はこの普通なら救いのないテーマの中で、2人のウブな恋愛模様から救いを感じてほしいです」

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