女優の育児トーク、ママイメージがないからこそ新たな“需要”に

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 昨年9月7日に第一子女児を出産、産後から約2ヵ月で主演映画の完成報告イベントに参加するなど、仕事にスピード復帰した北川景子。当時を振り返る“育児トーク”が話題になった。バラエティ番組でも、「毎日戦争みたい」と育児の大変さを率直に語り好感を得た。産後に復帰したタレントが“育児トーク”を繰り広げることはよくあるが、役者にとっては、“父親”や“母親”のイメージが安易につくことはこれまでのイメージを壊す危険もあるはずだ。美人女優のど真ん中を行く北川景子をはじめ、ママたちのぶっちゃけ育児トークが生む「大きなギャップ」と、育児経験者たちからの「支持・共感」とは?

【写真】「さらにパワーアップして戻ってきた」産後初、鋭い眼差しで雑誌表紙を飾った北川景子

■「まだ体重が戻っていない」「可愛いけど、壮絶」”等身大”の育児の本音を番組で吐露

 北川にとって産後初のバラエティ出演番組『しゃべくり007』(日本テレビ系/2020年11月)では、「(この番組には)必死に出てきました」「産後13キロ太って、まだ体重が戻っていない。あと5キロ」「(子どもは)可愛いけど、壮絶。全然寝られない」等々、女優業へのなんの“忖度”もないあけっぴろげな発言を連発した。「ご主人も“手伝ってくれるの”?」という少しひっかかる問いにも、「(主人も)忙しいから、必然的に私のほうが長いですけど」とコメント。さらに「ずっとガマンしてた事ベストテン」企画では、「お風呂も1分くらいで済ませる。行水」「トリートメントしてパックしたい」という北川に、有田哲平が「DAIGOに見てもらえば?」と提案すると、「…信用してないのかなぁ」とポロリと本音も漏らす場面も。

 今年1月の『新春大売り出し!さんまのまんま』(フジテレビ系)では、夫のDAIGOは育児に協力的なものの、「子どもが大きい声で泣いているとき、真横で爆睡していた」とまさに「育児あるある」なエピソードを披露していた。2月3日放送の『TOKIOカケル』(フジテレビ系)でも、5ヵ月かけて13キロ増から11.5キロ減量したことを明かしつつ、「自分の意志で(復帰を決めた)?」とTOKIOらが質問すると、北川は「(即復帰は)イヤでした」と即答したのだ。

 かつては結婚→妊娠→出産後に復帰した場合、極力そうしたプライベートなことは表に出さない(口に出さない)のが“女優道”であり、なるべく視聴者に母親を感じさせないようにしていた。視聴者側も(やっぱりベビーシッターに預けてるのかしら)とか、(お母さんに面倒見てもらってるんでしょうね)などと想像をたくましくさせ、(どうせ私たちの出産や子育てとは違う)といった意識を持っていたはずだ。

 しかし一連の北川の発言は、まさに出産・育児真っ最中のママたちの“等身大”な気持ちそのままであり、SNSでも「北川景子が語ってる育児の悩みが出産直後の私の悩みと全く一緒」「いよいよ北川景子がこちら側にきた」「オーディションから表紙モデルから女優へと駆け上がっていくところ見てたよ…今は同じ0歳児育児奮闘仲間だと思うと胸熱だな」「夫が育児できてないことをテレビで言えるのは、なんだかんだでやってくれててちゃんと信頼できてるからなんだろうな」等々、一般層から絶賛するコメントが殺到したのである。ここにきて北川は一挙に同世代・同じ立場のママたちの共感を獲得したようだが、特にパートナーにはわからない不満を“共有”しているからこそ、“同志”感覚を強めたのかもしれない。

■“ママタレ”イメージない女優たちの育児トークにこそ需要、新たな共感に

 ただ、これまでもママであることに共感できる芸能人として、辻希美をはじめとするいわゆる“ママタレ枠”があった。しかし、昨年11月にORICON NEWSが発表した「好きなママタレントランキング」では、北川の首位に続いて2位に杏、3位・仲里依紗、5位・木村佳乃、7位・榮倉奈々、8位・上戸彩とほぼほぼ女優陣が上位を占める結果に。今や出産・育児を語るのはママタレの専売特許ではなく、普通に女優が自らのこととして語りはじめる時代に入ったということかもしれない。

 実際、最近はママYouTuberとしても人気のある仲里依紗は、「息子を怒っちゃったみんな聞いて~」と一人反省会の語り動画を投稿。「宿題の量が多くて…朝からやろうっていったのに…」「他のお母さんってこんなに怒ることあるのかな…」と赤裸々に悩みを吐露するなど、まさに“等身大のママ”の姿をさらけ出している。

 また、連続ドラマに復帰した菅野美穂も、所属事務所のYouTubeチャンネルにある山崎育三郎とのドライブトーク企画で、「レゴ踏んで痛い」「誰も怒ってない瞬間って1日に5分くらいしかない」などあまりにも所帯じみた?(それわかる…)的な発言を連発し、「まさか菅野美穂からそんなことが聞けるなんて…」と話題になった。

 一方、黒木メイサはInstagramのストーリーズで、フォロワーからの「産後うつや育児ノイローゼ的なものはありましたか?」という質問に「哺乳瓶洗いながら泣いてた」、「子育てでイライラした時はどうしてますか?」との質問には、「子どもの安全確保して一旦トイレ等に逃げる」「怒りの沸点を超えるのに6秒かかるとか。だから10秒くらい数える」と切実な告白をしている。今どきの女優たちは“ママ”であることをいっさい隠さなくなっている。

■育児トークを“話す側”も“受ける側”も資質が問われる
 その昔、新進女優として人気絶頂の秋吉久美子が、今でいう「できちゃった婚」で記者会見をした際、「(子どもを)卵で産みたい」と発言して世間から「人の母になる人間が…」とバッシングを受けたように、世の中の“母親”に対するいわば神聖視・別格視がまだ強い時代があった。

 2000年代に入ると、かつてのアイドルが次々と母親となり、ママである自分をブログで発信することで仕事にも結びつける「ママタレ」が誕生する。そしてこれまで見てきたように、今ではイメージを重視するはずの女優さえもYouTubeやInstagram、Twitterなどで、ママであることのあれこれを発信するのが当たり前になった。むしろ今の時代、発信しないほうが逆に不自然かもしれない。

 しかし、そのことが仕事上プラスに働くこともあれば、批判の対象となって炎上することもある。先の「好きなママタレントランキング」でも、かつてのママタレがランク外となり、代わりに女優たちが上位を独占しはじめてきたことも、そのあたりの事情が影響しているのかもしれない。

 SNSの普及によってあらゆることが可視化される今、タレントであれ女優であれ、たとえば育児に関わる発言にしても、そのまま本人がどういう人間であるかが表れることになる。それはトークを受ける側も同様。その中で女優のトークが光るのは、第一線に立って本業(役者業)を確立していることが大きい。“ママ”が自身の売りではないからこそ、展開するトークがダイレクトに、より深みをもって伝えられるのだ。“劇薬”でもある育児トークをどう展開していくか、今後の女優たちの発信に注目していきたい。

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