ボートレース 九州勢新人紹介(112期)

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森照夫

小池礼乃 山戸信二 山口貢輝 山田貴愛 田代元気 丸山龍太郎 野田部宏子 小野真歩 中川りな

ドボンキング 勲章に飛躍へ
▼森照夫(もり・てるお、24歳)
 「転覆28回。やまとのドボンキングです」。森照夫は苦笑いしながらも、その“勲章”に胸を張った。

 過去にも「転覆王」と呼ばれた選手がいる。48期生の今村豊(51)=山口=だ。当時、山梨県にあった養成所時代、何度も転覆したのは有名なエピソード。しかし今村は、養成所で身に付けた全速ターンを武器にデビュー直後から大活躍し、レース形態を根底から覆した。その革命児は今も第一線で活躍する。

 それだけに、自らの持ち味を「全速ターン」と話す森にも、平成の革命児としての期待をかけずにはいられない。教官からも、強気な性格を評価する声が上がる。

 強い気持ちを支えるのは、家族愛とハングリー精神だ。7人きょうだいの長男で、上は大学生から下は3歳まで6人の弟と妹がいる。「きょうだいも多いし、大学時代の奨学金も返さなければならない」。早く強くなって稼げる男へ-。ドボンキングが第一歩を踏み出す。

センスと速さ 女子でトップ
▼小池礼乃(こいけ・あやの、22歳)
 兄(公生)もレーサーの小池礼乃は、教官たちが「スピードと操縦センスは女子ナンバーワン」と口をそろえる逸材だ。卒業記念の優勝戦前に組まれた「やまとなでしこ選抜戦」では0.08という果敢なSから鮮やかな逃げを決め、実力を証明。「勝って自信になりました」

 それでも、レース内容には決して満足しない自らへの厳しさが頼もしい。「Sで少し放ったし、緊張してハンドル操作で慌てました。まだまだ練習が必要だと痛感しました」。妥協なしのストイックな姿勢は、一流への素養十分だ。

 兄をきっかけに知ったボートレース界だが、自らも進もうと決めたのは「魚谷香織さんを見て、女子でも戦えると憧れたから」。既に一流の地位を築いたその先輩に追い付こうと「もっとレースを見て、もっとレースをして、思い切り旋回したい」。人一倍のその意欲なら、すぐにでも頭角を現しそうだ。

4度目挑戦実る
▼山戸信二(やまと・しんじ、27歳)
 4度目の挑戦でやまとの門をくぐった山戸信二は、112期の最年長。専門学校で学び、国家資格の一つである測量士補の資格を持つが、レーサーとなった今、力を注ぐのは測量よりも減量。「定期的にランニングに励んでいます」。54キロの体重を、さらにそぎ落とそうと一生懸命だ。九州のエース・瓜生正義を目標にする。やまとで接する機会があり「強くて、人間性も素晴らしい」と感動。自身は「旋回、判断など全ての面で力不足」と大先輩の背中はまだ遠いが「必ず強いレーサーになります」。胸の中には確かな未来の図面が描かれている。

会社員から転身
▼山口貢輝(やまぐち・こうき、26歳)
 山口貢輝は、エンジンとは長いつきあい。自動車整備の専門学校を経て、車販売会社に約5年勤務。その経歴もあってか「スピードとエンジン音がボートの魅力」。この競技の見どころを肌で感じている男だ。一ファンだった時代、初めてレースを見に行き、初めて的中したのが瓜生正義(福岡)の舟券。以来、「瓜生さんが自分の目標です」。調子の波が激しく、「いいときはいいが、悪いときはとことん悪い」なら、瓜生は最高のお手本だろう。そしてこれからは、瓜生にもらった的中の感動を、自分が全国のファンに伝えていく番だ。

高い向上心武器
▼山田貴愛(やまだ・たかあき、24歳)
 空から水の上へと仕事の場を移す。山田貴愛は航空自衛隊で5年の勤務経験。転身の動機は「水上でのレースという競技の特殊性と、自分の努力次第で上へと上がれるので」。腕一本で出世がかなうこの世界に魅了された。動機に裏付けられた向上心の強さは、やまとの教官も高く評価。「在学中の質問回数は、同期の中で群を抜いて多かった」(教官)という。今後は「何事にも挑戦し続けて、自分の武器をつくりたい」。誰にも負けない研究心と進取の精神があれば、持ち味は確実に打ち出せるだろう。

父親は競輪選手
▼田代元気(たしろ・げんき、20歳)
 田代元気は、競輪選手の田代誠を父に持つ。ただ小柄(164センチ)だったことから、心は「競輪よりもボート」。父にも「したいようにしなさい」と背中を押され、艇界入りを決断した。陸上短距離で高校総体出場の身体能力。しかし、入学直後にいきなりのピンチ。右手を負傷し、1カ月間ボートに乗れなかったのだ。正直「焦った」が、くじけず挽回に努め、卒業を果たした。

 自らを「甘い」と認め、「自分の心をコントロールできるように心身を鍛えたい」と話す。それでも、けがを乗り越えた経験があれば、すぐにでも克服できる課題だ。

水泳で総体出場
▼丸山龍太郎(まるやま・りゅうたろう、19歳)
 丸山龍太郎は、水泳で高校総体出場の経験を持ち、水には縁が深い。158センチの身長がハンディにならない競技を進路として模索し、騎手も選択肢にあったが、水との縁がボートへの決め手になった。ボートは小学生のころからの憧れでもあった。「猛スピードの旋回が格好良かった」。ただ、実際に操縦してみると「すごく難しい」。リーグ第1戦の優勝戦ではフライングも犯し、「心のコントロールが大事と分かった」と勉強の日々だった。とはいえ在校勝率5.47は九州勢トップ。「SGで活躍して、親に学費を返したい」。孝行者が九州勢をリードする。

大学中退し選択
▼野田部宏子(のたべ・ひろこ、22歳)
 「安定した仕事より、全力を尽くさなければできないものをしたかった」。野田部宏子は、卒業すれば引く手あまたの大学薬学部を中退。思い切った選択だが、「ボートは男女や年齢の区別なく戦えて、レース自体も魅力的」と目を輝かせる。ほかにはないやりがいの大きさと夢の広がりに、心を動かされた。

 やまとで話す機会があった平山智加(香川)を心服。「日々の生活が水面につながる。ボートのことを毎日考えて、できないことを一つずつ、できるようにしたい」。平山のような24時間態勢のプロ意識で成長することを誓った。

姉の背中を追う
▼小野真歩(おの・まほ、20歳)
 小野真歩は姉・生奈に続いてレーサーになった。「性別に関係なく、自分の力だけで勝負している姉の姿に魅力を感じました」。着々と強豪への道を歩むその姉に倣って、徹底して自己管理。筋力トレーニングなどで体力アップに励み、食事制限など減量にも意欲的。姉という何よりも身近な教科書から、レーサーとしてやるべきことをきっちり学んでいる。好きな言葉は「やればできる、必ずできる、絶対できる」。自らの課題だというスピードも、その信念の下に突き進めば、必ず身に付くはず。福岡の強豪姉妹と呼ばれる日が来るのが楽しみだ。

バランスに自信
▼中川りな(なかがわ・りな、19歳)
 優れた身体バランスが中川りなの強みだ。高校時代にカヌー競技で全国7位の実績。それが生きて「バランスを崩しても立て直すのがうまい、と教官から評価されました」とほほ笑む。福岡ボートでのペアボートの乗艇体験が、レーサー志望のきっかけになった。やまとでは魚谷香織(福岡)に教わる機会があり「女性としてもレーサーとしても尊敬します。私の目標です」。練習では何度も転覆しながら、全速ターンを習得した。「実戦で使えるように練習を続けて、強気な姿勢も身に付けたい」。技術も闘争心もより磨いて、初戦を待つ。

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