各養成所で卒業記念レース

表彰式典で、今春の注目新人として紹介された(左から)小林優香、石井貴子、野口大誠 拡大

表彰式典で、今春の注目新人として紹介された(左から)小林優香、石井貴子、野口大誠

 卒業式シーズンの3月は公営競技界にとっても巣立ちの季節。競輪、ボート、地方競馬のそれぞれの養成所でも、卒業式とともに卒業記念レースを控えている。競輪やボートの「卒業記念覇者」の肩書は、デビュー後もずっとついて回る立派な戦歴。そんなスター街道への第一歩に、われらが九州の若人たちも挑戦する。競輪では野口大誠(24)=熊本=と、小林優香(20)=福岡=の男女2人が全国の視線を集め、ボートでは羽野直也(18)=福岡=が九州から唯一、頂点への挑戦権を獲得。同じ釜の飯を食って厳しい訓練に耐えた同期生たちと、バンクや水面で最後の火花を散らす。

競輪 九州勢男女Vも

 今年の競輪の卒業記念レースは、28日の卒業式を前にした25、26日に、神奈川県の平塚競輪場で繰り広げられる。男子(105期、36人)、女子(106期、18人)とも、昨年5月に日本競輪学校(静岡県伊豆市)に入学。1年間の厳しい訓練の中で脚を磨いてきた。

 競走訓練の成績は全て記録され、2月中旬現在の通算成績は、男女とも九州勢がトップ。締めくくりの卒業記念で、アベックVの期待が膨らむ。

 男子トップは、野口大誠(24)=熊本、九州学院高-中央大=だ。最多の21勝をマーク。それだけではなく、タイムを計測する「記録会」でもトップ級の数字を計時し、エリート帽といわれる白色の帽子「白帽」を2度獲得。滝沢正光校長が直々に指導する「エリート教場」にも選抜された高い能力の持ち主だ。

 在校成績1位を争うライバル畑段嵐士(23)=京都=との成績の差はわずか。ただ、畑段は展開次第の「捲(まく)り・追い込み」が主戦法なのに対して、野口は自分から積極的に仕掛けていく「先行・捲り」で残した好成績。そういった「自力勝負」を心掛ける生徒は卒業後の伸びしろが大きく、ここ一番にも強いといわれる。それだけに、最後の大舞台で頂点を手にする可能性も大いにある。

 女子は小林優香(20)=福岡、佐賀女子短大休学中=が1位。こちらは白帽どころか、瞬発力と持久力の両方を極めてハイレベルで兼ね備えた生徒だけが着用できる「ゴールデンキャップ」を、入学直後からかぶり続ける。ガールズケイリンの枠を超え、世界でも活躍できる逸材だ。

 実際、昨年10月には東京国体で、チームスプリントの日本記録を大幅に更新。今年1月の国際大会ではケイリンに出場して優勝の快挙。2月末には、成績2位の石井貴子(24)=千葉=とともに世界選手権(コロンビア)にも参加した。「競輪学校の生徒が世界選メンバーに選ばれるのは、異例中の異例」と関係者は驚きを隠さない。

 バレーボールからの転身で自転車経験ゼロだった小林の能力は、競輪学校の指導で爆発的に開花した。ゴールデンキャップ、在校1位、そして卒記チャンプまで手に入れれば、完璧なまでの“最強”として、卒業式を迎えることになる。

 ◆競輪の卒業記念レース 競輪の卒業記念レースは、各期に一度きりの集大成の大会。そのため、最も強いとされる「在校成績1位」とは別の区分で並び称され、「卒記(卒業記念)チャンプ」との呼び名で、ファンの記憶にも刻まれる。卒業記念は通常の競輪の開催と同様、予選から徐々に勝ち上がるトーナメント方式。昨年は、男子は予選2走の後に準決勝を行い、続いて決勝戦。女子は準決勝がなく、予選3走の合計成績の上位が決勝に勝ち進んだ。

 以前は、ファンになじみの薄い日本競輪学校(静岡県伊豆市)が会場のことがほとんどで、観覧者のほとんどは親など関係者だった。しかし近年は「せっかくの晴れ舞台。多くの人に見てほしい」と、多くのファンが気軽に足を運べる、南関東地区(千葉、神奈川、静岡)の競輪場を舞台に行われている。今回も入場は無料。

ボート 6人が一発勝負

 年に2度の募集があるボートレースは、卒業式も春と秋の2回。春の今回は、福岡県柳川市にある養成所「やまと学校」で20日、114期選手養成員(男21人、女6人)の卒業記念競走と卒業式が行われる。一般入場は例年、受け付けていない。

 卒業記念は、優勝戦のみの一発勝負。以前は準優勝戦(準決勝)を経て優勝戦のメンバーを決めていたが、前回の113期生から、訓練中に行われたリーグ戦の成績上位者6人による一発勝負になった。

 114期の九州・山口勢は全て男子で5人。その中から、羽野直也(18)=福岡=が優勝戦への出場を予定している。羽野は全8戦あったリーグ戦で4回の優出を果たすなど好走。全体で5位の高勝率を残し、優勝戦への出場切符を獲得した。次いで、父親は元競輪選手(今林圭二)の今林由喜(26)=福岡=が、14位の勝率だった。

 郷土勢のほか、学生時代にスポーツで実績を残した養成員も注目の的。勝率3位の伏島祐介(23)は、山梨学院大で箱根駅伝に出走の経歴。水球で全国優勝の経験を持つ倉持莉々(20)=茨城=は、女子でトップの8位の勝率を残した。

 卒業記念競走の覇者は「やまとチャンプ」の名で、同期の中でも特に大きな注目を集めてデビューする。本栖湖(山梨県)に研修所があった時代の覇者は「本栖チャンプ」と呼ばれる。

地方競馬 12人「供覧」

 地方競馬は27日に、栃木県那須塩原市の「地方競馬教養センター」で、騎手課程92期生の修了式を行う。

 このたび卒業する92期生は16~20歳の12人(うち女子1人)。2012年4月に入学し、2年間の訓練を受けてきた。同日は修了式に先立ち、卒業レースに相当する「供覧騎乗」があり、12人がステッキを振るう=写真(NAR提供)は昨年。供覧騎乗は観覧自由。92期生は既に全国の地方競馬への配属がそれぞれ決まっており、4月にデビューする。92期生に九州出身者や佐賀競馬への配属者はいない。

 日本中央競馬会(JRA)の騎手候補生は、2月4日にJRA競馬学校(千葉県)を卒業した。

養成員現在ゼロ オートは非実施

茨城県下妻市に選手養成所があるオートレースは、昨年7月に卒業した32期生の後は選手募集はなし。そのため現在は養成員が誰もおらず、卒業式ももちろんない。統括するJKAによると、33期生の募集時期については未定という。

=2014/03/04付 西日本スポーツ=

PR

PR

注目のテーマ