園子温監督作品から満島ひかり、二階堂ふみらに続くヒロインは誕生するか?

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 自主映画からキャリアをスタートさせ『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』など、強烈な個性を色濃く反映させた傑作、怪作を生み出してきた園子温が監督・脚本・編集・音楽を手がけるインディーズ映画『エッシャー通りの赤いポスト』(12月25日公開)の予告映像とともに、本作に登場する園作品らしい魅力的なヒロイン3人にも注目したい。

【動画】映画『エッシャー通りの赤いポスト』予告編

 「忘れていた感情がもどってきた」と語る本作は、園監督が映画を作ることで原点回帰を遂げた、映画愛にあふれる瑞々しい青春群像劇。2019年に心筋梗塞で生死の境をさまよった園にもたらされたのが、劇作家の松枝佳紀が主催する「アクターズ・ヴィジョン」からのワークショップの誘いだった。

 役者の卵たちに少なくない額を負担させて行うワークショップには抵抗があったという園だが、受講者全員が出演する映画も同時に撮るのであれば、出演実績が残る上に、映像の世界で演じる上で欠かせない“カメラの前での芝居”を学ぶことも出来る。かくして始まった「園子温による役者のための実践的ワークショップ」には、わずか2週間で697人の応募があり、最終的に51人の役者たちが選抜された。

 園がワークショップのために用意した脚本「エッシャー通りの赤いポスト」は、映画「仮面」に出演するためさまざまな境遇の人々が思いを募らせて応募用紙をポストに投函し、オーディション会場に集う物語。まさに今、ワークショップを受講する役者たちと同じシチュエーションが用意され、同じ環境にある役を“演技”でどのように表現するかが求められた。

 撮影は2019年の8月。クライマックスとなる商店街のシーンは、園監督の故郷である豊橋の商店街で大がかりなロケーションを敢行。ワークショップの全参加者が集結し、通りを歩くすべての人々が主役となる本作でしか実現できない感動的な場面になっている。

 予告映像では、「人生が決まる」オーディション会場に向かう、まだ「何者でもない」者たちが映し出される。オーディションではさまざまな個性的なキャラクターが登場。鬼才映画監督・小林が、全員新人で撮ろうとした企画を、エグゼクティブプロデューサーによって阻まれそうになっている様子がうかがえる。

 園監督が経験した映画業界あるあるを、エンターテイメントに昇華し、さらに、今「仮面」をかぶって生きる全ての人へ畳み掛けるように、「エキストラでいいんか? 人生のエキストラで」と投げかけ「君は誰だ?」と問いかけ「仮面を外して、衝動のまま突き進め」と鼓舞する本編のメッセージを詰め込んだ、エモーショナルな予告編となっている。予告のラスト、渋谷のスクランブル交差点からのシーンは、園監督の原点といわれる路上パフォーマンス集団「東京ガガガ」を彷彿とさせる。まさにインディーズ映画に戻ってきた証を見せつけるようだ。

■園作品らしい魅力的なヒロインたち

 本作で殺気立った訳ありの女・安子を演じるのは、藤丸千。狂気をみなぎらせながら、可憐さも持つ独特の存在感は、『愛のむきだし』に登場した満島ひかり、安藤サクラを想起させる。

 そして、俳優志望だった亡き夫の遺志を継いでオーディションに応募する切子を演じる、黒河内りく。これまで演技経験がなかったとは思えない凛とした姿は、『紀子の食卓』の吉高由里子、『ヒミズ』の二階堂ふみらを輩出してきた園作品から、また新たなヒロインが誕生する予感を印象づける。

 映画監督の小林を支える恋人の方子を演じるのは、モデル、フォトグラファーとしても活動するモーガン茉愛羅。柔らかさと儚さを持つキャラクターによって、映画に幻想的な雰囲気を漂わせている。

 このほか、映画監督の小林役に舞台で長らく活動してきた山岡竜弘、助監督のジョー役に小西貴大。さらにベテラン俳優の藤田朋子もワークショップに自ら応募し、選考を経て選抜された51人の1人として参加している。

 それぞれ経歴も年齢も異なる役者たちが、園監督が全員のキャラクターを踏まえて作り上げたそれぞれの役を、実人生を生きるように熱演する姿は、群像劇ならではの迫力に。さらに渡辺哲、諏訪太朗、吹越満といった園作品でおなじみのベテラン俳優たちが脇を固め、作品と若き役者たちを力強く支えている。

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