鹿実の粘りに拍手 九回裏、驚異の同点劇 スタンド総立ち

2010年08月17日 09:31
【鹿児島実-九州学院】延長10回の熱戦も及ばず、甲子園を去る鹿児島実の選手たち
【鹿児島実-九州学院】延長10回の熱戦も及ばず、甲子園を去る鹿児島実の選手たち
 最後に「不屈不撓」の「鹿実魂」を見せたナインに、スタンドは総立ちで拍手を送った-。夏の甲子園大会で16日、鹿児島県代表の鹿児島実は九州学院(熊本)と対戦。九回裏に3点差から同点に追いつき、延長十回の激闘の末、7-8で涙をのんだ。鹿実は序盤に4点のリードを許したものの、終盤に長打攻勢をかけて追いすがった。九回裏に試合を振り出しに戻す驚異の粘りを見せた選手たちに、スタンドの観衆は涙で「ようやった」と叫び続けた。

 立ち上がりは静かだった。エース用皆崚投手は初回、二回を難なく三者凡退に切って取る。一方、初戦で爆発した鹿実打線は沈黙。応援に来た堺市の豊田司さん(44)は「初戦とは違って、1本のヒットが明暗を分けそうだ」と投手戦の気配に緊張した面持ち。

 だが、三回に試合が動く。先頭打者をフライに打ち取った後、相手8番にヒットで出塁され、続く9番の犠打を用皆投手が一塁に悪送球。1死二、三塁とピンチを広げてしまう。

 「切り替えて、切り替えて」とスタンドから声援が飛んだが、相手1番、3番、4番に安打を許し、4点をもぎ取られる。吹奏楽部の岩崎智君(2年)は「まだ序盤。あきらめずに応援します」と力を込めた。

 ◆好守備から流れ

 相手投手を攻めあぐねる鹿実。四回表2死一塁、相手9番のヒット性の当たりを藤田亮馬中堅手がダイビングキャッチ。母久美子さん(45)は「チームに気持ちが伝わってくれれば」と願った。

 その裏、打線が奮起。用皆投手がライト前ヒットで出塁し、川崎友幸左翼手のファーストゴロの間に二塁へ。浜田竜之祐三塁手の安打と相手投手の暴投で、用皆投手が生還。後続もつないで一気に3点を返して、1点差に詰め寄った。

 マネジャーの遠矢朗子さん(3年)は「流れがきた。自分たちらしい野球を」。だが、九州学院が突き放す。五、七、八回に1点ずつ加点。鹿実も八回裏に1点返し、3点差で最終回に突入した。野球部1年の三好章太君は「最終回の鹿実。絶対あきらめません」。

 ◆九回にドラマ

 五回から用皆投手に代わって登板した野田昇吾投手。九回表の1死二、三塁のピンチを切り抜けると、その裏、先頭打者でセンターオーバーの二塁打を放った。

 1死後に、代打久保篤大選手がライト前ヒット。1死一、三塁から藤田選手、亀甲章史二塁手、用皆選手の3連打と、川崎選手の二塁ゴロの間に同点に追いつくと、スタンドでは涙ぐむ人も。野球部OBの中村隼人さん(27)は「不屈不撓の鹿実魂は途切れていなかった」と叫んだ。

 あと一歩及ばなかった鹿実ナイン。スタンドに駆け寄る選手たちに拍手が鳴りやまない。鹿実OBの島田基さん(68)は「ようきばった。ようきばった…」と涙声で何度も繰り返した。

=2010/08/17付 西日本新聞朝刊=

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