「強いきずな」九学の“財産” 甲子園取材を終えて 学年を越え 競い合い 快進撃 全員で支えた

2010年08月21日 10:16
学校で出迎えた人のサインや握手に応じる渡辺政孝投手(右)
学校で出迎えた人のサインや握手に応じる渡辺政孝投手(右)
 夏の甲子園大会で県代表の九州学院は、19日の準々決勝で敗れたが、県勢として14年ぶりに8強入りし、県民の期待に応えた。伸び伸びと野球を楽しみ、試合ごとに力を増した九学ナイン。地方大会から彼らを追いかけた私にとっても“熱い夏”だった。

 「九州学院高校、1番です」。4日の組み合わせ抽選会。開幕試合を引き当てた前川和彦主将(3年)の声に会場はどよめいた。坂井宏安監督は「大観衆の中で試合ができるのは幸せ」と語ったが、果たして緊張なく戦えるのか。一抹の不安を抱き、アルプス席で見守った。

 杞憂(きゆう)だった。1番の井翔平右翼手(3年)が初球をはじき返し、続く溝脇隼人遊撃手(1年)が内野安打。初戦は打線爆発の全員安打、全員得点の圧勝で終わった。

 レギュラー9人のうち5人が1、2年で、選手同士は学年の垣根なく仲良し。坂井監督は「自分たちで考えさせる」点に重きを置き「上下関係がない」チームを目指した。それが、選手たちを互いに高め合う環境となった。3番の山下翼中堅手(2年)は「1年は一番身近なライバル」と大会期間中も宿舎近くの公園で夜遅くまで素振りを続けた。2、3回戦で計4安打、4盗塁と気を吐いた。チームは2回戦、3回戦と勝ち進んだ。

 準々決勝は、ベンチ入りの18人が全員出場し、まさに九学らしさを象徴する一戦だった。負けはしたが八回に控えの3年が代打で発奮し、3得点。試合後、坂井監督は「3年の23人が仕事を全うし、ここまで来られた」とたたえた。

 下級生も裏方に徹してきた3年の地道な努力を知っている。9番の下田勇斗左翼手(2年)は、代打で出た3年岩田尚樹選手の適時打を「努力してきた先輩が打ち、自分のことのようにうれしい」と喜んだ。アルプス席でも同級生の活躍に涙する野球部員がいて、私もジーンときた。チームメートの活躍を素直に喜び合う。選手同士のきずなの強さを感じた。

 新チームを担う1、2年生8人が甲子園の実戦を積んだことは大きな財産。3年生の役割を下級生が受け継ぎ、熊本の高校球界レベルアップのけん引役になることを期待したい。

■九学ナイン「ただいま」 市民ら 出迎え健闘たたえる

 夏の甲子園大会でベスト8入りした県代表の九州学院の選手たちは20日昼、地元熊本に戻り、熊本空港や同校では、大勢の市民や生徒が出迎えて健闘をたたえた。

 「お帰り」「感動したぞ」-。選手たちが乗ったバスが熊本市の同校に到着すると、正面玄関前は歓声に沸いた。前川和彦主将は「皆さんの支えがあったからこそ目標のベスト8まで勝ち進めた。後輩たちの新チームには、自分たちを超えてさらに上を目指してほしい」と応援への感謝を述べた。

 この後ナインは詰め掛けた人たちへのサインや握手に応じた。坂井宏安監督は「地元でこれほどの応援熱が高まっていたとは驚いた。応援してくれる人と一緒に4試合を戦いきり、実力以上の力が出せた」と振り返った。

=2010/08/21付 西日本新聞朝刊=

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