甲子園「復興」胸に好走 藤蔭初戦敗退 御手洗孝紀選手 被災の日田「明るくしたい」

8回2死の場面で二盗を決めた藤蔭・御手洗選手
8回2死の場面で二盗を決めた藤蔭・御手洗選手
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 「甲子園から元気を届けたい」。藤蔭(大分)のナインが5日、記念すべき100回目の全国高校野球選手権大会の開幕戦に臨んだ。猛暑のグラウンドで星稜(石川)を相手に粘り強く戦い抜き、昨年7月の九州豪雨で被害を受けた故郷、大分県日田市に「諦めない」心を示した。終盤、追い上げムードを演出した選手の一人が同市出身の3番打者、御手洗孝紀選手(3年)。果敢な走りを披露し、一塁側アルプススタンドの応援団を沸かせた。

 昨年の豪雨で御手洗選手の自宅は被害を免れたが、異常な雨と雷に恐怖したことを鮮明に記憶している。土砂や水であふれた被災後の故郷は荒野のようだった。「地域のために何かしたい」。直後の休日、友人とスコップを手に一日中、豆田地区で商店の泥かきに汗を流した。

 豪雨から1年たった今年7月5日、再び強い雨が襲った。災害を警戒する中で始まった地区大会では、強豪校を破って28年ぶりに優勝。「元気をもらえた」との周囲の声が何よりうれしく、「暗いニュースが続いた故郷を明るくしたい」と甲子園に乗り込んだ。

 4万人超が詰め掛けた開幕戦は、始球式に日米球界で活躍した星稜OBの松井秀喜さんが登場。球場に「アウェー感」が漂い、中盤までに9失点を許した。「このままでは終われない」。無安打で迎えた4打席目、八回2死で四球を選ぶと二盗を狙った。際どい判定は「セーフ」。次打者の中前打で雄たけびを上げて4点目のホームを踏んだ。

 スタンドで見守った母みどりさん(48)は「故郷を思って息子が健闘してくれた」と声を詰まらせた。「試合では最後まで諦めない姿勢を見せられた」と御手洗選手。温かいまなざしが待つ故郷日田に、胸を張って帰るつもりだ。

=2018/08/06付 西日本新聞朝刊=

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